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天星の宇宙 銀河の三英傑の一人は別の銀河の高校生  作者: 咲良喜玖
第一章 銀河の三英傑の邂逅

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第11話 アルトゥールの部下たち

 我が旗艦アーヴァデルチェの会議室。

 私は皆の前に立った。

 各重要ポストに配属されているメンバーと各艦長を集めて、明日の決戦に備えようとしたのだ。


 ってカッコつけました。ごめんなさい。いつもの感じでいきます。

 今の俺の前には、画面の向こうにいる人たちだけど、指揮下に入ってくれた艦長たちがいる。

 総勢千名。

 モニター越しだが、たしかにそこにいるんだ。

 彼らの前で、俺は小さな演説をしないといけない。

 学校でも、壇上に上がって話したこともない人なんだ。

 めっちゃ緊張して、下に下げている手なんて震えあがっている。

 はぁ。皆の少佐像を崩さないように。

 慎重に冷静に事を進めないといけない。


 「諸君。今回集まってもらったのは他でもない、此度の戦に関係することで、事前に皆に聞いてもらいたいことがあったために召集をかけた。皆、緊急の召集に応じてくれてありがとう」


 こんな感じかな?

 大体、アニメでもこんな感じだよね。

 少佐くらいの人の話し方って、これくらいでいいのかな。

 皆さん、間違ってたらごめん。先に謝っておこう。


 「時間もないので、早速本題に入る。今回の戦争。私の艦隊の連絡方法に、変化を加える」


 モニター越しの艦長の顔を見る。

 俺の宣言でやっぱり驚いていた。


 「ここでは、音声通話のみの連絡手段を取らない。重要な指示を出す際に、文章での指示を送ることもあるかもしれないので、その時は注意をして欲しい」


 首を捻っている人がいる。

 音声使えるのに文章を利用するのか。

 その疑問を口に出したいのかもしれない。

 予想通りだ。


 「それと、文章を送る際はただの文章じゃない。暗号を組み込んでから出す。それで、今回の暗号キーがここにある。このキーを使って、私の指示を解読してから理解してほしい」


 念のための盗聴警戒。それに文章も盗まれた時の連絡方法だ。

 覇王伝でも昔さ。

 音声チャット乗っ取り問題が起きて、作戦が筒抜けになったことがあってさ。

 だから、気まぐれ探偵は、重要な指示を文字で出すことが多かった。

 今回はそれを踏襲した。


 「あと。君たち向けに連絡網を作っておいたから、通常時も合わせて、この連絡網で連絡する。大尉から中尉に連絡していって、軍全体に伝達することになるから、この通りに動いてくれ」


 昔あった学校の連絡網システム。

 一人から、複数のラインに落とすやり方だから、一気に連絡がいくはずだ。

 俺の艦から一斉にやるよりも、連帯感も生まれるはずだ。


 「よし。それでは、各艦長たち。質問があるかな。なければこのまま会議から黙って抜けてよしだ」


 大尉や中尉の皆さんは質問をせずに、無言で音声通話から抜けていった。


 ◇


 そして、会議場は、我が艦隊のメンバーだけになる。

 顔見知りになりつつあるメンバーだ。

 と言うよりも俺はこの人たちの事を必死になって覚えた。


 「それでは皆、気を楽にしてほしい。私たちは同じ艦の仲間だからね。会話も砕けた感じでいきたいんだ。肩の力を抜いてほしい」


 正直な話。

 俺はこのまま演技を続けるよりも、自分の普段通りの状態を知ってもらった方が、今後が上手くいくと思った。

 この艦の人々は、アルトゥールさんのことを良く知らない人たちで構成されているから、俺流の接し方でも大丈夫だと思う。

 それに、いついかなる場面でもアルトゥールさんでいる。

 それって無理があるじゃん。

 取り繕っている状態が続けば、いずれはボロが出るからさ。

 だったら普段通りの方がいいに決まってるんだ。



 「少佐、あんたはわかってんね。うちも堅苦しいのが嫌いでね。ただのエリートじゃないね。面白いわ」


 咥えた煙草をふかす。

 その姿もカッコイイ女性の名は、整備長のララーナ・バルデス。

 態度は横柄だが、仕事が出来る人。喧嘩っ早いが、仕事の手も早いと、同業者の中でも有名らしい。性格に難があると噂されているらしいが、アルトゥールさんが彼女を信頼しているみたいだ。

 あの日記に、そう書いてあったんだよね。

 それで、実際に見ると、めっちゃカッコいい人だ。

 ファンキーなドレッドヘアの女性だ。


 「よ、よいのですか。少佐。でも僕は気が引けるので、敬語でいきたいです………それより僕のようなものまで、なぜ呼ばれたのでしょうか」


 自信のなさげな男性は艦隊航行運用の管理人。

 少尉のウーゴ・モンロイ。

 おかっぱで可愛らしい女の子みたいな男性だ。

 華奢で小柄でもある。


 「それって本当ですかぁ。敬語じゃなくてもいいなんて、罠じゃないですよね。でも少佐が直接言うなら本当か。あ、それになんで私も呼ばれたのでしょうか?」


 ウーゴ君と同じ疑問を持ったのは、素朴な女性で通信指令の責任者だ。

 1等兵のイネス・メリノ。

 切れ長の目元に赤い髪がチャームポイント。

 この子が、偵察任務の際に緊急措置を取った人である。


 「少佐。楽にいくならアルさんって呼んでもいいかい。俺も堅苦しいのが嫌いでさ」


 馴れ馴れしい態度の男性は、宙空機部隊の隊長フェルナンド・リアバ・バルガス。

 飄々とした態度で、サラサラの金髪。

 それに手足が長いイケメンだ。

 つうか。この世界、イケメンと美女が多くねぇか!



 以上の4名を招集して、これに加えてカタリナさんと俺の計6名で会議を行うことにした。

 本当はもう1名も呼んではいるのだが断られてしまった。

 まあ、別に。

 今回はいなくとも大丈夫そうなんで、無理強いはしなかった。




 「私の事は、好きなように呼んでもいい。アルさんでも大いに結構。君たちがここに呼ばれた理由なんてものは一つしかない。俺が・・・いいか」


 俺と私問題を解決しよう。

 ここの皆の前では、俺。

 重要人物の時は、私でいこう。


 「ゴホン。そこで君たちの役割がこの艦隊運用で重要となっているからなんだ。だから皆。戦争の前にあらかじめ聞いてほしい。これだ。最初の議題であるが、見てくれ」


 俺は紙の資料を持った。皆には配ってある。


 「この紙に書いてある陣形を作りたいんだよ。この3つ。出来そうかい。ウーゴ」


 ここにいる人たちの表情が変わる。

 俺の言葉に真剣さが加わったから、態度を改めてくれたようだ。

 ララーナさんは咥えていた煙草を消して、あれだけ馴れ馴れしく会話をしていたフェルナンドさんですら背筋を伸ばして椅子に座りなおしたのである。


 「ふ、複雑ですね。陣形というのは場所の配置変換と捉えていいんでしょうか。それだと難しくはないと思います。ただこの陣形から陣形へと変化させる。このパターンをいくつか計算しないといけないです。それと連携が難しいかと。複雑な動きとなるかと」


 ウーゴ君は、こんなのは今までに見たことがないと言っていた。

 他の3人も、この紙を見て、目を丸くしていたので、やっぱりこの世界は横陣が基本で、殴り合いをするものだと仮定しても良さそうだ。

 これは覚えておいた方がいい。

 実際に戦う際に、俺が驚いてしまう事が少ない方がいいからね。

 冷静な判断をするにも、心は平常運転じゃないとさ。


 それで今完全に理解した。

 連邦が陣形を使わないのが確定したんだわ。

 皆の驚き具合だと敵もそういう陣形を使用したことがないってことでいいよね。

 じゃあ、敵も知らない陣形をこっちが使えるようになったら、本番では、こちら側に有利に働くかもしれない。

 敵の知らない知識で戦える有利性は、挟撃などの基礎戦術と同等の価値があるだろう。


 「ウーゴ。1日で出来るかい? 開戦前には皆に運航方法を教えて、シミュレーションだけでもさせてあげたいんだけど」

 「厳しいですけど、何とかやってみます」


 ウーゴ君は俺の無理難題でも了承してくれた。

 本当にさ。無理難題を押し付ける。ブラック企業みたいでごめんね。

 あとで何か奢るからさ。

 

 ウーゴ君に心の中で謝った後。

 アーヴァデルチェの機能について聞いた。

 簡易端末では、詳しい情報がなかったので、ここでプロに聞いたのだ。

 

 「次に。アーヴァデルチェに実装されている特殊装置が知りたいんだ。完成している噂の奴・・・これを詳しく説明して欲しい。いったいどういうものなんだ。ララーナ」


 勉強した時に発見した。

 アーヴァデルチェには、幾つか未実装の武装がある。

 そこで俺は完成されたものだけを聞いてみた。


 「あんた。実物をまだ見てなかったのかい」

 「すまない。知らないんだ」

 「いいぜ。なら教えるよ。あれは、一回きりの特殊発光弾だよ。敵の視界を奪う特殊弾。まあ、閃光弾だね。かなり広めの範囲で目を奪うわ。でも気をつけないと、敵味方両方の目がやられるね」

 

 ララーナさんはピースの指を目に近づけてアピールした。

 ここが見えなくなるんだぜっていうアピールだろうね。


 「なるほど。要は使いどころに気を付けなきゃならんのね。そうか。直接視界を奪うほどの白光を作り出すってことか」

 「そういうことなんだわ。アルさん、俺たちの目もやられちまうからよ。もし使うなら、宙空機部隊にも気を使って欲しいぜ」


 宙空機部隊のフェルナンドさんも答えてくれた。


 「うん。わかった。気を付けるよ」


 アーヴァデルチェに実装されていた特殊装備は閃光弾。

 高度な文明を築いた世界の武器としては、かなり原始的な物だ。

 直接目の力を奪うなんてね。

 これはもしや、モニターを見る事ができないようにするってことでいいのかな。

 それだと、もって1分間くらいの機能停止に追い込むって事かな。

 これは一回戦闘で試してみないと分からない。

 使い道があると思うが、タイミングも重要だ。

 覚えておいて、損はないからメモだけはしておこう。

 



 「アル少佐、質問で~す。さっきの通信の暗号化はなぜですか? 音声の方が速くて便利だよ。なんでわざわざ文書通信なの? 大昔のやり方ですよ」


 イネスさんは率直に質問をしてきた。

 この中じゃ、無邪気で可愛らしい人だ。 


 「うん。音声の方が圧倒的に便利なんだけど、念のために文章での暗号化をしたいんだ。音声通信ってオープンチャンネルでいいんだよね。俺の艦隊メンバーの人とも繋いでいるし、母艦とも繋いでいる。こういう感じだよね」

 「はい、そうです」


 彼女が砕けた感じだから、ついつい俺も砕けた感じで答えてしまった。

 でも皆違和感がなさそうだから、このままいく。


 「じゃあ、相手の音声を盗聴できたりするのかな?」

 「連邦と帝国では技術が違うので、たぶんできないかと思いますよ。たぶん」


 たぶんが二回出てきた。

 だから、絶対ではないことの証明だ。

 彼女を信用してない訳じゃないけど、念の為の準備はしておこう。

  

 「でももし相手が盗聴出来たら、こっちの情報が筒抜けになる。苦もせず。楽に情報を得られる手段として、盗聴は効果が抜群なはずだ」


 俺の言葉に、皆が頷いていた。

 正解なんだと自分でもホッとする。


 「いいかい。戦争で一番重要なのは情報なはずだ。あとは補給、士気。それに兵数かな。ここだと装備もかな。だから用心して損はないはずだ。イネス。通信を面倒にして悪いけど、やってもらえるかな」


 これは基本だよね。

 戦争の歴史にもあったような気がする。

 情報が大切だとね。

 

 「いえ、私は大丈夫ですよ。私なら、ちょちょいって、すぐにできますからね」


 イネスさんは、通信に関して凄い自信家であった。

 気軽に頼んでもらってもいいわよという雰囲気が出てる。


 会話が途切れたと思ったララーナが話しかけてきた。


 「それにしてもあんた。かなり珍しいタイプの指揮官だね。命令のみじゃなく、相談みたいな会議をするなんてな。本当にただのエリートじゃねぇんだな。ほんと面白いぜ」

 「それ俺も思った」「私も」「僕も」


 ララーナさんの意見に、3人が首を縦に振りながら呼応した。


 はい。それはそうです。当たり前です。

 俺は、自分に自信がないから、誰かに聞いてもらいたいだけなんだ。

 別にエリートでもないし、ましてや軍人でもねえ。

 ただの高校生だ。

 アルトゥールさんという偉大な人の姿を模したどこにでもいる日本人なのよ。

 

 ここに来るまでに一生懸命勉強したけど、自分の思い通りに、事が進むとは思ってないから。

 身の程をわきまえているつもりなんですよ。俺はね。

 

 そうだ。ここまで低姿勢を貫くんだから。

 この戦争!

 神様、どうか運だけでもください。

 頼むよ。何もチート能力をくれなかったんだからさ。

 この人たちの事を守れるだけの運をください。

 アルトゥールさんが頑張って、守ろうとした人たちなんだ。

 どうか、俺にも守らせてほしいんだ。

 神様、いるかわかんねえけどさ。



 「まあ、次回も気にせずに。気軽に俺に相談してほしい。そして俺も君たちにどんどん相談するから、これから先も力を合わせて頑張っていこう。よろしく」

 「「「「はっ、少佐」」」」


 俺が本心を伝えたら、皆が敬礼してくれた。

 皆が俺を認めてくれたようでね。嬉しかった。

 気持ちよい返事をくれた事も、少しだけホッとする要因だった。

 


 これから起こる戦いに向けて、良いスタートを切った坂巻であった。

 

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