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透明の白詰草  作者: 大和 臣爺
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1,日常の最期(前編)

この世には五つの種族が存在するー


頭部に角を携え、魔法の使える長寿のオルコ族。

美しい容姿と蝶のような羽を携え、花から生まれるフェリア族。

道具を使って生活をし、種族数の最も多いヒト。

ヒト型で動物の顔を持ち身体能力の高いアニマ族。

ヒトとアニマ族の混合種の獣人。


これはとあるオルコ族が不思議なヒトと出会う物語ー


日課である村の見回りをするために家の戸を開け、長い坂を降りて行った。

今日は雲一つない晴天で村人は皆外に出て過ごしている。


「ハヅキ様、おはようございます!先日は荷物運びありがとうございました!」


「ハヅキ様、良い日和ですね!」


すれ違う村人達からの挨拶を返していると、少女が包みを持って走って来た。


「ハヅキ様、これ先程作りました大福です!召し上がってください」


日々、村の見回りのついでに困っている者の手伝いをしていると、村人たちは茶菓子などをくれるようになった。

気を遣わないでくれと言ってはいるが、寧ろ貰って欲しいと押しに負け受け取っている。


「ありがとう。これは苺大福か?」


包みを受け取り中を見ると形の綺麗な苺大福が沢山入っていた。


「はい!フェリア族から貰った苺を使ってますので味は保証しますよ!」


「それは美味そうだな。ありがたく頂く」


少女は頬を赤らめて会釈をし去って行った。

暫く歩いて村人たちと会話をしていると、小さな塊が脚にぶつかって来た。


「ハヅキ!おはよ!」


「ハヅキー!遊ぼ!」


「遊ぼ遊ぼ!」


足元を見ると、塊の正体は村の三つ子のヨシノとヤエとシバだった。


「こら、あんた達!ハヅキ様はお忙しいんだよ!」


会話をしていた主婦が三人を叱った。


「いや、構わない」


背の小さな三人と目線を合わせる為に地面に膝を付くと、三人は笑顔で抱きついてきた。


「もう少しばかり待ってくれるか?ほら、この大福を食べて」


先程貰った包みを開けて見せると、三人は目を輝かせて大福を手に取った。


「苺大福だぁ!ありがとう!」


「すぐ来てね!」


「待ってる待ってる!」


三人はバタバタと走り去っていった。


「大変ですね、あのお転婆達の相手をするのも」


「フフ、元気なのは良い事だ」


・・・・・


その後も村人と交流をし、一息つく為に手頃な岩の上に座り貰った大福を頬張った。


「美味いな」


別の村人に貰った水筒の冷たいお茶で流し込み、空を見上げながらそよ風に髪を揺られ時間を過ごした。



そろそろヨシノ達の所に行こうと思い立ち上がると、風の流れが変わった。


「キャーー‼︎」


違和感を感じていると、突然叫び声が聞こえてきた。

急いで声の方に走ると、衝撃の光景が広がっていた。


「どういう…ことだ」


先程まで何の変哲も無かった住宅路には腕を負傷している男性とそれを介抱する女性がいた。

そしてその先にはナイフを手に持ったヒトが立っていた。

怪我人とヒトの間に立ち、ヒトを睨み付けた。


「何故ヒトがこの場に立ち入っているのだ。それとこの状況を説明してもらおうか」


ヒトはニヤニヤと笑うのみで何も喋らない。

震えている女性に逃げる様耳打ちをし、この場から離れさせた。

他の村人たちは扉や窓の隙間から様子を見ている。


ヒトに近づこうと足を踏み出すと、相手はナイフを構えて走りだして来た。

構えのなっていない攻撃は容易く躱せ、手を弾くとヒトはナイフを落とした。

一瞬怯んだ後、ヒトは捨て身で突っ込んできた。


「諦めが悪いな」


指を鳴らすと忽ち竜巻きが起こりヒトに襲いかかった。

ヒトはバタバタと暴れながら空中に浮いている。


「どうやって入ったのだ。目的はなんだ」


「うるせぇ化け物が!さっさと下ろしやがれ‼︎」


「そういう訳にはいかん、さっさと話を…」


ヒトに詰め寄っていると、遠くから発砲音と共に足元に銃弾が飛んできた。

気が緩んでしまい風が止むと、ヒトは地面に落ちて慌てて逃げ出した。


「クソッ!待て‼︎」


屋根を見上げても人影はなく、用心しつつ逃げ出したヒトの後を追いかけた。


・・・・・


ヒトを追いかけていると再び叫び声が聞こえ、声がする方へ行くとさっきとは別のヒトが村人に襲いかかっていた。

ヒトの手元に火花を散らせて怯ませ、力強く蹴飛ばすとヒトは気を失った。

近くにあった縄でヒトを拘束しながら村人の様子を見た。


「無事か?」


「は、はい!ありがとうございます‼︎」


「民家にまで入っているとは…、村の外に避難してくれ!」


村人が家を出るのを確認してから、ヒトの顔を叩き目を覚まさせ問いかけた。


「おい、何故ヒトが我が村に入って来ているのだ」


「ヒヒヒ!そんなのもわかんねぇのか?てめぇら化け物の角を貰いに来たんだよ!金になるからなぁ」


「…愚か者が」


再びヒトの顔を殴り気絶をさせ、他にヒトはいないかと走り出した。


村の入り口に近付くと、そこは更に騒がしかった。

村人達が拘束されており、側には武装をしたヒトが2人立っている。


素早くヒトに近付き、攻撃をされる前に構えられた武器を奪って殴るとヒトは簡単に気を失った。


「皆、大丈夫か!」


「ハヅキ様‼︎」


「ハヅキ様だ!助かった!」


村人達の拘束を解くと、村人の女性が崩れる様にしがみ付いてきた。

彼女は三つ子の母親だ。


「ハヅキ様!うちの子達が見当たらないんです‼︎家に押し入られた時にはぐれてしまって…お願いです、うちの子達を…!」


「落ち着くんだ…俺が探してくるから皆と一緒に村を出ていてくれ」


動揺している母親の頭を撫でて落ち着かせると、震える体を支えられながら他の村人達と村の外に出て行った。

すると、入れ替わりで武器を持った男村人達が集まって来た。


「ハヅキ様!他の村人達は⁉︎」


「数人は村の外に避難させた。お前達は避難した者達を追いかけて守ってくれ!お前達は残った村人がいないか見回ってくれ!」


「「はい‼︎」」


村人達それぞれに指示を出し走り出すと、一人の村人が着いてきた。


「ハヅキ‼︎」


それは幼馴染のカズラだった。


「カズラ…、丁度良い!三つ子達が迷子らしい、一緒に探してくれ‼︎」


「分かった‼︎」


カズラと共に、三つ子達が行きそうな場所から順に探しに向かった。


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