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庭に出られず
部屋の外も照明は全て落とされていた。
月明かり差し込む薄暗がり。
カンテラを掲げながら、ミザールはひとまず庭を目指した。
薔薇が好きだ。
暇さえあれば編んでみせるし、散歩に出る際は必ず見る。
いつも昼間の薔薇しか目にしていないが、深夜の薔薇はどんな風に美しく咲き誇っているのか。
想像するだけで足取りも軽やかになる。鼻唄も歌いたくなるが、さすがにそれは安眠を妨害してしまう。静かに静かに歩んでいき、ミザールはエントランスに辿り着いた。
扉を軽く押す。
がたりと反応はするが開きはしない。
ドアノブに手を掛ける。
硬い。
鍵が掛かっているらしい。
ミザールは鍵を持っていない。戸締まりをきちんとするのは良いことだが、これでは外に出られない。
……窓から出るか。
そう思いながらミザールは窓に視線を向け、一番近い窓に近寄る。そして手を伸ばそうとした瞬間に──。
「誰だ!」
そのような鋭い声が耳に入り、ミザールは思わず後ろを振り返った。




