「過去」
「あっ、はい。立川慎也と言います。」
「そう、あなたが昨日現場にいた候補生ね。よろしく。」
優奈さんはそういうと手袋を脱いだ。
傷一つない綺麗な手だった。
俺もそれに応じて、右手を出して握手を交わした。
あったかかった。
自然に心臓が早く動いていた。
女性に触れることがなかったわけではないのだが、緊張しているのは確かなのだろう。
意外と、初心なんだなと改めて思う。
何故かアレクシアの視線が物凄く痛いのだが、気のせいだろう。
玲奈の方はうっすらと笑みを浮かべている。
しかし、顔が笑っていない。
「ところで慎也くん?。」
「なんですか?。優奈さん・・・榎戸さん?。」
「優奈でいいわよ、ちょっとあなたのピストルを見せてくれないかしら。」
「はい。」
腰のホルスターから銃を取り出す。
そして、優奈さんに渡した。
「M-92 F・・・ベレッタか、いい銃ね。うん、目立った汚れも見当たらないし、損傷もないわね。定期的にメンテナンスしているみたいね。」
「はい、まあ一週間に一回くらいの頻度ですが・・・。」
「完全分解で?。」
「はい・・・慣れてはいませんが。」
「そう、とりあえずこれを構えてみて。」
「あっ、はい。」
優奈さんから相棒のベレッタを返してもらう、そして俺はベレッタを構えた。
「・・・・・。」
「・・・どうですか?。」
「そうねえ、慎也くん。ベレッタでの命中率は?。」
「72パーセントとくらいです。」
「そう、改造しましょうか。」
「えっ、いいんですか?。」
「ええ、いいわよ。なんだって統合戦技生になったんだから。」
「お願いします。」
「ええ、いいわ。・・・玲奈?このあとの予定は?。」
「射撃場を案内することになっています。」
「そう、終わったら戻ってきて。改造したものを渡すから。」
「わかりました。」
「それにしても・・・ベレッタか・・・。」
「どうしたんですか?。」
「いえ、珍しいと思ってね。なんせ統合戦技生もとい特殊公務員の人達はM 1911(ガバメント)とか、コルトパイソンとかだからね。」
「はあ・・・。」
「なんせ近接戦闘が多いから、確実に撃つことができる銃を求める傾向にあるから。」
「リボルバーとかもまだ現役なんですか?。」
「ええ、システマとかの格闘術で銃のスライドを抑えられて撃てないようにされることもあるからリボルバーも重宝されるのよ。」
「そうなんですか。」
「ええ、殴れるから。」
「・・・・・。」
「本当よ。」
「はあ・・・。」
「まあ、こっちはすんごい迷惑だけどね。横撃ちも同様だけどね。」
「大切にします。」
「ええ、お願いね。けど、無理は駄目よ。死んでは元も子もないから。」
「・・・そうですね。」
「私はね、好きなんだ。こうやって、話すのが・・・。銃を使う人、銃を治す人。見ている観点が違うからこそその人にあった武器が作れるの・・・。」
「・・・・・。」
「湿っぽい話でごめんね。」
「いえ、そんなことは・・・。」
「そう・・・。」
「あの、優奈さんは戦場に行ったことは・・・。」
「ええ、あるわよ。最近ね。神田先生も一緒だった。」
「やっぱり・・・そうなんですね。」
「そうよ。」
「さて、そろそろ行かなきゃならないんでしょ。」
「えっ、あっはい。」
「それじゃあ、またいらっしゃい。」
「はい、これからお世話になります。」
「よろしくお願いいたします。」
「ええ、よろしく。」




