2 vsゴブリン戦 ①
遡ること数分前。
「こう! 紫雨が危ないってどういう事なの!?」
「分からない。…………だけど、俺の本能的な直感で確証だけは得ている」
光星は茜と共に、周りの痛々しい視線を無視しながら堂々と走っていた。
廊下は端でゆっくりと歩こう。はて? なんの事やら。男は黙って、ど真ん中を全速力で走らないとな!!
廊下を走っていくと、学校にも関わらず所々から悲鳴が怖々と耳に響いてきた。
「こう、これって………」
「あぁ、分かってる!」
(くそっ、こっち側は紫雨のクラスじゃないか!)
一瞬の迷いが俺のこれからの人生を分ける。そう思った俺は、一か八かの賭けで障害が多いいルートを瞬時に選び体が無意識の内に実行させた。
「こう! 私はこのまま行くから、気をつけてね!」
「あぁ!」
茜へ返事をしながら、2年A組の教室の前にある中庭へと移った。
中庭に出ると、ここから一直線で紫雨のクラスに最短で行ける………が、壁や池などの障害物が圧倒的に多すぎるからこそ正規ルートでは時間が掛かり過ぎる。
───しかし、そんな事を気にする必要などどこにも無かった。時間短縮のためパルクールをお手本にし、壁を軽々と飛び越え、池は全力ジャンプで向こう側まで簡単に乗り移れる事ができたのであった。
(これが火事場の馬鹿力てやつか?)
そう思いながらも俺は、予想よりも早く2年A組の前へと着くことが出来た。
だが、現実とはもっと残酷なものである。何故ならば、現在進行形で紫雨が緑色の肌をした化け物に襲われているのだから。
(ッ!?!? 時間が無い!)
窓ガラスへ、ライ○ーキック&化け物にア○パンチ!
しゆった! 心の中でカッコを付けながら、笑顔で俺は登場した。
まぁ、めちゃくちゃギリギリだったんだけどな!
☆ ☆ ☆
(ていうかコイツ、完全にゴブリンだろ!)
よく見たら、緑色の肌と醜悪そうな顔は最近見たアニメの姿と完全に一致していた。
まぁ、モンスターの部類だけど一応雑魚キャラ扱いだし? 余裕だろ!
心の中では余裕の笑みでゴブリンをぶん殴ろうとした瞬間………
「っ、先輩! この化け物は短剣を持っています!!」
「え? ───は? ちょっ、危な!?」
はい、すみません。俺が馬鹿でした!
紫雨の警告のお陰で、死までの片道切符はギリギリ回避できた。
───だがそれは、数秒の一時凌ぎに過ぎない。ゴブリンは、一撃を外したのならば当然もう一撃を繰り出してくる。
「ちょっ、嘘!?」
『グゲゲ!!』
死を直感したのか、視界が遅く映り思考が早く回転するのを感じた。
(あぁ、やべぇ。これは死んだわ)
そして、大きな油断を持っていた事により、ゴブリンが持っている短剣で心臓を斬られ俺は死んだ
……………………という、未来を見た。
「つ、」
『グゲ!?』
寸前のところで体を曲げた事により、ゴブリンも俺の行動に驚いたのか攻撃が空振りで終わってしまった。
───だが、俺は生き抜いた喜びを思うのではなく、ある考えが思考の大部分を占めていた。
(どういう事だ? 何故、未来が見えていたんだ?)
本来ならば、先程のゴブリンの攻撃で俺は死ぬ運命だった。
しかし、実際はそうではなかった。未来が見えていたからこそ、死ぬ運命から生きる運命へと強引に変わったのだから。
『グゲ、グゲゲゲ!』
「ッ!? くそ、」
先程よりも警戒していた。しかし、ゴブリンは先程よりも数倍早く短剣を振るった事によりもう一度俺に大きな危険が訪れた。
───まぁそれは、1体1の場合の話しだけどな。
「こう!!」
『グゲゲ!?』
「ははっ。ナイスタイミングだ、茜!」
教室の扉の前から、モップをぶん投げてやってきたのはスカートを揺らした松本茜であった。
そして、この惨状を見た茜は恐怖の表情を表に出さず、俺に近づき冷静に話しかけてきた。
「こう。紫雨を背よって逃げる?」
「はっ、逃げる? 馬鹿を言え。戦うに決まっているだろ!」
『未来が見える』・『Gwitterで書き込まれたアホみたいな文章』・『実在存在するゴブリン』…………頭の中のパズルが完成したかのように、俺の意思は明確な目的へと変わった。
俺の考えが正しければ、『あれ』がきっとある筈だ。
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