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天星の宇宙 銀河の三英傑の一人は別の銀河の高校生  作者: 咲良喜玖
第一章 銀河の三英傑の邂逅

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第26話 帰路

 「お疲れ様。退却も上手くいっているようだし。敵の追撃もないだろうから、もう飲んでもいいよ。どうぞ」


 俺の声から始まるのは、大宴会。

 ここ食堂では、幹部と少数の人たちで休息に入った。

 先に休ませていたA班とB班を除いたメンバーがいる。

 戦争の疲れをここで癒して欲しい。

 おばちゃんが作った美味しい食事でね。


 ここ凄いんだぜ。

 ウナギが出てんの。うな丼だよ。うな丼。

 ビックリするくらいに柔らかくて、箸でズバッと切れちゃうから、高級うな丼だと思う。

 そんなのが、食堂から出てくるって、とんでもないよな。

 おばちゃんが最強なんだわ。


 という感想が出ながら、俺は皆と疲れを取った。


 ◇


 デルタアングルでの戦いは、結果とすると双方の退却に終わった。

 俺のみの考えだけど、何とかして逃げてもらった形だろう。

 やっとの思いで戦って、ようやく勝負を延長してもらう約束を取り付けた感じだね。


 「俺はね。もう駄目かと思ったよ。俺の命はここまでってさ」


 皆の前で陽気に話すのはフェルさん。楽しそうに語る姿は亮のようだ。


 「私も思いました!」


 手を挙げて同意したのは、イネスさん。

 元々明るい人だから、凄い楽しそうに見える。


 「イネスだけじゃないよな。誰もが思うよあれはさ。それに俺は、あの敵の中に入るって、アルさんが言った時には頭がおかしくなっちまったんだと思ったよ。狂っちまったんだってね」


 失礼な!


 「私も思いました!」


 そこ、明るく話さないでよ。

 もっと失礼だよ!


 「でも少佐は諦めなかった。俺たちの英雄アルトゥールは、最後の最後まで諦めない。伝説の男なんだ! やっぱよ。英雄はここにいたんだ。だから、俺たち。これからも生きていけるぞ。やったな!」


 おっしゃあ。

 みたいな感じで、フェルさんが持っているグラスを上げると。


 「「「おおおおおおおお」」」


 その周りで飲んでいる人が同じくグラスを上げて、喜んだ。


 その姿を横目で見ている俺は、今回の最大功労者の元に歩いていた。

 おかわりのうな丼を持って、彼の席の近くに座る。


 「ウーゴ。ありがとう。君のおかげでなんとかなった」

 「ふええ!?」


 ウーゴ君は、俺がそばに来ることに戸惑っていた。


 「いや、君がいなければ、俺たちはまともに戦えなかった。君の艦隊運用技術が、超一流じゃなければ、俺たちはあそこで広大な宇宙で沈んでいたいのさ」


 そう。ウーゴ君がいなければ、俺たちはまともに戦えなかった。

 敵の通信傍受に気付いたって、あの動きが出来なければ無意味。

 攪乱をすることを決めたって、その動きがしっかりしてないと、相手を罠に嵌められないんだ。

 全てはウーゴ君が作り出した基礎が重要。

 軍を丁寧に正確に動かす。

 言われてみたら、地味な事だろうけど、一番重要な事だ。


 現に。

  

 「相手はそこが出来ていなかった。敵の左翼の将。誰だか知らないけど、あっちは上手く統率が取れてなかったからね。君がいるかいないか。そこの差だと思うよ」

 「そ。そんな。ありがとうございます。少佐。僕・・・嬉しいです。ありがとうございます」


 何度も感謝を述べるウーゴ君は、涙を浮かべて喜んでくれた。

 褒めてよかった。

 褒めても無感情だったらどうしようかと思ったよ。


 「あんた。そういうのわかってる男なんだね。いいね。大将」

 「ん? お。ララーナ」


 火を点けてない煙草を口に咥えて、ララーナは席に座った。食事を持って来ていたようで、ガシャンと音を立ててテーブルに置く。


 「うちらの仕事ぶりを見ているって証拠さ。ウーゴを見ているってことはな」


 大きなウインナーにフォークをぶっ刺して頂く。

 豪快な彼女は、食事姿も勇ましい。


 「見てるさ。誰一人欠けても俺たちは勝てない。ララーナもよくやってくれたよ。最後の閃光弾もタイミングバッチリだ」

 「当然だ。あんたの指示通りだからな」


 照れくさそうに笑う彼女は、さっきまでとは違い可愛らしい感じだ。


 「私もお役に立てたのでしょうか」

 「ん。ああ、もちろん。カタリナ君もだ」


 カタリナさんが隣に座ってきた。食事は持って来ていない。


 「あの二人のように。少佐の力になれていたら、役に立ったと言えるのでしょうが」

 「彼らか・・・いや、それを言ったら。俺は彼らに自信を持って報告できるのか・・・明確に勝ってないからな」


 シチーさんとサンチスさん。

 二人は俺たちの盾となり、戦場で散った。

 彼らのおかげで、俺たちは生きている。


 「それは大丈夫です。少佐」

 「大丈夫?」

 「はい。二人は、憧れの少佐の為に死ねました。それは私たちの本望です。それに彼らはいつか必ず勝って欲しいと言っていたではありませんか」

 「・・・そうだった。彼らを弔うのに。アルトゥールの名を、帝国に知らせるべきだな」


 カタリナさんの言う通りだ。

 彼らに示せる誠意は、敵に連邦にはアルトゥールありと思わせる事だ。


 「そうだ。カタリナ君は、彼らと知り合いなのか?」


 こんな感じがする。

 あの時の事と今の話ぶりを振り返ると、知り合いのような会話に感じた。


 「はい。同期です」

 「ん。同期・・・」


 じゃあ、エリートに近い二人だったのか。

 そう言えば艦長だ。

 中尉か大尉。あの若さで?


 「私とシチー、サンチスは同じ故郷で同じ士官学校に入りました。共に少佐の為に生きようと誓ったんです」

 「え?」


 俺の為・・・じゃなくて、アルトゥールさんの為に?

 なんで?

 

 「私たちの命は、少佐のおかげなんです。あの時はありがとうございました」 

 「・・う。うん」


 何のことかわからないけど、彼女になんでだとは聞き返せなかった。

 

 「少佐は知らないと思いますが、とにかく少佐のおかげで私たちは生きているんですよ」

 「そうか・・・」


 しんみりして会話が途切れた後。

 ひょっこり俺の前に現れたのが、口いっぱいに食べ物が入っているリリー。

 トレイの中には、食事がある。まだまだ食べる気らしいが、俺に向かって宣言してきた。


 「むごむご・・・少佐。リリーであります」

 「うん。見たら分かるよ」

 

 とりあえず食べるのやめたら?


 「少佐。むごもぐ。むごもぐ・・・・リリーは少佐の専属の総舵手になりたいであります」

 「え。専属?」

 「はいであります。アーヴァデルチェは運転すると、凄く面白いであります。楽しいのであります」

 「は、はあ」


 この人、運転中毒者でしょ。

 

 「それで、アーヴァちゃんにはまだまだ未知なる領域があるのであります」

 

 アーヴァちゃんって、愛称で呼んでるの?

 つうか。未知なる領域!?


 「隠し持っている力があるのであります。それを使いたいのであります。だからリリーは少佐専属でいきたいのであります」

 「隠している力・・・・そんなのあるの。ララーナ?」

 

 俺は一旦リリーを置いて、ララーナの方を見て聞いた。


 「・・・まあな。ちょいと試作段階だから使ってねえだけだ。それに開発研究者がな。いなくなっちまってな。そこを詰められんのよ」


 彼女が、目を逸らして答えた。

 真っ直ぐ相手の目を見て話す人だから珍しい。


 「じゃあ、リリーはそれを知ってたのか」

 

 今度はリリーに聞いた。

 

 「いいえ。なんとなくわかったのであります。ハンドル握れば、大体その子の性格がわかりますからであります」

 「性格って」


 なんだよ。

 機械に性格があんの?

 意味わかんないよ。この子。


 「とにかく。リリーは少佐の専属で! お願いしますであります。運転したいであります」

 

 この言い方だと、俺がいいからじゃなくて、アーヴァデルチェを運転したいから、俺の部下でありたい。 

 これが理由で合ってるよな。

 かなり変わった理由だけど、信用は出来るよな。

 変に俺が褒められるよりも、理由がしっかりしていて、逆に好感が持てるわ。

 うん。素直が一番って言葉が似合う子だ。


 「わかった。もし、君がこの艦から降ろされるようだったら、上に掛け合ってみるよ。アーヴァデルチェの総舵手はリリーってことでさ」

 「本当でありますか。やった! やったーであります! むごむご」


 嬉しそうに飛び跳ねてから、肉じゃがを食べる。

 喜ぶのか。食べるのか。話すのか。

 どれか一つにしろと言いたい。


 「本当ですか。少佐」


 目ん玉が飛び出るくらいに目がおかしいカタリナさん。

 ガンギマリにも見える。


 「え。本当って?」

 「出来るんですか。専属!」

 「いや、わかんないけど。とりあえず、やってみるってことで」

  

 そうだ。誰かに言われたら、やってみようみたいな。

 学校全体の目標には出来ないから、クラスの目標みたいな感じだよ。


 「ででで・・では、私もいいですか。少佐専属!」

 「え。なんの?」


 なんの専属ですか。

 役職がある人だったら分かるんだけど。


 「うちもいいのか」

 「え。ララーナも」

 「あ。あの。ぼ、僕も」

 「え。ウーゴも?」


 でもカタリナさんよりかは、わかりやすいな。

 専属整備長と専属運航艦隊長。

 こんな感じかな。

 うん。じゃあ、カタリナさんは?


 ここで、俺は失敗したことに気付いていなかった。

 リリーに許可を出すのは、別な場所ですればよかったのだ。

 なぜなら、ここは、彼ら以外もいるのである。


 「少佐。それ本当」「マジか。俺もいいっすか」「私も」

 「あたしも」「僕も」


 仕事中以外は、フレンドリーでいいよと宣言しているので、皆が友達感覚で俺に宣言してきた。

 物理的にもどんどん押されて、しまいには誰にも返事を返せない状況となった。


 食堂にいられないかもと思った瞬間。

 モニターに映像が映る。


 『銀河連邦ニュースの時間です』


 あれはアナウンサー?

 

 『先日行われた解放戦争が終わりました。結果は勝利』


 勝利だと!? は?

 ありえないニュースに俺の嫌悪感は頂点に達して、怒りマックス状態になりそうだった。

 テレビに向かって切れたら、変な人だからやめただけだ。


 『一時劣勢となった所で、アルマダンの英雄アルトゥール少佐が敵を倒して好転したとの事。連邦の英雄の光が再び輝いたそうです』


 なに!? 勝ったと思ってんのかよ。

 つうか。ここでもアルマダンの英雄か。なんなんだ。そのアルマダンって奴は。


 『勝利は収めたものの。激闘だったらしく、今は帰還している途中だそうです。解放は次に持ち越しですが、相手を弱らせたようなので、次は奪取できるでしょう・・・以上。解放戦争のニュースでした・・・・次のニュースは・・・』


 勝っただと。

 ふざけんなよ。これが勝ちなんだと、国民に言いきりつもりか。

 何とか引き分けのような形なのに、これがどうやって勝ちに見えるんだ。

 

 俺たちの苦労を馬鹿にするのか。

 おい!


 俺を囲んでいた皆の顔も、俺と同じような顔になっていた。

 やるせない。虚しい。そして怒りが含まれた表情だった。


 ここから皆で大人しくなって、静かに宴会は終わった。

 せっかくの祝いの気分も沈んだ形となった。


 俺は、ここで重要な事を調べないといけないと思い、自室へと戻ったのである。

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