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18.ポッド排出、切り離し

  2メートル四方のドッキング搬入口に接続されているポッド。

そこからパッケージングされている荷物を、台車に乗せてハンモックに入れるケケ。そして移し替えると、ドッキングポッドの扉を閉めて、ハンモック側の外壁ドアをも閉じ、搬入口の扉も閉めて、電磁ロックが作動するのを確認する。

「ポッドの荷物、移動終了。電磁ロック施錠確認しました」

  ケケは無線で連絡をすると振り返り、カメラに向かってOKサインを出す。

そのケケの姿を操縦室モニターで見つめるキャプテンである沙織。

「了解。・・・(そして司令部に連絡)これより船体からのポッド切り離しに入る。作業としては、境界ラインに高圧酸素注入し、その後ドッキングロックを外し、第1室のポッドを宇宙空間に飛ばす工程です」

  沙織、進行の手順を読み上げていく。

 副リーダー操縦士のレイが、扉の電磁ロックとドッキングロックが緑のランプ『ON』で両方が固く閉じている状態にあることを再確認すると連絡する。

「司令部、こちらハンモック。境界ブロックのロック確認。これより酸素注入、始めます」

  司令室のブラウンから『了解』の無線が入り、

「圧縮酸素、注入開始」 

  沙織、酸素注入を指示。

指示を受けたジンが酸素供給のスイッチを入れた。

  荷物を保管庫に入れ終えたケケは、動き出した酸素供給装置の計器のチェックを始める。そこに表示されている数値を読み上げていく。

  船内のコンプレッサーの音はさらに高鳴り、電磁ロックで連結しているポッドとの境界エリア部分に酸素が勢いよく流れていくのがわかる。

「・・・」

 その音を聞いていると、緊張が高まっていく沙織。それはパルテノンで起きた事故と同じ作業に入ったからだ。

「沙織、周りを見ろ」

 かぶっているヘルメットのスピーカーに、レイから声が届く。沙織、ハッとして見回すとジンが手を振っていることを知る。

「沙織スマイル。スマイル」

 モニターの中に映るケケも手を振っている。

「バレバレか。・・・リーダーの私がこれじゃダメね」


 レイが操縦席のモニターをシュミレーション映像の地球軌道表示に切り替える。そこにはハンモックの進行軌道が表示されている。

 進んでいくハンモック船体が点滅ランプで表示されて、赤灯している『ポッド切り離し地点』エリアに近づいていく。

「全自動システムは、全て順調。プログラム通りに進んでいる」

 冷静なレイの声がみんなのヘルメットスピーカーに流れる。


 ケケは接続部の計器を見て目視。

ジンも酸素供給が順調に進行しているのを計測している。

「レイ、ジン、ケケ、みんな作業を順調に進めている。・・・」

 それを眺めている沙織。

「単純な作業なのだ。トラブルなんて起きない」

 と、口に出して言ってみる。



「運行航路、異常なし。進行時間−1秒、許容範囲内。順調に進行してます」

 別室にある司令部のスタッフの声がクルーたちのヘルメットスピーカーに流れてくる。

 沙織、うなづくと

「ポッド切り離し地点に近づいた。排出準備。ポッド内の酸素充填量の確認して」

 ジン、センサーのスイッチオンして計測。グリーンのランプ類が点灯し、

「充填90%。排出可能領域に入ってます」

「了解。・・・レイ、船外レーダーの確認をお願い。浮遊物があるかチェックして。・・・司令部、地球上レーダーにて、ハンモック近辺のデブリ確認を要請する」

 沙織、司令部(地球側のレーダー)も動員させて、ハンモックの進行方向や周辺に、人工衛星やスペースデブリの無いことを再確認。

 副長のレイより報告。

「順調にハンモックは軌道レーンを進行中。分離目標地点接近中」

「・・・障害物なし。搬出の方向よし。オールクリア」

 レイと司令部から送られてくるインフォメーション。そして

「切り離し作業を開始せよ」

 と、コマンダ・ブラウンが伝えてくる。

「了解。・・・ジン、境界エリアに送られている酸素量を再び確認。レイ、ドッキングシステムをオフ。ドッキングの電磁ロック解除の準備。・・・ケケ、衝撃が発生する可能性があるので、船内に安全ハーネス接続して、体を確保して」

 沙織の目の前のモニターで、ハンモックの軌道の切り離しポイントが近づいているのを見つめる。

「切り離しのカウントダウン開始。10、9、8、7、・・・・」

 ハンモックの位置表示を基に、司令室スタッフがカウントダウンを開始する。

「・・・5、4、3、・・・」

 船内の沙織たちも同調してカウントを唱える。

「・・・2、1、ゼロ。電磁ロック解除」

 沙織の解除命令でボタンを押すレイ。

「ドッキング電磁ロック解除」

 するとロックが外れたポッドは、送り込まれている酸素の力で、

ガッコーン。

 と、いう音と共にポットが分離。

ロケット切り離しのように飛ばされて、離れていく映像。

 沙織の目の前に映るモニターには、前進していくハンモックと、分離していくポットの点滅表示が表示されていており、その点滅ライトは離れていく。

「・・・」

 ポッド分離が何事もなく終わり、ため息をつく沙織。

「どうだい沙織、問題なかっただろ?」

 レイの質問に顔を向け答える沙織。

「ええ、全て正常。・・・本当、まったく問題なし。・・・」

 あっけないくらい順調に終わった作業に、沙織は少し肩透かしのような物を感じて答える。


  改めて、隣のビルの司令室のブラウンの声が、ヘルメットスピーカーから聞こえてくる。

「こちらの司令部のブラウンだ。センサーは全て正常、問題なく作業を終えている。・・・ではこれからハンモックは自動航行に切り替えて、次の実験作業の太陽ソーラーパネルの展開作業の準備に入ってくれ」

「こちらハンモック。了解した」

  沙織もまたリーダーの務めに戻り、次に行う作業の命令を出す。

「これより自動航法に入る。航法システム、オン。自動システムEC航法作業の概要をモニター表示しておいて。乗員、ヘルメットの脱着、オッケーです」

 沙織、レイ、ジン、操縦室にいる3人はヘルメットを外し、次の作業の準備に入る。

 沙織、書類で置いてある次のシステム説明書を開き読み始める。

すると突然、ポッドのドッキング部分を目視を出来るケケから無線が入ってくる。

「キャプテン沙織。ちょっと待ってくれ。・・・ポッドは、・・・まだポッドは分離してないぞ」

「え?」

  驚く沙織、慌ててモニターを前の画面に戻す。

そこには先ほどのシュミレーション映像の地球軌道表示画面が現れ、航路を進んでいくハンモックと、どんどん下降して、地球方面に進んでいる切り離しポッドが表示される。

「ケケ、こちらではポッドは分離されていて、大気圏に降下中だけど」

「いや、システム情報はそうかもしれないが、・・・物理的パーツ。まだ現物のポッドがドッキングしたまま、ここについているんだ。・・・それも、今も圧縮酸素を注入し続けている状態だ」

 ケケが見ている窓外には、しっかりとポッドがドッキングしたままで、外部の酸素製造装置が繋がっている。それが水蒸気を上げてフル稼働で製造してハンモックに送り続けている。

「・・・どういうこと?」

 ちょっと理解が混乱する沙織。

「シュミレーション映像とは別に、現実では、『まだポッドはくっついたまま』で、まだ高圧酸素を送り続けているということさ」

 ジン、酸素供給の機器をモニタリングすると、出来上がった酸素をフル稼働で注入し続けているのがわかる。

「確かに酸素は送られています。それもフル生産、フル圧力で注入され続けています」

「レイ、モニター表示を設備システムの表示に切り替えて」

 表示された各システムの稼働状況が表示され、酸素作成装置がフル稼働で動いている。充填率120%を超えている。

「先ほどのポッド分離の音や振動は?・・・ダミー?」

「確かにシステム内のシュミレート映像で、分離された映像は現実のものとは違うが、・・・そんなことより、それに対してセンサーやロックは外れたと表示されている」

 レイが応える。

「ならさっきの振動は、電磁で動く機械的なものが作動したということ?」

 うなづくレイ。

「そうだ。電磁で動くドッキング固定のロックが外れたが、電磁ドッキングシステムの磁石だけが解除されてなかったと推測される」


ガチャン。

 船内に音が響き、振動。

「?」

「おい、なぜか、ドッキング電磁ロックが再びかかったようだぞ」

 ケケの見つめるゲートのロック表示のグリーンランプが点灯したので報告。連絡が船内スピーカーから流れる。

「安全セイフティのためか電磁ロックが再び作動したようだ」

 操作パネルを確認したレイが言う。

「・・・まだ終わってない」

 沙織に不安が襲ってくる。

「・・・ケケ、どう?目視でポッドが、どんな状態かわかる?」

「窓からは外部の状況が、そんなに見ることができない。ただポッドが、まだあるということは確認できる」

「・・・司令部、外部に接続しているポッドの状態が、こちらでは把握できません。船外の様子をモニタリングしてくれませんか?」

 沙織に言われて、司令部の方で、フランシス、ブラウン、スミスが、船外の写すカメラの映像を見る。

 するとハンモックの船体に、レール台車に乗った2、5四方の正立方体のドッキングポットがついたままの状態であることがわかる。

「本当に切り離されてない」

  そしてドームにある外部の酸素作成装置も、フル稼働でハンモックに供給しており、作成時にでる水蒸気をまき散らしているが見える。

「ドームから送られている平常時の酸素も、止まっていない」

「ああ、それがそのまま、接合部にも流れているようだ」

 見つめるブラウンとスミスが分析した。


ゴン。

 船内に何かの音が響く。

「また歪みかしら、レイ?」

「だったらいいが、この音はパルテノンで聞いた音に似てる」

 レイが応える。

「・・・」

 顔を見合わせる沙織とレイ。









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