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たった1人の英雄奇譚   作者: 葵流星
第五章「誇りと綻び」
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「水族館」

「・・・着いたー。意外と早かったな。」

「そうね、ショーには間に合いそうよ。」

「ああ、早く行こうか。」

「ええっ・・・。」


今のところ異常はなさそうね。

よかった・・・。

これで少しは楽になっていてくれたらいいのだが・・・。

まあ、私も楽しみなのだがな。


駅から少し歩くとそこには水族館がある。

大規模な改装工事を終えて施設も一新、客足は今も多い。

昔は夏になると良く行ったものだ。

そして、今日は日曜日たくさんの人がいる。

もちろん警備の人もたくさんいる。

こういうソフトターゲットは今も昔も事件が起こりやすい。

少しの爆弾でもたくさんの人を巻き込めるし、刺し逃げもしやすい。

そのため、なるべく人ごみを避けるようにしろと教わった。

まあ、さすがにこの時間だと入り口には人がいない。

お腹がすいたから先にご飯を食べてから水族館に入ろうとアレクシアにいい、近くの店でご飯を食べた。

マルゲリータピザは美味しかった。

アレクシアはランチメニューのカルボナーラを頼んだ。

店を出てまっすぐに水族館へ。

券売機で買うことになったがペアチケットの方が安いのでアレクシアがそっちを買った。

そのおかげで、入り口のお姉さんがニヤニヤしていた。

・・・カップルと思われたのだろうか。

そんな関係じゃないんだけどな。

それと、ペアチケットの方が入場料が安いのってどうかとは思うんだけどね・・・。

それも男女一組・・・。

夏はこれ見よがしとばかりに女子のグループがここに来る男子を待ち伏せしたりしているとかしないとか。

しかも、料金は男性持ち。

どうなんだろうな・・・カモにされているのか。


中は海をイメージした青い色だ。

進むたびに水槽の生き物も変わっていく。

クラゲは幻想的だった。

様々な色のライトに照らされてゆらゆらと泳ぐクラゲは綺麗だったし、おかしくもある。

そのあとも進んでいき大水槽の前まで来た。

巨大なジンベエザメがゆうゆうと水槽を行ったり来たり。

エイも漂っていた。

いいよな、水族館って。

落ち着くし。

母なる海か・・・。

ちょうどショーが始まる時間だったので屋外プールへと移動する。

飼育員に合わせてイルカやシャチが跳ぶ。

そのたびに水槽から水がこぼれ、前にいた観客にもかかる。

前にいた男性は全身びしょ濡れだ。

そして、それがスクリーンに出される。

観客の笑いがこぼれる。

アレクシアも楽しそうに笑っていた。

自然と俺も笑顔になれた。


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