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ザメラ

みんな大好き怪獣たちの活躍を描いたショートショート集です。「ゴジラ」や「キングコング」などの怪獣たちのパロディです。

 ブリーフ環礁の水爆実験により生まれた怪獣ザメラが目を覚まそうとしていた。

 放射能を浴びてサメが巨大化、狂暴化した怪獣ザメラは、長い眠りについていた。そのザメラが目を覚まそうとしていた。ザメラが目を覚ませば、街が破壊され、森は炎に包まれ、世界は大混乱に陥ってしまうだろう。

 それに、巨大なザメラだ。魚は勿論、クジラだって食い尽くしてしまうだろう。ザメラは人類から海産物を奪ってしまうかもしれなかった。

 ザメラがうっすらと目を開けた。

 目を覚ますかと思われたが、心地よい暖流に流され、ザメラは再び眠りについた。


 海流がザメラを北海へと運び、冷たい海水がザメラの目を覚まそうとしていた。

 そして、ついにザメラが目を覚ました。

 ザメラは近くの沿海都市に向かって泳ぎ始めた。

 人類のピンチがついに訪れた。ザメラが上陸した都市は、あっという間に壊滅してしまうだろう。

 ザメラがぐんぐん都市へ近づく。

 人類はまだザメラの脅威に気がついていなかった。

 と、その時、ザメラの横をマグロの群れが通った。ザメラは長い眠りから目覚めたばかりだった。当然、お腹が空いていた。

 都市を目指して泳いでいたザメラは方向を変え、マグロの群れを追って泳ぎ始めた。


 マグロを食べ尽くしたザメラは再び沿海都市を目指した。

 巨大都市がザメラのターゲットとなった。

 ザメラは高速で泳ぎ始めた。津波のような高波が発生し、人類はザメラの存在に気がついた。巨大な怪獣が都市を目指していることを知った。

 軍隊が派遣され、ザメラの上陸を阻止しようとした。

 空から爆弾を雨のように降らし、海上からは戦艦がミサイルを撃ち込み、海中では潜水艦が魚雷をザメラに向けて発射した。

 だが、ザメラには通用しなかった。

 ザメラの怒りを買っただけだった。ザメラは更に速度を上げて都市を目指した。


――核兵器を使うしかない!


 だが、ザメラはもう沿海都市を目前にしていた。今、ここで核兵器を使うと、沿海都市にまで被害が及んでしまうかもしれない。

 大統領は決断を迫られた。

 核兵器を使うと、多くの人を犠牲にしてしまうかもしれない。だが、みすみすザメラを上陸を許せば、やはり多くの人々が犠牲になってしまうだろう。


――万策尽きた。核兵器を使うしかない。


 そう大統領が決断した時、ザメラの動きが止まった。

「どうした?」

 ザメラはサメが巨大化した怪獣だ。手足がある訳ではない。陸上で動き回ることなど出来なかった。浅瀬まで泳いで来て、そこで巨体が海底につっかえ、座礁してしまったのだ。

 海に戻ろうと暴れ回ったが、益々、陸地に近づくだけで、完全に動けなくなってしまった。

 ザメラはサメが巨大化した怪獣だ。サメは自分でエラを動かすことが出来ない。だから酸素を吸入する為には、絶えず動き回っていなければならない。海流に乗っている時だけ、動かずとも呼吸ができた。

 サメは動きが止まると死んでしまうのだ。


 ザメラは死んだ。

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