二章(前編)「プロローグ」
こんなとこで黒の全身タイツを着て、俺は何をやってるんだろうか。
蒸気の自動車や汽車、それに汽船がそこかしこで動く街。
そこは、五階以上はある石造りの建物が立ち並び、ガスによる街灯が各所に配置されていた。
そう、ここは、この世界の中でも上位クラスに発展した街だった。
まぁ。
俺は今、ギャルちゃんこと莉奈さんと、満月輝く夜に、公園の中を疾走している。
今回は前回のように、そのままの全身タイツ姿ではない、ちゃんとその上に衣服を着ている。
ただ、疾走しているというのがポイントで、理由は急いでいるからという、そのまんまのものだった。
いやいや、申し訳ない。
そんなことじゃなくて、何故急いでるのかってのを説明しないといけなかったよな。
さあ、これを読んでいる聡明な読者なら、覚えていると思うが、前回俺たちは、ガルニア帝国から逃走している所だった。まさか二章から読むという変わった人はいないだろう。
だがしかし、忘れている人もいるかもしれないので簡単に説明しておくと、二章は要塞都市ブランブルクから帝湾大鋼橋を渡って脱出しているところで、終わったハズだったと思う。
あ、今はメタなこと言ってるから、ついでに言っておくと、このブランブルクとかドイツっぽい名前にしているものや、その他諸々、英語っぽいものや、フランス語っぽいものなど、この先、出てくるだろう。
だけどこの世界では、このドイツっぽい名前の都市も、他の言語っぽい言葉も、すべて同じ西方言語として扱っている。
この小説を、この西方言語で書くことはできない。
なので中にはシュタインでゲートみたいな、ドイツ語と英語が混ざってるようなものや、もっと変な言葉がでてくるかもしれないが、それは、この中では同じ西方言語として扱っている。すべてカタカナという日本語にして扱っていると考えてもらったらわかりやすいのだろうか。
重要なところは何々っぽいって所だ。
その「ぽい」を、想像するときのイメージとして使って欲しい。後は……俺が学の無い無知な男だからと諦めて、いろいろと勘弁してくれると助かる。
ところで話は戻るが――
そう、俺たちは帝都から脱出できたのだ。
そして、ここから先は、みんな知らないと思うが、今の俺たちは、さらにガルニア帝国の領土からも脱出できていたのだ。
それもこれも、イノリさんに協力してもらい、人目に触れないよう移動してきたお陰である。
さあ、冒頭の公園での話に戻る。
しかし、今の状況を説明するためには、もっと過去に戻る必要があるだろう。そう、それは俺たちが脱出したぐらいの辺りから――
それは、これから話そうと思っている。
テンプレっぽい話かもしれないが、見捨てないで少しばかり付き合ってくれるとありがたい。
あれは……そう――
二週間前? いや三週間前だったかな?
まあ、どっちでもいい。
そのぐらい前の、脱出後に起こった出来事から、順を追って話させてもらうとしよう――
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