「鐘」
「・・・英雄を裁くものか」
「ええ、そうよ。法の番人かしら?」
「そうだな・・・いいものではないんだろう・・・」
「ええ、そうよ。理解が早くて助かるは・・・」
・・・アレクシアが言っていることは正しい。
だとしても、納得できないものもある。
民衆が犯罪者を英雄に仕立てる・・・。
あながち間違っているわけではない。
すべての人が法に従っていたらもうその世界はお終いだろう。
誰かしら反抗をする。
それに人々が乗っかって大きな波紋を広げていく。
それが、反逆者、復讐者であってもだ。
その人たちに、惹かれる、あるいはあこがれるのもあるのかもしれない。
けど、アレクシアの言葉は・・・。
まるで・・・。
「「それじゃあ、俺らが守っている人達はみんな犯罪者なのか?」」
「「ええ、そうかもしれないわね」」
アレクシアは悩むこともなくただその言葉を口にした。
俺は、アレクシアがわからなくなった。
彼女は犯罪が嫌いなのか、人が嫌いなのか・・・。
もしくはその両方か・・・。
冷たいな・・・それは。
「・・・だとしてもよ」
アレクシアは続けた。
「私たちは、間違ったことをしてはいけない。人殺しだけじゃない。噓もよ・・・」
「・・・アレクシア」
アレクシアの肌が月の光に照らされる。
雲間からのぞいたその光はアレクシアだけを照らしていた。
彼女の持つ白磁のような白い肌に、月光は妖艶なものを与えていた。
おぼろげで、霞がかっているようだ。
ただ、悲しかった。
「ねえ、慎也?」
「なんだ?」
「あの鐘を鳴らさない?」
「あれって・・・結婚式ようのじゃないのか?」
アレクシアはこの広場にある鐘を指さしていた。
電灯で照らされている。
手入れはされているようだ。
薄暗いこの広場にぽつんと置かれている。
「そうよ。何?一緒にならしたい人でもいるの?」
「なっ、何を?」
「どうせシルヴィアか玲奈でしょ。別に他意はないから!。記念よ、き、ね、ん!。何期待しているのよ?」
「いや。俺は・・・」
「・・・ったく。何よ声掛け一つできないの?」
「こういう時は・・・そんなことない、彼女たちには報告が遅れるだけさ♪。とか、でしょ!」
「いや・・・アレクシアの方こそ期待して・・・」
「うっ、うるさい!。ほら、早く!」
「はあ~・・・」
ため息をつきながらも俺の脚はそこへ向かう。
一人で鐘を鳴らす紐を引っ張ろうとするとアレクシアが一緒にと言った。
それで、結局俺は右手で、アレクシアは左手で重なるようにして紐を引っ張った。
本当は、逆のような気もするが今日はこれでいいだろう。
俺もいつかは・・・。
そう、思ったのだが・・・。
・・・相手いなかったわ。
「「はあ~、こうやって夢見ているうちが一番幸せなのかもしれないな。」」
そう、心の中で思った。




