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Mr.ドワーフ!  作者: はには
商業都市ファルフィリア
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大討伐依頼 2

魔物と冒険者の話をしよう。


まず、いつか話したとは思うがこの世界はレベル制っぽい。というのも実質的にはレベルなどは無いが、魔物を倒すとその人の資質にあったものが伸びるからだ。

俺ならドワーフ特有の体力や頑丈さ、力。あとは敏捷性なども少しは上がる。魔法使いなら魔力や魔法威力などだ。

しかし、それはどんな魔物でもいいと言うわけではない。自分にあった魔物の場合である。例えばザースがゴブリンをいくら倒してもレベルは上がらない。逆に初めて魔物と戦うやつはゴブリンを倒すとレベルが上がる。これは個人の技量や身体の強さではない。


しかし、ゴブリンを倒したあとゴブリンを倒し続けても有る程度で止まる。


つまり、Cクラスの魔物ばかりではBクラスには辿りつけない。ガーノが言っていたビビっていると死ぬというのはこう言うことだ。

安全パイを引きすぎる冒険者は、そのレベルの魔物の討伐になれて突発的な上位の魔物の襲撃によりあっさり死ぬ。どうしても身体が強張ってしまうからだ。

そして、魔物というものは一応テリトリーを持ってはいるが、前回俺がオークに襲われたように、上位の魔物に急に襲われることは珍しいというほどではない。テリトリーを持たない魔物もいる。

逆に無謀すぎると力が足りず死ぬ。

適性で戦い続けるやつも耐えられなく死ぬこともあるがトータルすると死亡率が1番低かったりするってことだ。

まぁ、大した差ではないが。

1番安全なのはレベルの低い魔物しかあいてにしないことだが、それは冒険者規定により不可能だ。何故なら魔物は日々湧いてくるからだ。

そして、冒険者は人手に困らない。新入りは日々湧いてくる。なら実力者に雑魚を狩らす必要はない。冒険者をする以上安パイなどというものは存在しない。


Bクラスともなるとまたそれらは変わってくるのだが、今は置いて置こう。


とにかく冒険者は駆け上がらないと死ぬのだ。

それかナミヤルさんやザースの様に冒険者としての道から外れて職を得るしかない。それにしたってCクラスの冒険者ぐらいにはなっていないと不可能だ。コネも金もないからだ。


そして、それらを無事に生き残ったのがAクラス以上の一握りの実力者たち。様々な特権を持ち、尊敬を込めて二つ名で呼ばれる栄光をつかんだ者たちだ。



次に魔物。


魔物にも人と同じような特性はある。

しかし、彼らは一定以上になるとある進化をする。上位種への変化だ。ホブゴブリンしかりだ。

もちろん魔物にだって個体差はあるが基本的には適性より弱い魔物を狩るためレベルは上がりにくい。しかし、今回のように強いリーダーを得ると途端に狩りの仕方が変わったりしてレベルをあげだす。

こうなると危険だ。放置すると最悪国が滅ぶ。

だから、見つけしだい即排除。冒険者の基本ですね。



まぁ、レベル制以外リーラに教えて貰ったことばっかだけどね。




ガーノと会った次の日。

明日は朝からオークの集落への出発だからと依頼は受けずに休みとなった。


俺は朝から鍛冶屋のナガルのおっさんのところへと顔を出し研ぎに出していた斧を受け取った。ケチの一つでもつけようと考えていたのだが、渡された斧は見事に整備されており何も言えなかった。


「どうじゃ?」とニヤリと笑うナガルのおっさんを悔しく思いながらも、完璧な仕事ならいいかと諦めた。


ふぬぬ。これだけの腕があれば次もまたと思ってしまうのが悔しい。


そして、俺はファルフィリアに来て長いというのに街をあまりブラついていないことに気づき、豚の串焼きを片手に散策をしている。


今歩いているところは割とスラムから離れた一般人の中でも裕福な人たちが住まう区画だ。決して豪商などの人々は住んではいないがな。そういう人たちはもっと中心部に住んでいる。


冒険者ギルドの付近とは違い日用品やアクセサリー、服などが売られており女の子なら見ていても楽しいだろう。


俺も一般的な服や肌着などと日用品を買っては魔法袋に詰め込む。


途中に薬屋によりポーションを3つ買った。10万ゴルは手痛い出費だが今回は何が起こるかはわからない。これで前回のも合わせて6つのポーションを持っている。十分かはわからないが、持っていて損はないだろう。


教会もある。ファルフィリアに数ある内の一つなのだろうがこの大都市にふさわしい石作りの大きな建物。入り口には神が何かを下賜するような大きな銅像が一つ。


うん。今日も元気にバーコードだ。


「ぬ?」


人混みに紛れて見知った顔が見える。最近よく一緒に行動する奴だ。

金色の髪に大きな胸、しかし引き締まった身体がスラッとした長身美人。ピンと張った狐耳と尻尾。服装は何時もの皮鎧をベースにした冒険者服で無く、シンプルな白いワンピース。


リーラことリールドリアだ。


こう見ると凄く美人だな。リーラに持っていた男っぽいイメージが一新されるようだ。


しかし、何してんだ?


気になって様子を伺っているとリーラは嬉しそうに一つの店に入る。


見間違いだろうか?俺の記憶によればあれはケーキ屋だ。


この世界では砂糖が高いこともあり甘味は結構高価なものだ。しかし、このファルフィリアは公益の中心ということと、甘味自体果物の甘みも強く出すことにより庶民にも手が出ないってわけでもない。月に一度ならこの区画に住む人なら食えるだろう。


意外だな。


てっきりリーラはそんなものに興味が無いものだと思っていた。

しかし、実際窓から覗いてみると並べられたケーキの前で嬉しそうに目を輝かせながら尻尾をブンブンと振っている。


………。


乙女だ。あんな所に乙女がいまっせ兄(あに)さん。


てか、あれだな。狐も嬉しくなると尻尾がブンブンと振られるんですね。


ケーキの前をウロウロするリーラが面白くて覗きを継続しているとリーラがこちらをチラッと見た気がした。


暴露たか?いや、でもリーラはケーキの前から離れてはいない。

しかし、今は先ほどまでのように尻尾を振り回していた乙女ではなく大人の女性の様な感じでケーキを見つめている。


「へぇ、ジオ。こんなとこでなにしてるんだい?面白いものでもみれた?」


背後から聞こえる穏やかな口調に隠された射殺さんばかりの殺気を帯びた声に俺の首は古びたドアの様にギギギッっと後ろに回る。


「ねぇ。窓に張り付いてまで見てるんだ。さそがし面白いものが見えるんだよね。私にも教えてくれないかな?」


俺は見た。


そこには般若という言葉が相応しい形相のリーラが指の骨を鳴らしながら仁王立ちしている。


「…………、てへっ。」


満面の笑顔で誤魔化そうとした俺の記憶はそこで途切れた。





気づけば俺は自分の宿の前に帰って来ていた。財布を確認すると丁度ケーキ2つ分くらいの金額が、俺の買い物分と合わせて無くなっている気がする。


何故だろう?

何か高価なものでも食べたのだろうか?

それとも娼館にでも行ったか?いや、それにしては金額の減りが少ない。


記憶を探ると何とも言えない恐怖心が込み上げてくるので俺は思い出すのを諦めた。


きっと、思い出さないほうがいい。

そんな気がしたからだ。


さて、明日は早い。さっさと飯でも食べて風呂に入って明日に備える為に早く寝よう。




翌朝のギルド。朝も早いと言うのに多くの冒険者がひしめいている。今回の参加者は150名。多いのか少ないのかはわからない。オークの討伐に慣れたものから、命知らずのものまで多くいるのだろう。


ん?これなら少ししか狩れないだって?

そんなことはない。そもそも今回は大規模な討伐であり、一匹の賞金額も大きい。しかもオークが溜め込んでいるであろう財宝も均等にではないにせよギルドと冒険者で分配される。ここにいる冒険者だって何割かは死んでしまうだろうからその分利幅は大きくなるしな。


今、俺はリーラと共にカードの配布を受けている。


このカードは一時的に貸与されるもので魔物を殺すと自動的に記録される魔道具の一種だ。高価なため本来はBクラスにならないとギルドカードとして配布されないのだが、今回は乱戦が予想されるため討伐部位の剥ぎ取りもできないし、何より死んでも最後に回収するため無くすこともほとんどない。


配布も終わったころギルドマスターが皆の前に姿を表す。


「よし、配布も終わったようじゃの。これより出発する。案内は内のギルド員がやる。場所はここから約1日の場所じゃ。予定では夜には集落の近くまで行き安全を確保しつつ翌日の朝方から攻撃の開始じゃ。斥候は既に出ておる。では、皆の者しっかり稼いでくるがよい!」


「「「おおっーー!!」」」


ざっくりとした説明の後に俺立ちは出発した。

てか、作戦とかどうなっているんだろ?














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