最初の移住者 神皇城が完成して数日。
丘の上には小さな城が建っていた。
豪華ではない。
大きくもない。
だが神皇国の中心となる建物だった。
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ミリアは玉座の間の椅子に座っていた。
玉座というより普通の椅子に近い。
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「暇やな。」
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「働いて。」
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即座にアリシアの声が飛んできた。
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「仕事ない。」
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「ある。」
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「何が?」
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「国民集め。」
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ミリアは少し考える。
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確かにその通りだった。
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城はできた。
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拠点もある。
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しかし。
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国民はまだ二人。
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ミリアとアリシアだけだ。
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「募集するか。」
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「どうやって?」
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「張り紙。」
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「普通やな。」
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「普通が一番や。」
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その日の午後。
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二人は近くの街道へ向かった。
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街へ続く道。
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商人や旅人が時々通る場所だ。
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ミリアは木板を立てる。
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そこへ文字を書いた。
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【移住者募集】
ミリア神皇国
住民募集中
住居有り
農地有り
未経験歓迎
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アリシアはしばらく無言だった。
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「なんや?」
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ミリアが聞く。
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「未経験歓迎って何。」
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「住民。」
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「住民に経験者とかあるん?」
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「知らん。」
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アリシアは頭を抱えた。
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数日後。
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予想外のことが起きる。
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本当に人が来たのだ。
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街道の向こうから。
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荷車を引いた男性が一人。
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その後ろに女性。
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さらに小さな子供。
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家族だった。
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ミリアとアリシアは城門前で迎える。
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男性は少し緊張していた。
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「ここが神皇国ですか?」
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「せやで。」
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ミリアは笑顔で答える。
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男性は周囲を見る。
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まだ建物は少ない。
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城と小屋だけ。
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正直、立派な国には見えない。
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それでも。
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どこか不思議な安心感があった。
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「移住募集を見まして。」
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「ありがとう。」
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ミリアは頭を下げた。
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男性は少し驚く。
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女皇を名乗る人物が頭を下げたからだ。
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「歓迎するで。」
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ミリアは微笑む。
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「神皇国へ。」
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その日。
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神皇国最初の移住者が誕生した。
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三人家族。
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まだ小さな国。
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しかし。
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確実に前へ進んでいる。
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夜。
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城の窓から灯りが見える。
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小屋からも灯りが見える。
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そして新しい住居からも。
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ミリアはその光景を見ながら微笑んだ。
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「増えたな。」
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アリシアも頷く。
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「増えたな。」
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たった三人。
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されど三人。
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神皇国の人口は二人から五人になった。
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それは神皇国にとって大きな一歩だった。
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ミリアは静かに夜空を見上げる。
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まだ始まったばかり。
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けれど。
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この国は必ず大きくなる。
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そんな予感がしていた。
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こうして神皇国は、
初めて「国」として歩み始めたのである。




