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管理省転生局監査部検収課のヒラ

神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。

小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたはずなのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。

そのせいで、私と一緒に行きたいと希望した二人まで小さく転生してしまった。

おかげで絶え間なく虫に襲われている。

スズメの糞で全身で浴びて溺れそうになった。

ほんと冗談じゃない。

絶対に転生やり直してもらうんだから!


------------------------------------------


スズメの糞は、水場を見つけるまでどうにもならないと

諦めた。


さて、お腹がすいたが、何を食べればいいのか。


隣にいるレイジは、スズメとカラスの恐怖からもう立ち直ったみたい。

強化魔法や武器の組み合わせで対抗できるかシミュレーションしてみたい。


それにしても、あんなにデカくて怖いとは思わなかった。

人間の時は脅威なんて感じなかったスズメが、あんなにも強そうなんて。

奴から見て、私たちは完全に餌だね。おそろしい。

レイジの回復魔法があっても、一発で致命傷を食らってしまえばどうにもならないし。


空腹も手伝って、さっきまで喧嘩してた。

で、改めて食料をどうするかという話をしているわけなんだが、


「やっぱりさ、おにぎり食べたいな」


レイジが言った。


「おにぎり?」


「うん。まあ、お米一粒か二粒で満腹だとは思うけどね。民家とないかな」


そうだなぁ。

この世界の人間と友達になれば、一粒くらいなら分けてもらえそうだよな。


あれ? そもそも米のある世界なの?


そう思ってレイジを見ると、何やら、震えながら、私の後ろの方を指さしていた。

ゆっくりと振り返った。


そこには路線バス並みの大きさの生き物がいた。

ネズミだ。


この距離なら逃げられない。


あ、目があってしまった。

こうなっては目を逸らせない。

マサムネを召喚しようとして、思いとどまった。

ネズミの目を見たまま、レイジに話しかける。


「私に強化魔法かけてくれない? なんとか時間かせげるかもしれない。隙を見て、ネズミから見えないようにマサムネを召喚するから」


返事がない。


「レイジ?」


ネズミの視線が俺から逸れたので、そっと振り返ってみると、レイジは恐怖で固まっていた。


しっかりしてよぉ。現場でないでデスクばっかりだったから?


ネズミの方へ再び振り返ると、目が合った。


「…ヤバイ」


------------------------------------------

転生局監査部検収課


なんだか嫌な予感がするし、因果不明扱いの虫がこれ以上増えるのも面倒なので、


「こちら側のミスでもいいから、転生をやり直してやれよ。」


と言ったのに、担当者は何とも複雑そうな顔をした。

理由を聞くと、「ユイ」を追いかけてきた転生者が2名いるという。


1人目というか一匹目だが、彼女のへの恩返しを希望して転生した猫、彼女と召喚獣契約を完了して、すでに検収ずみ。

2人目は幼馴染の少年、パーティーに加入して、こちらもすでに検収済み。


また疑問が増えた。


「まず、先に転生した者との関係を、特別転生の要望に入れて追いかけるって、アリなのか?」


「私も気になったので調査させていますが、どうも、どこにも禁止と明記されていないようなんです。そんなことしたら面倒になるので断るというのが常識だったのですが、ルール化はされてなかったようです」


と課長が答えた。


明記されてないのか。でも普通に考えりゃそんなことしないわな。

だれがこんな転生を行ったのか。

書類によると転生を担当したのは「転生の神12345」…


「転生側の担当者については調べたか?」


「転生部に問合せしてますが、どうも今日から非番のようです。3年目の女性ですが、記録を見る限り初めての特別転生のようで」


初めての特別転生で勝手がわからなかったのか?

と思っていると検収担当者がおかしなことを言い出した。


「え? 初めての特別転生? うそっスよね?」


「なんでそう思う?」


「転生の設定がマニアックすぎるんスよ」


「? 具体的に話してくれるか?」


担当者は頷いて説明し始める


「ユイさんっスけど、徹底的な武闘派仕様っス。ただでさえ身体が小さくて体内時計が人間の数倍の速度なのに「動作速度3倍」の能力が加わってて、全力で動くと人間には反応出来ないないっス。更に魔力を魔法に一切使わせないで、肉体強化と回復にすべて回す徹底ぶりっス。おまけ持たせてる武器が凶悪な性能っス」


「そんなに盛れるものなのか?」


「身体を虫並みに小さくしたことで、こんだけ持ってもバランス取れてンスよ。でこれらは転生後大きくなっても劣化しない設定になってンスよ」


「じゃあ、デカくなったら?」


「もしかしたら、神とも戦えるんじゃないスか?」


最後のは冗談としても、確かにマニアック過ぎるよな。

身体を虫並みに小さくすることにそんな効果があるなんて、誰も知らないんじゃないのか?


「レイジはサポート型魔術師っスけど、実は女性化して魔法の効果を10倍に引き上げるというトリッキーな設定が…」


「!女性化して魔力をあげる? 聞き間違えか? 性が変わるのか?」


「はい。聖女になって能力が爆発的に上がる設定がされています。本人はまだ知らないスけど」


「そんなこと可能なのか? しかしなんのためにそんなこと」


「可能だったんだでしょうね。実際そうなってました。でもちょっとマニアック過ぎてどうやったら出来るのか見当もつきません…理由もよくわかりません。奥の手が欲しいという要望への答えらしいですが」


確かに初心者の仕業とは考えにくいな。


続けて猫についても聞いたがやはり常軌を逸している。


「そもそも、なんで猫が特別転生の対象になってるんだ? 化け猫だったのか?」


「いいえ、EARTHの剣術家の家で飼われていた普通の猫です」


「意思疎通はできるのか?」 


「霊獣になってたんで意思疎通は出来ました。検収確認に問題はなかったです」


「前世で普通の猫だったのが、いつ霊獣になったんだよ? 特別転生の時か?」


「それ以外考えにくいですね」


「じゃあ、転生の担当はどうやって意思疎通したんだ?」


誰もこたえられなかった。

しかし、わからんことだらけだ。特別転生は事例も少ないし、ルールもガバガバなんだなぁ。やっぱり。


「それで、彼女の転生をやり直したら、この2人はどうなる?」


「彼女とも同じ話になったんですが、彼女がやり直すときに、彼らとの関係を維持することを願ったらいいのではないか。と言っていました。ただ…」


そういう方法もとれるのか。2人もユイを追っかけて転生したんだ確かに可能かもしれない。

同じところに転生できれば召喚獣契約もパーティーの再結成も出来るだろう。


「ただ?」


「ただ、そんな簡単なのか? というのが正直なところです」


「ん。確かにな」


「この件、どうしたらいいか意見はあるか?」


「今、彼女たちはBETA内で「打出の小槌」というアイテムの探しています」


「打出の小槌?って、BETAの神器じゃなかったか?」


「はい、設定変更できる神器ですが、機能縮小版のレプリカがいくつかあるようです」


「それが見つかれば解決出来るのか」


「獲得したら検収すると言ってます」


「見つかりそうなのか?」


「けっこうかかりそうです」


「うーん。とりあえずは

1. 彼女が殺した虫が不明にならない方法を探す

2.さっさと打出の小槌を発見させる

3.新たな問題が発生しない再転生方法を探す

こんなところか」


俺たちに話をさせて控えていた課長が発言をする。


「1ですが…、パーティーリーダーを検収済みでBETAの住人になっているレイジにしたら…」


「「!…それだ!」」


「まずはそれだけでも今やってしまえ」


「はい」


担当者は急いで自席に戻って行った。


「じゃあ、課長のナイスアイデアで今後発生しないようであれば解決しそうだな。

いままで発生した分は、いい感じで処理してもらって

とりあえずはオッケー」


「はい」


「再転生かけるか、なんとかというアイテムで設定変更するかは検討しとくってことで」


「ですね」


話をまとめて席を立とうとしたら、担当者が戻ってきた。

もう終わったか。優秀だな。


「失礼します。ユイとの通信が途絶しました」


「「あ?」」


「死亡はしていません。パーティーも解除されていません。召喚獣契約も有効です。BETA以外にいるか、BETA内の我々がシステムの機能を使えないエリアにいるのか」


「「…」」


なんでこう次から次へと。


「とりあえず、今はここまでか。何か進展あったら報告に来てくれ」

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