220 相手は姉
しかし柊は何とか冷静さを取り戻した。目の前にほぼ裸の姉が仰向けになっていても何とか視線を逸らすことで昂った鼓動を抑え込んだ。
(いや何考えてんだよ…!!相手は姉さんだぞ…!!落ち着け…!落ち着け俺…!!)
流石に姉に発情は罪悪感がヤバすぎる。お盛んな時期の柊でも躊躇いが生まれるほどに。
(てか普通に考えてこの人は何してんだよ…わざわざ脚開く必要あるか…??)
元はと言えば彼女の身体を拭いてあげるという話だった。でも気づけばなんかピンク色な雰囲気になっていたというか、強制的にそうさせられていたというか。とにかく話を本筋に戻すことに重点を置きつつ言葉を紡いだ。
「…とりあえずさっさと身体拭いちゃうぞ」
「続き…しないんですか…?」
「何だよ続きって。熱上がる前に早く済ませるぞ」
一旦とぼけてはおいたが、間違いなく花音の言葉の意図を理解しているのはバレている。でもこちらにもプライドというものがあるので無視しておいて、とりあえずタオルを取り出すことにした。
「まずはどこからですか?」
「ご要望は?」
「特にありません。お好きなところを触ってください」
「…そうか」
言い方に若干含みがあるのは置いておいて、一旦タオルをぬるま湯に浸ける。そしてある程度染み込んでから取り出して水気を取り、早速上半身に手を伸ばした。
「じゃあその、始めるから。熱かったり冷たかったりしたら言ってくれる」
「はい。よろしくお願いします」
姉の艶やかで真っ白な肌に触れる。その柔らかな肌触りは花音が女の子であることを意識させられるが、柊は何とか我を抑え込んで手を動かせる。
「ど、どうだ…?」
「ちょうど良いです」
「痛かったりはしないか?」
「大丈夫です。優しくしてくれてありがとうございます」
風船を触るかのような優しい手付きで首筋に触れたのは正解だったみたいだ。このまま彼女の身体の汚れを拭き取っていく。まあ花音の身体に汚れなんてほとんどないだろうが、本人は汗が気になるみたいなので一応拭き取ってあげる。
「あの、あまり匂いを嗅がないでくださいね…?やっぱり汗臭いと思うので…」
「そんなことないけどな。さっきも言った通りいい匂いだけど」
「そういう問題じゃないんです〜っ!」
「そうなのか?」
やはり女心は難しい。とりあえず彼女の言う通り無闇に嗅ぐのはやめておこう。でも一応本心だけは伝えておく。
「まあ俺は姉さんの汗の匂い嫌いじゃないけどな」
「__!!??」
自分でもなぜかわからないが、花音の匂いは妙に心地良い。それは汗の匂いも同じで、独特の安心感を与えられる。
これだけ聞いたらなんか変態みたいだな。でも事実なのだから仕方ない。
「だからまあ、俺の前では気にしなくて良いと思うぞ」
「柊…」
感動で言葉も出なくなってしまったか。全く罪な男だぜ。
「いつからそんな変態さんになったんですか…?」
「ちがーう!!!」
人生そう上手くはいかないもの。そのことを今思い出し、咄嗟に花音の言葉を否定する。
「そういう意味じゃなくて、もっとこう家族として安心する匂いみたいな感じだよ!!決してやましい気持ちはない!!」
「そうなんですか?まあ私はやましい気持ちを抱かれててもよかったんですけど…」
「よくはねぇだろ!?」
相変わらず常識が通用しない姉にツッコミを入れつつも、一応手は動かしていく。しかしそれに連れて他の場所は下に動いて行き、気づけば胸部に到着してしまっていた。
「…なあ、マジで俺がやるの?」
「もちろんです。私は手が動かせないので」
「本当か…?まあ何でも良いか。でも良いんだな?後で文句言わないでくれよ?」
「わかっていますよ♪」
言質は取ったから大丈夫か。恐る恐る胸部に手を回す。
「きゃっ」
「……」
何にも守られていない女の子の胸は想像通り柔らかかった。




