222 会話は無駄
花音が熱を出してから数日後。一度休日を挟んだこともあって体調が完全に回復し、今日は久しぶりに学校に登校する。それは柊や佳奈美も望んでいたため、心から喜びの気持ちを表す。
「ふふ♪やっと三人で登校できますね♪」
「だな。二人も悪くないけどやっぱり三人揃わないと寂しいよな」
まあ柊からすれば相手をするのが一人だけで済むからそれはそれで悪くなかったのだが。しかしやはり病人が家にいるとなると進んでイチャイチャしたりはしずらかったので花音は必要な存在だと再認識した。
まあこれから苦労がまた二倍になると考えたら憂鬱だが…。この一件で花音が改心したことを祈る。
「二人ともありがとうございます♪これからもよろしうお願いしますね♪」
「ああ」
「はいっ!」
「ようやく毎日イチャイチャできますね!」
「……」
「ふ〜ん…??」
隣から鬼のような視線を感じる。てか花音は何も変わっていないじゃないか!!期待した自分がバカだった…。
やはり花音のブラコンは一生物の病みたいだ。今更どうにもできない。柊自身は昔からわかっていることなのである程度受け入れているが、佳奈美もそうというわけではない。とりあえず早く何か言わないと非常に怖いのでとりあえず口を開く。
「えっと、多分姉弟として仲良くできる時間が増えるな〜っていう意味で言ってるんだと思う…」
「違いますよ?」
「違うみたいです」
「ふぅん???」
マズイマズイマズイ…!てか何で違うんだよ!?
花音の言い方的に異性としてイチャイチャしたいみたいに聞こえるんだが。佳奈美にそう解釈されたらマズすぎる。
「二人はもうそこまで進んだんだ???」
「これは違くて…」
もう遅かったみたいだ。ケダモノを見るみたいな目を向けられてしまう。完全に浮気を疑われてしまっている。
「じゃあどう違うの???」
「えっとそれは…」
弁明の言葉が浮かばない。まさかこんな展開になるなんて思ってもみなかったから。まあでも死ぬ気で頭を回転させて言い訳を話すしかない。そう考えた矢先だった。
「違わないですよね?♡私たちは姉弟以上の関係ですもんね♡」
「ちょおい!!??」
「…そっか。私に隠れてそういうことしてたんだね」
「本当に違うんだって!!姉さんが勝手なこと言ってるだけだよ!!」
いくら姉とはいえ嘘は容認できない。流石の柊も怒ってしまうぞ。
「この前ははあんなに激しい夜を過ごしたのに…」
「!!??」
「激しい…???」
「ちょ__!?そんな事実はない!!マジで!!」
「私の身体をあんなに触っておいて…まだ認めないんですか!?」
「あんなに…触った…???」
「え」
間違いなく花音とそういう行為をしたことはない。多分こと言葉はそれっぽい事実を拡大解釈しただけだ。では一体どのシーンを切り取ってるんだ?
(あ、もしかして…)
思い当たる記憶が一つだけ見つかった。それは花音の身体を拭いてあげた日のことだ。すぐさまその日の記憶を呼び起こし、事実だけを説明する。
「一旦話を聞いてくれ!」
「浮気者の話を聞く耳はありません!!」
「待ってくれよ!?ちょっと__!!」
「ふんっ」
「ああああああ」
三人揃って早々にこれである。やっぱ二人の方が平和だったかも。でもこんなこと言いながら心の中では意外と楽しんでいるのが柊である。いや強メンタルすぎる。まあそれは花音も同じだな。普通友人の前でこんなこと言わないだろ。というか普通にとんでもない状況にするのやめてほしい。
「姉さん…帰ったら話がある…」
「きゃあ♡何をされてしまうんでしょう♡」
「……」
もう何をしても無駄な気がしてきた。結局会話しないことが最適と判断し、学校に着くまで口を慎んだ。




