表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放令嬢ジェルジの山あい行灯店 ――宵闇の村でもふ獣人と灯す、ぬくもりごはんと旅の夜――  作者: 乾為天女


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/13

第12話 そばにいるだけで

 夜が更けても、帳場の紙は減らなかった。


 昼のうちに書き出した一覧へ、さらに細かな書き込みが増えていく。貸し出し用の小型行灯は何基までなら宿で回せるか。薬草湯の桶は何人分を先に温めておくべきか。保存食の包みは一日で何個作れば無駄が出ないか。村長へ見せる資料の順はどうするか。


 ひとつ片づけば、次が見える。

 次が見えれば、また書く。


 そうしているうちに、食堂の喧騒はひとつ、またひとつと消えていった。


 最初にアラシュが欠伸を噛み殺しながら鍋を下げ、次にティットマンが地図を抱えて帰っていく。ソフィーは薬草袋の束を籠へ収めると、ジェルジの肩へそっと手を置いた。


 「冷えてきたら、そこで終わりにするんだよ」


 「はい」


 返事はした。

 だが、手は止めなかった。


 アリーも最後まで残っていたが、閉める戸の確認を終えるころには、さすがに諦めたような顔で帳場を覗き込んだ。


 「ジェルジ」


 「はい」


 「今の返事、何も聞いてない顔だね」


 「聞いています」


 「じゃあ言ってみな」


 ジェルジは筆を持ったまま止まった。


 「……冷えてきたら、終わりにする」


 「よろしい」


 アリーは満足げに頷いたあと、湯飲みをひとつ帳場へ置いた。


 「その代わり、これを飲んでから」


 湯気の上がる香草湯には、ほんのり甘い匂いが混じっていた。ソフィーが調えたものだろう。喉へ落とすと、胸の奥に張っていた細い糸がすこし緩んだ気がした。


 「あなた、頑張ると急に静かになるから分かりやすいんだよ」


 「……そうですか」


 「そうだよ。泣く前より、そっちの方が危ない」


 アリーはそれだけ言うと、帳場の隅へ毛布を一枚置いて立ち上がった。


 「私は寝る。火は小さくしておきな」


 「はい。おやすみなさい」


 「おやすみ」


 戸が閉まり、宿はようやく本当の夜の顔になった。


 外では霧が深くなっているのか、風の音が低い。遠くで沢が鳴っているはずなのに、今夜はそれすら布をかぶせたように柔らかかった。食堂の中央に残した行灯が静かに燃え、帳場の上へ薄い金色を落としている。


 ジェルジはもう一度紙へ向き直った。


 ――役人へ見せる順番。

 ――夜道案内の実績。

 ――宿泊者の増減。

 ――湧水の使用量。

 ――発光石の道標跡。


 そこまで書いて、筆先が止まる。


 役人に見せるべきことは、まだまだある。商会が欲しがっているのが石だけではなく、水も含めた土地そのものだと示すには、もっと整理が要る。夜会の発火と精製油の繋がりも、帳簿の抜けも、全部いずれ並べなければならない。


 頭の中では、いくつもの線が伸びていた。

 だが線が増えるほど、眠りは遠のく。


 王都の夜会の光景が、不意に紙の白さへ重なった。


 笑い声。楽師の弦。花冠へ仕込まれた飾り灯。誰かが息を呑んだ一瞬のあとに、揺れ上がった炎。自分へ集まった目。弁明しようと開いた口より早く、犯人だと断じられたあの場。


 あの夜、何が燃えたのか。

 灯具だけではない。

 自分の居場所そのものが、一度まとめて焼かれたのだ。


 ジェルジは無意識に肩を抱いた。


 暖かいはずの宿の中で、そこだけ冷える。


 眠れなくなる前触れを、もう彼女は知っていた。胸の奥が妙に冴え、耳だけが敏くなる。火の音、紙の擦れる音、柱の鳴る音。どれも小さいのに、やけに近い。


 駄目だ、と思った。

 こういうときは一度離れるべきだ。


 それでも、帳場を離れきれない。


 紙を重ね直し、筆を置き、また別の紙を引く。今度は灯芯の巻き方を書いてみる。宵霧に強い芯、長く燃える芯、子どもでも扱いやすい小型灯具用の芯。


 指先を動かしていると、少しだけ落ち着く。

 落ち着くから、止め時を失う。


 どれぐらいそうしていただろう。


 表で、戸の鳴る音がした。


 はっとして顔を上げる。もう客は入れていない時刻だ。村の者なら裏口を使うことが多い。ジェルジはすぐに立ち上がり、帳場脇に置いた灯りを手に取った。


 表の戸を開けると、冷えた霧がひとかたまり入り込んできた。


 そこに立っていたのは、モフャだった。


 肩へ夜露を乗せたまま、片手に木箱を持っている。耳の先まで湿っていて、尾がいつもより重そうに見えた。


 「どうしたんですか」


 「これ」


 差し出されたのは、昼に話していた寝具の試しだった。二重袋にした獣毛入りの敷き布で、縫い目の位置が確かめやすいように糸の色まで変えてある。


 ジェルジは思わず目を丸くした。


 「もう仕上げたんですか」


 「途中まで」


 「途中……」


 木箱を受け取ると、ずしりとした重みが手へ伝わった。途中と言うには、だいぶ出来上がっている。


 「明日の朝でいいのに」


 「起きてる気がした」


 ジェルジは言葉を失った。


 霧の向こうでは、宿の前札がぼんやり光っている。夜道案内あり。休み湯あり。持ち歩ける灯りと飯あり。その下へ、夜更けに木箱を抱えて立つ山の青年がひとり。


 「……分かったんですか」


 「灯りがついてた」


 「それだけで」


 「それだけで十分」


 戸口で話し込ませるのも悪く、ジェルジは急いで彼を中へ招き入れた。戸を閉めると、湿った冷気が少し遠のく。


 モフャは食堂へ入るなり、中央の行灯、帳場の紙束、湯飲み、開かれたままの筆記帳を一度に見た。何も言わない。だが、ああ見つかった、という顔をしている。


 「まだ終わってなかったのか」


 「終わらせようとはしていました」


 「してない顔だ」


 昼にも似たようなことを言われた気がする。ジェルジは少しだけ口元を緩めた。


 「モフャさんも、人のことは言えないでしょう」


 「僕は途中で持ってきた」


 「つまり、途中まで作っていたんですよね」


 「うん」


 「夜に」


 「うん」


 言い返す言葉がなくなり、ジェルジは視線を落とした。モフャは自分の分が悪いと分かると、すぐに話を横へずらす癖がある。今も木箱の蓋を開き、敷き布の角をつまみ上げた。


 「こっち、見て」


 帳場脇の卓へ広げられた試作品は、外布がしっかりしているぶん見た目は素朴だったが、手で押すと中の獣毛が偏りすぎず、やわらかく戻る。


 「中袋を細く区切った。毛が片寄らない」


 「本当だ……」


 ジェルジも端を押してみる。沈み方が均一で、寝返りを打っても冷たい底へ当たりにくそうだった。


 「底の隙は」


 「ここ」


 モフャが縫い目の一部を示す。目立たないように作られた細い逃がし口があり、湿気だけが抜けるよう工夫してある。


 「山小屋で試した?」


 「一時間だけ」


 「寝てないじゃないですか」


 「横になった」


 「それは試験であって睡眠ではありません」


 彼の耳が一度、ぴくりと動いた。


 「……怒ってる」


 「怒ります」


 「でも使えそう」


 「そこは褒めます」


 怒りきれずに言うと、モフャはほんの少しだけ肩の力を抜いた。こういうときの彼は、大きな犬のように見える。自分で持ってきた木箱より、こちらの機嫌の方を気にしているのが分かるからだ。


 ジェルジは敷き布へ手を置いたまま、ふと息をついた。


 「ありがとうございます」


 「うん」


 「助かります。本当に」


 「知ってる」


 さらりと返され、今度は別の意味で言葉が詰まる。


 知っているのか。

 そう言い切られると、嬉しいのに、何だか落ち着かない。


 モフャは敷き布を畳み直しながら、何気ない声で訊いた。


 「まだ何する」


 「資料の順番を整えて、灯芯の巻き方をまとめて、それから」


 言いかけたところで、彼は帳場の椅子をひとつ引いた。


 「それ、持ってくる」


 「え」


 「芯」


 ジェルジが置きっぱなしにしていた灯芯用の綿束と獣毛の細繊維、それに細い糸巻きを、モフャは勝手を知った手つきで卓へ運ぶ。さらに自分も椅子へ座ると、当たり前のように片手で芯をより始めた。


 「……どうして」


 「手が空いてる」


 「今、さっきまで寝具を作っていた方の台詞ですか、それ」


 「今は空いた」


 屁理屈だった。

 だが、その屁理屈に救われる。


 ジェルジも諦めたように向かいへ座り、綿束を取った。二人分の手が、静かな卓上で同じ動きを始める。巻いて、撚って、長さを揃える。必要な作業は単純で、単純だからこそ、余計なことを考えずにいられる。


 しばらく、火の音と糸の擦れる音だけが続いた。


 宿の中は静かだ。

 けれど、ひとりのときの静けさとは違う。


 向かいに誰かがいて、同じ明かりの下で同じ作業をしている。

 それだけで、夜の輪郭が変わる。


 ジェルジは手を動かしながら、ぽつりと言った。


 「最近、また少し眠れなくて」


 モフャの手は止まらなかった。ただ耳だけが、こちらへ向く。


 「役人のこと?」


 「それもあります」


 「王都のことも」


 「……あります」


 嘘はつかなかった。

 この人は、無理に聞き出さない代わりに、見えているものを見えていると言う。


 「昼は平気なんです」


 ジェルジは細い芯を揃えながら続けた。


 「やることが多いと、考える前に手が動くから。でも夜になると、あのとき言えなかったこととか、間に合わなかったこととか、そういうのが急に近くなるんです」


 「うん」


 「今さら思い返しても変わらないのに、頭だけ起きてしまって」


 巻いた芯を一本、卓へ置く。真っ直ぐではあるが、少し撚りが甘い。ジェルジはそれを脇へ避けた。


 「止まったら、負ける気がして」


 言ってから、自分でも何に負けるのか分からないと思った。

 王都にか。商会にか。濡れ衣を着せた者たちにか。それとも、もう一度居場所を失うかもしれないという、自分の恐れそのものにか。


 モフャは一本巻き終えた芯を揃え、少し考えるように視線を落とした。


 「山でも、ある」


 「何がですか」


 「止まったら駄目だって思うとき」


 彼は言葉を探しながら話す。焦らず、だが誤魔化しもせず。


 「吹雪の前とか。足跡が消えそうなときとか。先に進まないと死ぬかもしれないときは、確かにある。でも」


 そこで一度、指先の芯を撚り直した。


 「小屋に入ったあとは、止まらないと死ぬ」


 ジェルジは顔を上げた。


 「動きすぎると、熱が逃げる。火の場所を決めて、湯を飲んで、体を丸める。外で生きるためには、止まるのも仕事」


 それは、山の暮らしから切り出された、ひどく実感のある言葉だった。


 ジェルジは胸の奥で何かがほどけるのを感じた。


 「止まるのも……仕事」


 「うん」


 「それ、もっと早く聞きたかったです」


 「今、言った」


 「そうですね」


 少し笑うと、モフャもわずかに口元を緩めた。ほんの一瞬だったが、それだけで灯りの色まで柔らかく見える。


 またしばらく、手を動かす。


 ジェルジの呼吸はいつの間にか整っていた。肩のあたりに張りついていた冷えも薄れ、紙へ向かっていたときの鋭すぎる冴え方がなくなっている。向かいの手元では、モフャが規則正しく芯を巻いていた。長く、均一に、無駄なく。


 その手を見ていると、不意に言葉がこぼれた。


 「どうして来たんですか」


 彼は一瞬だけ手を止めた。


 「木箱を届けるため、だけじゃないですよね」


 沈黙が落ちる。


 火が、小さく鳴った。


 モフャはすぐには答えなかった。答えを隠すというより、ちゃんと探している顔だった。こういうとき、彼は雑に言葉を置かない。


 だからこそ、待つ時間が少し怖い。


 やがて彼は、巻きかけの芯を卓へ置き、低く言った。


 「そばにいるだけで」


 そこでまた間が空く。


 ジェルジは息を潜めた。


 「火が、安定するから」


 何を言われたのか、最初の一拍は分からなかった。


 火が安定する。

 それは灯具の話のようでいて、今この場では明らかにそれだけではない。


 ジェルジは目を見開いたまま、瞬きも忘れた。


 モフャの方は言い切ったあとで、ようやく自分の台詞の重さに気づいたらしい。耳の先がじわりと赤くなる。尾も椅子の陰で一度だけ大きく揺れた。


 「……変な言い方だった」


 「いえ」


 声が少し裏返った。慌てて言い直す。


 「いえ、変じゃないです」


 「そうか」


 「はい」


 「なら、いい」


 全然よくない。

 よくないというのは、困るという意味ではなく、胸の中が静かにしてくれないという意味だった。


 ジェルジは咄嗟に手元の綿束を掴み、必要以上に真剣な顔で芯を巻き始めた。けれど指先が少し震えて、さっきまでより撚りが緩い。


 向かいから、ぼそりと声がした。


 「曲がってる」


 「分かっています」


 「やり直す?」


 「……やり直します」


 なんとも言えない沈黙のあと、二人同時に小さく笑ってしまった。夜更けの宿で、行灯ひとつを挟んで、芯が曲がっただのやり直すだので笑う。王都の頃の自分が見たら、ずいぶん地味な光景だと思うだろう。


 けれど今のジェルジには、それがたまらなく愛おしかった。


 もう少しだけ作業を続けたあと、モフャは束ねた芯を卓の端へ寄せた。


 「今日はこれで十分」


 「でも、まだ」


 「十分」


 山で道を切るときのような、きっぱりした声だった。


 ジェルジは反射的に言い返しそうになり、それから止まる。


 止まるのも仕事。

 さっき聞いたばかりの言葉が、胸の中でまだ温かい。


 「……はい」


 素直に頷くと、モフャは少しだけ目を細めた。


 「湯、温める」


 彼は立ち上がり、勝手知ったる足取りで台所へ向かう。しばらくして戻ってきた手には、湯気の立つ椀が二つあった。中身は白湯に近いが、ソフィーの香草をひとかけだけ入れたのだろう。鼻に刺さるほどではない、眠りを邪魔しない匂いがした。


 「ありがとうございます」


 「熱い」


 「見れば分かります」


 「前、すぐ飲んだ」


 「それは……勢いで」


 「今日は勢いで飲むな」


 言われなくても、と思いながら椀を受け取る。両手で包むと、掌から腕へじわりと熱が移った。


 モフャは自分の椀を持ったまま、帳場の上の紙束を一度見た。


 「明日、またやる」


 「はい」


 「一人で全部やらない」


 「……はい」


 「僕もいる」


 短い言葉だった。

 けれど、それで十分だった。


 いる。

 その一語が、夜の底へ小さく、確かな重みを置く。


 ジェルジは椀の縁へ口をつけた。熱すぎない温度の湯が喉を通り、胸の深いところへ沈んでいく。目を閉じると、今日一日の匂いがした。木、油、薬草、煎った豆、湿った土、獣毛、そして宵霧でも消えにくい灯りの匂い。


 全部が混ざって、今の自分の居場所の匂いになっている。


 「モフャさん」


 「うん」


 「さっきの」


 「うん」


 「……私も、そうです」


 彼がこちらを見る。


 ジェルジは少しだけ視線を伏せたまま続けた。


 「そばに誰かいるだけで、火が安定すること、あります」


 今度こそ、モフャは返事に困ったらしい。耳が立ち、下がり、また立つ。その忙しさが可笑しくて、でも可愛いと思ってしまって、ジェルジは自分の頬が熱くなるのを感じた。


 「……そうか」


 結局、彼はそれしか言えなかった。


 「はい」


 「なら、よかった」


 どちらともなく、それ以上は言わなかった。言わなくても、今は足りていた。


 椀の湯を飲み終えるころには、食堂の火もだいぶ小さくなっていた。帳場の紙は片づき、巻き終えた芯はきれいに束ねられ、寝具の試作品も椅子の背へ掛けられている。やりかけのまま散らかった夜ではない。明日へ渡せる形に整った夜だ。


 ジェルジは立ち上がり、灯りを落とす前に戸締まりを見回した。


 もう耳が冴えすぎてはいない。

 胸の奥にあった細い痛みも、まだ消えてはいないが、ちゃんと名前のつく重さへ変わっている。


 それは抱えきれない恐れではなく、誰かに半分持ってもらえる不安だった。


 「もう寝ます」


 「うん」


 「モフャさんも」


 「帰る」


 「この時間に?」


 「近い」


 確かに彼の小屋は宿からそう遠くない。遠くないのだが、霧の深い夜であることに変わりはない。ジェルジが眉を寄せると、彼は少し考えてから言った。


 「外の札、見て帰る」


 「確認ですか」


 「仕事」


 その言い方があまりに真面目で、ジェルジはとうとう笑ってしまった。


 「じゃあ、お願いします」


 「うん」


 表の戸を開けると、霧はまだ深かった。しかし宿の前札は、行灯の下で確かに読めた。夜道案内あり。休み湯あり。持ち歩ける灯りと飯あり。その文字が柔らかく浮かび、道へ小さな意思を立てている。


 モフャは一枚ずつ目で確かめ、最後に入口の灯りを見上げた。


 「安定してる」


 「はい」


 ジェルジも同じ灯りを見上げた。


 たぶん、灯りだけの話ではない。


 そう思ったが、今は胸の内へしまっておく。


 モフャが霧の向こうへ消えていくまで見送り、戸を閉めたあと、ジェルジは二階の自室へ上がった。


 窓の外には宿の灯りが小さく見える。夜会の炎とは違う。誰かを裁くための眩しさではなく、帰ってこられるように置かれた明かりだ。


 寝台へ横になると、獣毛入りの掛け物の重さが心地よかった。


 止まるのも仕事。

 そばにいるだけで、火が安定する。


 今夜も、全部が解決したわけではない。

 役人はまた来るだろうし、王都の傷は簡単には消えない。


 それでも、眠りへ向かう道がある。

 そのことを知っている夜は、前よりずっと怖くない。


 目を閉じる直前、ジェルジは小さく息を吐いた。


 明日もまた、手を動かそう。

 けれど今夜は、ちゃんと眠ろう。


 行灯の火は、窓の向こうで静かに揺れていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ