第七話 本拠と事故
■■■
日乃根…正式名称、日乃根之国。約二億人もの人間がの住む国。NASが発足、世界規模の組織へと成長した基盤を支えた国。その首都「トウキョウ」。その中でも特に高層ビルなどが多く立ち並ぶ、所謂「都市」。ここ「月谷市」である。
■■■
俺は明日乃に
「NAS日本支部本部」
に連れてこられたのだが…
「ただのボロ屋じゃねーか!」
「違うよ。ここ本部だよ」
「こんなボロ屋まず普通ねぇよ!」
高層ビルが多く立ち並ぶ月谷市。
珍しいボロ屋。
「もっとどデカいビルとかじゃないの?」
「重要なのは『扉』だから」
世界規模の組織だよ…?
「まぁ、カッコは悪いよね…でもほら、隠すのも必要だからさ…」
明日乃は躊躇なく敷地に入る。
がちゃり。
扉の向こう。
近未来的。
とてつもなく広い。
上…天井が見えない。
おかしいおかしい。
「ハァ…?」
「あのボロ屋とここ、『NAS日本支部本部』は扉を介して繋がってるの」
なるほど…
■
「んで、どこに向かうかっていうと…」
中に入ってみると、案外普通に『ビル』っていう感じ?
清潔感がある。
明日乃についていくと、またまた扉。
総務処理課
わぁ。
なんとなく用事がわかったぞ。
扉を開ける。
扉の向こうに。
鬼の形相。
鉄拳を喰らう明日乃。
わあ…
「テメーはなに人様を巻き込んどるんだー!」
「うるせーババア!」
「誰がババアだクソガキ!30代はお姉さんなんだよ!」
「そもそも巻き込んでねーし!」
巻き込まれてます。
■
「うん、契約書確認したよ。」
それじゃあこれからNASの職員。よろしくねー!
キョトン。
色々とトントンで進みすぎて。
完全に置いて行かれた気がする。
「あー…ミナトちゃん?」
「あんたもしかしてなんも説明してないわけ?」
「はい…」
ハァ…とため息。
この人苦労人だな。
「私は如月湊。ここ、総務処理課のトップやってるの」
綺麗な女性。
あと。
どたぷん…
でか…
じゃなかった。
危ない危ない。
「わたしは別に魂能ないからねー…こんな事務仕事ばかりやってて」
で、
手を叩く如月。
「亜夢は今日契約書だけじゃないでしょ、用事」
「さすが、よくわかってますわ」
手でお金のマークを作る。
「今日の朝と…夕方の分。臨時報酬出てるでしょ?」
「ハイハイ…本当は渡したくないんだけど?あんた今日どっちも規約違反だからね?」
規約違反…?
「朝のはともかくさっきのはもうアリマくんいたよ?」
「アリマくんはまだ正式加入してません」
はい朝の分…
「危険度低討伐報酬の5万と」
「ほいさんきゅー」
「それと夕方の危険度二の15万」
「それはアリマくんに渡して」
え?
思わず。
声が重なる。
「あ、亜夢が金を自ら手放すなんて…」
「私をなんだと思ってるんだ」
「欲望の化身」
「本当になんだと思ってるの?」
やばい。
完全に置いてかれてる。
ここで言わないと。
「何で俺に?」
「あぁ、さっきのあれ。多分キミいなかったら私死んでた」
そしたら当たり前でしょ?
「ハァァァァ⁉︎」
「死んでたは言い過ぎか。まぁどっちにしろ撤退にはなってたと思うよ。アリマくんはMVPだね」
「珍しいこともあるもんだわ」
「だからミナトちゃんは私のこと見損ないすぎ」
「自分で言うことじゃないわい」
封筒に入れられた15万。
重かった。
「えーと、どこまで話したっけ」
総務処理課。
如月さんがNASの規則について話してくれた。
原則二人1組での行動。
なるほど明日乃が怒られるわけだ。
みんな仲良く。
なにそれ…
「やぁ…でもそれくらいかな」
「今知っておくべきはそれくらいだね」
「みんな仲良くって何…?」
「仲良くしなきゃ運営まとまらないでしょ」
「そりゃそうですけど」
そりゃそうだけど…!
「あとはあれだね。NASのお仕事」
「能魔の討伐だけですよね?」
「いや、それ以外にも魂能関連のほとんどをNASの権限で担っている」
魂能を用いた特殊犯罪の対応もね。
「そんなことしてるんだ…」
明日乃と如月は談笑。
にしてもここは忙しいな。
あまり広くない部屋で20人余りの人間が慌ただしく動く。
狭い通路は予測線で埋め尽くされている。
鳴り響く電話。
舞う書類。
(あれとあれとあれやらなきゃ)
(これ締め切り今日まで?)
(怪我人の情報を)
(収支が合わん!収支が合わん!)
(この書類はここ)
(これなんの内容だったっけ)
あれ?
頭が痛い。
クラクラする
「それで…」
「…でしょ?」
二人の会話が聞こえなくなってくる。
予測線が歪む。
人が多い。
声が多い。
鼻血?
処理。
意識が。
途切れ…
なっっっが。
ゴメンナサイ




