レン死す+フウカと町の中のお仕事
私とケイトはギルドで町の中の仕事を見ていた。
「町の中でも色んな仕事があるんですね」
「外に比べると明らかに少ないけどね」
「外の方は依頼主が違うだけの似た仕事もありますから、その辺を考慮すればとんとんでは?」
「就活中に悪いんだが…少し手伝ってくれないか?」
急に後ろから声をかけられた。
だがこんなことが出来るのはそんなにいない、そしてフウカの知り合いには二人しか居なかった。
「珍しいですね。またレンが何かやらかしましたか?」
「それがだな…レンが死んだ…」
「死んだっ!?」
「あの、刺しても斬っても潰しても死なないレンが?」
「ああ、執務室に死体が転がっていた」
「うん、この事件の犯人はジン。貴方ですね」
「だったら態々こんなとこに着てない」
「じゃあ白フードとか?」
「侵入された形跡は無かった。そして俺には思い当たる節があった。犯人はお前だ。」
「フウカがやる筈無い」
「いや、遂に殺れるようになったのかもしれない。とりあえず現場を見てくれ」
周りの景色が一変、白い部屋に変わった。
そして床にはレンの上半身と下半身が別れて転がっており、臓物と血肉が床に飛び散っていた。
そして首にはロープのような物が巻き付いており、胴には二本ナイフが刺さっていて、眉間には15mmの風穴が空いており頭部には殴打した跡があり、床には傷痕と形状の一致する血濡れのバットが転がっている。
「見ての通り死因がわからない。どうやって書類上の処理をしたらいいのかわからなくて困っていてな」
「全部書けばいいんじゃないの?」
「そんなの簡単ですよ」
フウカは辺りに転がっている凶器の類いを全て集めて、床についた血痕を落として、レンの死体の傷にポーションをドバドバかけて塞ぎ、隣の部屋から書類の塔を運び出し、変わりに凶器を放り込みレンを執務机の椅子に座らせ執務机に突っ伏させる
「この書類を執務机の周りに並べて、コレを死体に飲ませれば…」
フウカは無色透明の液体が入った瓶を片手に言い、レンの口にそれを流し込んみ瓶を机から転がして床に落とした。
「これで後は仕事が嫌になった駄神は毒を煽って自殺したことにすれば問題なし」
普通なら大いに問題がある筈だが、この場にレンのそれを悲観してる人間がいないがゆえに問題はないことにされた。
「そうだな、そうしよう。これで処理しておく助かった」
そして私達は光に包まれてギルドの掲示板の前に戻った。
「でと話を戻して、どうしましょうか」
「二、三枚いい依頼書取ってきて」
「はい、じゃあ…」
フウカは少し迷った末に三枚の依頼書を取ってくる。
一枚目はギルドの受付嬢の補佐
依頼主はもちろんギルド
二枚目は領主の館の清掃員
これの依頼主はチャーリーになっている。
三枚目は警備兵の巡回の追加要員
依頼主は朱雀門派出所警備兵一同になっている。
「とりあえず二枚目は却下」
「いいと思うんですけどね…」
フウカは二枚目の依頼書を下ろす
「一枚目か三枚目か…書類仕事はあんまり好きじゃないから三枚目にしましょ」
「三枚目ですね」
フウカは一枚目と二枚目を戻してくる。
そこに四つ目の依頼が入ってくる
『ケイトさんフウカさん、少しいいですか?』
私達はアリアに呼ばれてカウンターに行く
「よろしければこちらの依頼を受けていただけませんか?」
アリアは一枚の依頼書を差し出す。
それはトロルの八体の討伐依頼だった。
報酬は金貨3600枚
杖が壊れていなければ間違いなく受けていた。
「すいませんが受けられません。今ちょっと外に出られない事情がありまして」
「ではこちらの依頼を受けていただけませんか?」
アリアは引き出しからもう一枚依頼書を取り出す。
「こちらは月光の竹林亭のヘルプの依頼です。期間は五日間内容は部屋の清掃です。場合によってはそれ以外の仕事が入る可能性がございます。なお、教練担当者が付き添いますので仕事内容についてはそちらで聞いていただくことになります。報酬は一日金貨500枚という破格の内容と募集人数一名と言う条件に加えて、月光の竹林亭様のご要望もあり一般掲示には貼らず、私が相応しいと思う方に薦めていたのですが、こうして残ってしまい。受けていただけませんか?」
「ケイト、どうします?」
「ここなら信用出来るし受けてきてもいいと私は思うよ」
「じゃあケイトが受けますか?」
「いや、私はそう言う接客業は苦手だからフウカ受けてきて。私はソウジ君が復活したら二人で討伐依頼受けてくるから。アリアちゃん?そのトロルの依頼って二三日後でもいい?」
「なるべく早い方がいいのですが…」
「じゃあ、次来た時に残ってたら言って」
「わかりました。ではフウカさんが月光の竹林亭ですね?」
「はい、よろしくお願いします」
フウカは依頼書にサインする。
「では依頼を受理しました。こちらの手紙を持って月光の竹林亭に行ってください。私からは以上です。では、がんばってください」
フウカは手紙を受け取ってコートの内ポケットにしまう
「じゃあ私は月光の竹林亭に行くのでケイトは先に戻っててください」
「わかった、適当に戻っとくわ」
私は暫くぶりに月光の竹林亭に行く道を歩く
◇◆◇◆◇◆◇◆
作者:「彼女達が引っ越してからまだ十日経ってないんだよね」
ジン:「だな」
作者:「もっと経ったような感じがするんだよね」
レン:「そうかな~?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そして着く
「こんにちはー」
「あっ、フウカさんお久しぶりです」
「一週間ぶりですね」
「今日はどんなご用件で?」
「ギルドからの紹介でこれを渡せばいいと」
フウカは手紙を手渡す
「フウカさんが受けてくれたんですね。ここで話しているのもアレなので依頼内容の説明はスタッフルームで」
そしてスタッフルームにて
「では依頼の説明ですが、内容は主に私の補佐です。業務時間中はこちらの制服を着ていただきます」
ソフィアは衣装箱からメイド服を何着か取り出して、フウカに合うサイズの物を選び出した。
「今日の所はとりあえずコレを着てください」
ソフィアは選び出したメイド服をフウカに渡して残りを戻す。
▲▽▲▽▲▽▲▽
「では仕事を始めましょう。今からは空き部屋の掃除をします」
「はい」
「手順は、はたきをかけて床を掃いて、拭きます。その後シーツを変えてベッドメイクをして、ゴミを処理したら終わりです。何か質問はありますか」
「とりあえず今はありません」
「じゃあ仕事を始めましょう」
二人は今から掃除する部屋に入る
そして十数分後…
「これが一通りの流れです」
「少し工夫すればかなり効率化できそうですね」
「壊せなければ何をしても大丈夫ですよ」
「では少し失礼して」
フウカはメイド服のポケットから水晶球を取り出し、スカートの裾からロッドを引っ張り出す。
「どこからそんな長物が…」
フウカはアリアの感想を無視して詠唱の用意をする
『風よ汝は塵を吹き飛ばす風、汝の力は物を吹き飛ばし壊すに及ばず、限られた空間の内でのみで存在することを許された風である。汝の力で此の空間の内の小さき物を舞い上げ、取り込み、集めよ 小さな旋風』
ロッドの先端が緑に光って水晶球が緑に光った。
「では次の部屋に行きましょう」
二人は次の部屋に入る
「さて、うまくいってくれますように」
フウカは先程の水晶球に魔力を流す
水晶球が緑に輝き、
水晶球から萌黄色のそよ風が吹き出し、部屋の内を回るように吹き荒れるが物がどうこうということはなかった。
そして風は部屋の中央に集まって灰色の塊になった。
「後はこれを片付けて備品の補充と整頓をすれば終わりですね」
フウカの魔法によって先程の十数分かかっていた作業は五分程で終了した。
「まだまだ効率化が図れそうですね」
「くれぐれも物を壊さないでくださいね」
二人は次の部屋に入る
フウカは次々とプロセスを改良、簡略化、省略して一部屋三分で終わるようにした。
その後五分程の休憩を挟んで
「今から食堂の手伝いに入ります」
「 食堂での仕事は給仕です。注文を訊ねて、厨房に伝えて、完成した料理をお客様の下へ届けます。一度対応したお客様は最後までもてなしましょう。担当者がコロコロ変わってお客様が混乱されると大変なので」
「はい、わかりました」
「それと常に笑顔でお願いします」
フウカは急いで顔に接客スマイルを張り付ける
「はい、ではがんばりましょう」
「はい、がんばります」
そして二人は食堂に入った
「まずは私がやって見せるので見ていてください」
ソフィアは入ってきたお客様に一礼して席に誘導して注文を訊いて厨房に伝えた
「で料理が完成したら運びます。空いたお皿があったらお下げして…(以下ファミレスのバイトに対する説明を参考に)では仕事を続けましょう。質問があったら言ってください」
その後フウカは言われた通りに仕事をこなし、笑顔で接客した。
『おすすめとかありますか?』
と言う質問には少し迷ったがうまく対処した。
『たしか姫様とパーティー組んでる…』
と言う質問にも笑顔で対応した。
そして一時間後
「疲れますね」
「適度に休まないと持ちませんよ?」
「次は何をしますか?」
「買い出しに行くぐらいですね」
「買い出しですか」
「はい、今行商人の方がいらしてるので」
「では行きましょう」
「もう行くんですか?」
「もう秋なので昼の温かい内に行きたいじゃないですか」
「それもそうですね」
そして二人は制服の上から上着を着て門前広場に来た。
「あの馬車がそうです」
「馬車で売っているんですか?」
馬車で商売をする商人を見るのは別に始めてではないが大量発注になるだろう取引に馬車で挑むと言う所に少し驚いたのだが
「はい、一般の方にも多く売るために移動しながら販売されているそうです」
「移動販売ですか…」
「ダンカンさん?いらっしゃいますか?」
「ああ居るよ、いらっしゃい竹林亭のお嬢さん」
さして広く無いだろう馬車からダンカンと呼ばれた男が出てきた。
「いつものだろ?」
「はい、お願いします」
ダンカンは馬車から三つの木箱を下ろした、その木箱がどうやって馬車に入っていたのかが少々気になるが気にしない。
「今日はお嬢ちゃんたち二人だけかい?」
「少し事情がありまして」
「お互い大変だな…じゃあいつもの三つで金貨1150枚だな」
ソフィアは金貨の入った袋を渡す
ダンカンは袋を天秤にかける
「うむ、毎度あり」
ダンカンはまた馬車の奥に入っていった
「さて頑張って運びましょう」
「頑張りたくないので」
フウカは自分の腰の高さに魔法陣を三枚作って木箱を乗せた
「これでいきましょう」
「それ重くないんですか?」
「魔法陣は重いかもですけど私は重くないですよ」
フウカは木箱を魔法陣で囲んでコーティングした。
「それとさっきから妙な奴が嫌な視線を向けてきているので少し寄り道しますね」
フウカはソフィアの手を引っ張って路地裏に入った
「ソフィアさん、少し失礼します」
フウカは魔法陣でソフィアを囲んで木箱と一緒に宙に浮かべた
『一人になっちまったみたいだが、別嬪さんがひとり一人いるからいいか』
柄の悪い男が三人路地裏の入り口に立っていた。 奥からも5人でてくる。
ソフィアさんが何か叫んでいるようだけど魔法陣の内と外は空間が切断されているため聞こえない。
奥から出てきた男たちの先頭を歩いている男の顔には見覚えがあったが見覚えがあっただけでハッキリ覚えている訳でもない。
「あのときは良くも俺の相棒を殺ってくれたな」
「えーと、どちら様ですか?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
作者:「チンピラAだよ」
レン:「玉なしAのが良くない?」
ジン:「あーパンティーの時の」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「好きに言ってろ、今日は8対1だ。八人で泣いて懇願して復活した相棒にしゃぶりつく様になるまで犯してやる」
フウカは地面に手を着く
「諦めが早くて助かるぜ」
男たちが踏み出そうとした次の瞬間、八人全員の足下に藤色の魔法陣が現れて男たちはソフィアと同じく箱の中に入れられて木箱と一緒に浮かべられる。
「風船が増えちゃいましたね」
フウカはソフィアを下ろす。
柄の悪い風船は何かを叫んで箱の内側を殴り付けている。
別にチンピラA~Hが束になっても到底壊れないからいいけど、ちょっとイラっときたから風船を回転させる。
「フウカさんの魔法ですよね?」
「はい、私の空間魔法です。」
フウカが指を振ると上の風船が動いて互いにぶつかり合い、中のチンピラは衝撃で壁にぶつけられる。
「・・・便利ですね」
「さっ、この風船を詰め所に届けて戻りましょう」
二人は詰め所に向かった。
詰め所で風船を下ろすと、中のチンピラは満身創痍だった。
「情けない男共だね、女性一人相手に八人がかりでかかってこの様なんてね」
警備兵の男性も呆れるほどに情けない醜態を周りに晒していた。
だが既に虫の息の男も少なくなく、チンピラA~Hはなすすべもなく警備兵に詰め所の中に引きずられていった。
「では、あとお願いします」
「ああ、やっておくよ。それと君名前は?」
「ランクC冒険者のフウカです。」
「フウカちゃんだね、協力感謝します。」
「どういたしまして」
警備兵たちの敬礼を受けた上で月光の竹林亭に戻ってくる。
「今日はもうやることがないので終了にします。明日は鐘八つにここに来てください。今日の分の報酬です。」
ソフィアは金貨の入った袋を取り出した。
「しっかり受けとりました」
「では明日以降もお願いします」
こうして月光の竹林亭での仕事の初日は早めに終わった。




