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転生したら最強すぎた件について   作者: ミリア
プロローグ〜第一章
5/37

気のせい、のはず

◆ 人界/王国アステル・王都


(ミリア視点)


朝の王都アステルは、相変わらず賑やかや。


屋台の準備する音。

パンの焼ける匂い。

行き交う人の声。


「……平和やなぁ」


独り言を漏らしながら、ミリアは冒険者ギルドへ向かう。

ここ数日、森の件も落ち着いとる。

依頼の内容も、護衛や素材集めみたいな軽めのもんばっかりや。


ギルドの扉を開けると、

いつもの空気が迎えてくれた。


「お、ミリア。今日は早いな」


受付嬢が手を振る。


「朝起きてもーてな。暇やったんや」


掲示板を眺めながら、何となく周囲に意識を向ける。

……視線。


「……ん?」


一瞬、背中に何か刺さった気がした。

けど、振り返っても誰も見てへん。


「……気のせいやな」


そう言い聞かせて、依頼票を一枚取る。


内容は、街道沿いの簡単な巡回。

魔物もほとんど出ぇへん、安全な仕事や。



◆ 王都アステル・街道


(ミリア)


歩きながら、空を見上げる。


雲ひとつない、ええ天気や。

せやのに――


「……やっぱ、なんか変や」


森に入ったときほどやない。

けど、完全に消えたわけでもない。


“見られとる”いうより、

“測られとる”みたいな感覚。


「……知らん人に品定めされる趣味、あらへんねんけど」


冗談めかして呟くと、

足元の草が、微かに揺れた。


風やない。

魔力の波でもない。


「……あかんあかん。考えすぎや」


ミリアは、深呼吸して歩き出す。



◆ 冒険者ギルド・夕方


(ミリア)


依頼を終えて戻ると、ギルドは一段と騒がしくなっとった。


新米冒険者の自慢話。

酒場側から聞こえる笑い声。


「……こういうんが、普通やんな」


受付で報告を済ませ、木椅子に腰掛ける。


そのとき、またや。


ほんの一瞬、

“向こう側”から覗かれた気がした。


目に見えへん。

気配も薄い。


せやけど――

確かに、意識だけが触れた。


「……今の、なんや」


思わず立ち上がる。


周りを見る。

誰も、気づいてへん。


「……はぁ」


座り直して、頭を掻く。


「うち、疲れてるんかな」


自分にそう言い聞かせるしかなかった。



◆ 同時刻/精霊界・境界層


(精霊)


観測対象、安定。


秩序に影響なし。

干渉、なし。


ただし――

微弱な“認識”あり。


精霊は、それ以上踏み込まない。


まだ、名を呼ぶ時ではない。



◆ 人界/夜・宿


(ミリア)


部屋に戻って、ベッドに倒れ込む。


「……なんやろな、今日」


怖いわけやない。

不安でもない。


ただ、気になる。


「誰かに見られとる気ぃする、って……」


天井を見つめて、ぼそっと呟く。


「……まぁ、ええか」


まだや。

今は、まだ。


白い力は、何も言わへん。

眠ったままや。


ミリアは、そのまま目を閉じた。


王都アステルの夜は、静かに更けていく。


――何も起きないまま。

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