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改稿版プロローグ

 コンクリートが打ちっぱなしにされたような壁でできた部屋があった

 そこにドアはなく、窓もなかった。換気口などもなく完全に密閉された部屋だ

 人間大の大きさで八面体の形をした赤い宝石のようなものが浮いている

 糸で吊り下げられているわけではない。あくまで何らかの力により浮いている

 部屋の中は明るい。宝石が光っているわけではない

 ただ光が満ちている


 そんな部屋にこげ茶色の髪の青年が横になっている

 小さな声でつぶやいている


「なろうで異世界転生、転移ものを読んだことがありますか…?

 それに出てくる主人公の中には、どこでそんな知識を手に入れたと驚くような知識チートをする人がいます…

 俺には無理…!大学に入ったばかりでそれほど時間はたってない…

 理系だからそれなりには知識があるけど…

 それに自分が本当に異世界行くことになるとは思わないし…

 事前に知識蓄えるとかやるわけないし…」



 なぜだ   面倒だ   いやだ   考えたくない   動きたくない  異世界


    危険   死ぬ   帰りたい   母さん   友達   学校   留年



 「はぁ…」


 いくつもの考えが浮かんでは消えていく

 結局のところ自分はここから出られそうにない

 大半の望みは意味をなさないだろう

 継ぎ目のない壁、出口になりそうなものはない、浮く石、照明器具もなく明るい部屋


 それらは非現実的で

 とてもあの世界だとは思えない

 物理法則などの法則が違う異世界へ来てしまったのだろう

 ここへ来る方法もわからないのに元の世界へ帰る方法がわかるとは思えない


 異世界なんてないと思っていた

 でも今はあるんだろうと、いや知らなかっただけであったんだろうと思う

 だからこの世界と元の世界の二つだけとも思えない


 無数にあるであろう異世界の中で自分の生まれた世界を見つけること

 できるわけない

 今まで自分が生まれた世界なんて意識したことがなかった

 その状態で来てしまった

 それはきっと砂漠の中から一つの砂粒を見つけることに等しいだろう

 たとえ砂漠が実は近所の公園の砂場だったとしても

 俺には無理だ、あきらめる



 原始時代~中世の文明ならいい

 出身地不明、住所不定の自分がもぐりこむ余地もあるだろうが

 根性なんてないから

 何もわからない、知らない異世界で生活するなんてできない


 現代と同じくらいの文明だったらもぐりこめない

 管理された戸籍、何をするにも求められる身分証明

 売ることも買うこともできない

 生きていけない


 この世界がどうであれ生活していくのは困難極まるだろう


 不意に浮いた石が目に入る

 いや目には入っていた

 しかし意識には上らなかった

 考えていたことが一区切りついたから意識に上った


 「この浮いた石がダンジョンコアなら俺はダンジョンマスターだろうな

  そしたらダンジョンものみたいにすれば何とかなるかも」

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