アトラス
翌朝、私達は出発の準備を整えて馬車に乗る。
何気ない朝の慌ただしい様子が広がっていた。
門の前まで来て、異変に気づいた。
門が閉まっている。
「どうしたんでしょう」
「門番がサボってる訳じゃあなさそうね」
「ケイト、一応これ飛ぶやつの水晶球。なんかあったなら出ることになると思うので」
「流石に無いでしょ」
「まあ一応ですよ」
そして私は馬車を下り、警備兵に話を聞く
「どうしたんですか?」
「それがなんでも、近くのダンジョンが暴走してえらいことになっとるらしい、幸いにも出てきた魔物は一体だけらしい」
「その一体とは?
「アトラス・・・Sランクの巨人系の魔物一体だけだからどっかが犠牲になるけど、その他は助かると思う。相手はダンジョンの核を取り込んでるみたいだからそう長くないだろう」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
そして馬車に戻り
「どうも、ダンジョンが暴走してアトラスを召喚したみたいです」
「さて、逃げる準備でもしようかしら」
「私、ちょっとSランクの魔物ってやつに興味があるんですがちょっと挑戦してみても?」
「止めなさいよ」
「私達の仕事はお義父さんを無事に王都に届けることですよね」
「この際だからそんなことはパスよ」
「そうですか、ではしょうがないですね。私だけであれを止めます。」
「そんなの無茶苦茶よ」
フウカは翼を作り飛び上がる。
「もう、妙なところが熱血漢なんだから」
ケイトもまた飛び上がる
「1人でやろうなんて無茶よ」
「じゃあ、足止めお願いしてもいいですか?」
「はあ~私の言いたいこと分かってる?」
「馬車に戻りなさいですか?」
「その通りよ」
「残念ですがその提案に乗る気はありません。折角固くて調度いい実験対象が見つかったのに、使わないでスルーなんて私には出来ません」
フウカは速度を上げてアトラスに向かって飛ぶ
アトラスの近くにはいくつものクレーターができており。
その少し離れた所に更に大きい穴が一つある
「しょうがないわね、5分間だけ足止めしてあげるからその間に決めなさい」
アトラスの身長は約120m牛久大仏並だ
右手に持った巨大な鎚を地面に叩きつけている。
鎚の先端は淡く白く光っている
「さてやるかな『光よ!』
ケイトの短剣から目映い光が発生し辺りを白く染め上げる
『大地よ汝巨大なる壁となりて彼の者の歩みを邪魔せよ ウォール』
アトラスを囲むように地面から壁が生えアトラスを囲むが腕の一振りでもなく、少し体を捩った風圧であっけなく壁は崩壊する。
見れば槌だけでなく、アトラス全体がうっすらと光っている。
「まあ、普通そうよね『光よ、汝は閃光、汝は爆炎、汝が光は彼の者の双眸を刺し、彼の者の光を奪い、彼の者に我が怒りを伝え、終焉の引き金となれ』
空中でホバリングしながら詠唱を続ける。
アトラスの視線がケイトに向けられる。
『パニッシュ!』
ケイトの短剣から放たれた光の球は向けられた視線をたどるように文字通り光速で飛び、アトラスの眉間の間視界ギリギリのところで炸裂する。
放射状に放たれた光がアトラスの両の網膜の神経を焦げ付かせ、その熱量で表面を文字通り焦がす。
「ふぅ……あとはお願いね?」
ケイトが見上げた先には右手に風の弓、左にスタッフを携えた少女が次々と詠唱する姿がある。
『魔力よ、汝過ぎ去る我が風に加護を与えよ 風の加護』
『風よよ、汝過ぎ去る我が風と共に飛びて先に在るものを跡形もなく消し去れ 消却風の陣』
魔方陣が八枚現れた私は思考で指示をだし八枚を等距離に直線上に配置する
「ケイト、下がって!」
ケイトは急いで上昇する
『風よ汝は、我が意思に沿いて飛ぶ矢なり、その矢当たりし者に終演の瞬間をもたらす。その力を持って我が前に立ちはだかる者に絶対の終わりをもたらせ 終演の風矢』
私は杖を背に戻して、魔力と風で構成された矢を掴みとりアトラスの頭部に狙いを定めて射る。
矢は真っ直ぐに飛び、八枚の魔方陣の中心を撃ち抜き見事に頭部を撃ち抜いたと思われたが、アトラスは手に持っていた鎚で防ぎ直撃を免れたがそれでは終わらない。
鎚を中心に球体状の暴風の領域が広がり風の刃はアトラスを切り裂き肉を削ぎ鮮血が噴き出すがその血も即座に乾き、砕かれ再び流血を起こした。
風の魔力は剥き出しになった部分を風化させ壊していった、そしてそれは骨に届きその骨も例外なく風化させ砕いていった。
アトラスは苦痛に悲鳴を上げるが暴風の音に掻き消される。
領域は無情にも更に周囲の魔力を吸ってより大きくなる
アトラスは鎚を地面に叩きつけ地面に大穴を開け潜り込み、力を使って大地の魔力を凝縮させた棘を大量に地面から生やして身を守ろうとする。
しかしその棘も風化させ砕いていき、領域は棘の魔力も吸ってさらに巨大になるついにアトラスを包み込む。
風が再び肉を削ぎ始める、魔力が再び肉を、骨を腐らせ始める。
風は治まることを知らずアトラスを削るにつれて、アトラスが内包する魔力を吸って徐々に領域を押し広げていった。
とうとうアトラスのもつ鎚が破壊される、アトラスの回復能力も下がり始めた。
風は更に激しさを増し、アトラスに追い討ちをかける
。ついにアトラスが削りきられただの塵に還ると風は徐々に収まっていき、ついにその場から消え去った。
その場には巨大なアイスクリームをすくいとるあれですくい取られたような巨大な球体状の窪みがだけが残された。
「やり過ぎましたね」
フウカは少し反省したように呟き、そしてふらつき地面にまっ逆さまに落下していった。
「フウカ!?」
それをケイトがなんとか捕まえた。
アトラス ランクS
生息地不明
身長約120m
巨人型
備考
皮膚は物理属性の攻撃に強い耐性を持つ
回復能力が高く切り傷程度なら数秒で修復する。
そして耐久性能も高くなかなか倒れない
強大な腕力で大地から作った巨大な鎚を振り回す
大地に干渉する能力を持ち、自由自在に操ることができる




