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たった1人の英雄奇譚   作者: 葵流星
第五章「誇りと綻び」
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「高地」

「なあ・・・。」

「なんだよ・・・。」

「補給部隊はまだか・・・。」

「もうすぐじゃないのか・・・。」

「もう兵糧も持たないぞ・・・長すぎる。」

「時間がかかるんだろうよ、なんせこの揚陸艦(陣馬)だけじゃないからな。」

「弾はあるんだ・・・あとは・・・。」

「焦るなよ、なんもいいことないぜ。」

「口を慎め!。」

「わかりましたよ隊長。」

「たくっ・・・司令部は何をしている補給もろくに出せないのか。」


「あらら、隊長も俺らと同じかあ。」

「それにしてもなんだよ203って、訓練兵でも送り込むって言うのか。」

「知らねえよ、待ってればいいんだろ。」

「お前ら、いい加減に・・・。」

「わかりましたよ、隊長。」

「補給は来るんですよね。」

「信じるしかないだろう、どうせくそまずい飯だろうよ。」

「台湾製ですか?。」

「違うな、ベトナム製だろうよ。」

「あ~、兵舎に戻りて~。陸(おか)に上がりてえ・・・。」

「嫌でも、陸につくぞ。」

「おっと、達磨が待ち伏せている陸は知らないね。護衛の戦闘機はありますよね?。」

「・・・そんなものはない。」

「・・・そんな。」

「あるのは海軍の支援だけだ。」

「役に立つわけないだろ、昔の戦艦じゃないし対地攻撃なんて・・・。」

「・・・・・。」

「・・・わかりました。」


暗い機内に一層闇が満ちた。

突撃命令はまだない。

しかし、ここにいてはいつかは狙われるだろう・・・。

ここでは死ねない。


・・・・・。


・・・・・。


「艦長用意が出来ました。」

「了解、面舵。」

「面舵。」

「司令部に通達、我目標捉え、砲撃許可を待つ。」

「了解、司令部より御霊は内地へ帰った。」

「磁気投射砲すべて問題なし、機関安定、電力供給・・・問題ありません。」

「全システム問題なし(オールグリーン)。」

「砲撃開始。」

「第一射装填、目標地点入力、G P S - J 、オンライン。誤差修正・・・発射(ファイヤ)。」


目標に艦首を向け、砲を放つ。

長い砲身は40メートルに及ぶ。

そして、その砲にあった巨大な音を放ち弾は飛んで行った。


「次弾装填・・・発射(ファイヤ)。」


再び音が鳴り響く、近くにいたら鼓膜が破れるだろう・・・。

聞いたことがある音だ。

敵の支援砲撃の音にそっくりだ。


「・・・了解。総員、立て!。」


隊長が怒鳴り声をあげる。

耳が痛い。


「・・・ついに・・・来ましたか・・・。」

「隊長・・・あの音は?。」

「203だ。」

「・・・203?。」

「大砲だ。ただし、250キロメートルは飛ぶ。」

「なんですか・・・それは?。」

「兵器だよ。」

「ははっ、そりゃあ笑えませんよ。なんですか、あんたのところは戦艦を造っていたんですか?。」

「そうだ・・・。」

「203か・・・。」

「203・・・それって・・・ははっ、笑えるねえ過去の栄光とでも?。」

「そうかもな、あいつらにはちょうどいいかもしれない。」

「なんせ悪魔ですからね。達磨には。」

「さて、仕事だ。」

「この支援攻撃は?。」

「あと45分だ、それで無くなるそうだよ。」

「結局のところ、俺らの仕事ですか・・・。ああ~、早く人権が欲しい。」

「まったく、やってらんねえわ。」

「おい、大丈夫か?元気ねえな?。」

「・・・大丈夫だ。」

「これだから新兵は・・・。行くぞ。」


ヘリが母艦から離れる、これからいくは地獄・・・。

まだ死ねない・・・死にたくない・・・。


・・・・・。


・・・・・。


「・・・夢か。・・・たくっ、嫌な夢だな。」


「・・・早くしないと。」


彼は、持ってきた荷物を見た。

かっぱらってきた手榴弾も、自分のライフルもある。

怖いことはない。

あとは、殺るだけだ。





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