環境破壊します
「そろそろちゃんと、戦ってみたくない?」
「あー、ここのやつ、切っても切っても分裂するしなぁ」
「ですね。ここのは戦闘実験には使えませんね」
「次の階層めざそっか。あるんだよね?」
「横浜ダンジョンにはありました――現在3層みたいですね」
「じゃあ行こう!」
「んだぬ」
「アイテムを拾いながら行きましょうか」
「「はーい」」
というわけでアイテムを回収しながら奥へ奥へ進むと大きな部屋が見えてきた――水族館みたい?
「なんか、この部屋だけ雰囲気が違うね」
「ですね」
「なんか、すごいでっかい魔石が落ちてるぞ・・・?」
サッカーボールくらいありそうな魔石が、中央に「デーン」と。
「もしかして、・・・・ボス部屋?」
「・・・みたいですね」
「もしかして、塩素ガスで死んだ?」
「・・・みたいですね」
「なんだろう」
みずきが、ヤレヤレ系のアメリカ人みたいになる。
「これはひどい」
アリスが奥を指す。
「ゲートがありますよ」
「次の層に続いてるのかな?」
「入ってみます?」
「とりあえずじゃあ、危ないかもだから、ドローンを先行させよう」
私は相棒のAIイルさんを搭載したドローンを取り出す。
「イルさん、ちょっとあの先見てきてくれる? 安全か確認して」
『イエス、マイマスター』
球体に蝶の羽を生やしたAIドローンが「スィー」っとゲートに入っていった。
しばらくして戻ってくるドローン。
『安全でした。巨大な橋が続いています』
「ありがとう。じゃあ行こっか2人とも」
「慎重な上に、なんでも利用しますね」
「昔からああいうところあるよな」
「いいじゃん! 安全だってわかったんだから!」
というわけで私たちは次の階層に進んだ。
「綺麗ですね」
「おー」
「不思議な場所だなぁ」
第2階層、そこは、水がなくて空気のあるサンゴ礁だった。
水のない海の底のような光景が、続いている。
さらに足元は、長い長い橋だ。橋には天を付くような柱が、両サイドに建っており、天はまるで水面のように波打ち、光の針たちが揺れていた。
そんな光景の中を、暫く歩く私たち。
「なんにも出てきませんね」
「これじゃ、試し切りができないぞ」
「だねぇ――よし、ちょっと見てくる。変形――痛ーーーい!」
昨日がっつり柔軟教えて貰って、今朝もバッチリやってきたんだけど・・・・まだまだ、超・痛い。
これ、前進翼だからまだマシだけど。後退翼とか、デルタ翼だったら死んでたな・・・。
複葉機になんかするから、股裂きかぁ。
みずきが腕を組む。
「涼姫は、まだまだ柔軟しないとなぁ」
アリスは苦笑いで手を振った。
「が、頑張ってくださいね」
戦闘機に変形した私は、どんどん加速して、やがて音速で橋の上を飛んだ。
あー、飛行機に乗ると安心する。――いや、飛行機になってるのか。
にしても、何にもいないなぁ。
なんて思ってたら、
「え!?」
なんか壁から、ロープみたいなのが伸びてきた!!
私は躱そうとするけど、一本が右の翼に絡み付いて、足が変な方向に曲げられ、――痛ぁぁぁぁぁぁい!
わたしは「オウッ、オウッ、オウッ」と、オットセイみたいな鳴き声を上げる。
音速で飛んでも開脚は大丈夫だけど、変な方向に曲げられると痛いみたい。
一応足が折れるような事はなかった。鎧に安全装置があるみたい。
「触手か! この野郎よくも!」
翼に付いている励起装置を発動して、翼を熱の剣と化して、触手を引きちぎる。
ちなみに装備はダンジョンポイントで、カスタムできる。私は励起翼という武装と、汎用バルカンという武器を装備に装着してみた。バーサスフレームにもある武器なんだよね、これ。なので使い慣れている。
追加した武装は励起翼と汎用バルカンだけ。バーサスフレームにあるビーム砲とかは、ショップに無かった。
あと、ドロップした武器も装着できるみたい。みずきが戦艦の先端に直剣をくっつけて、はしゃいでた。
基本的に武器は、ARみたい。銃刀法に配慮する気の利いたダンジョンである。
「何もいないと思ったら、そうか――この周囲のサンゴがモンスターだったのか」
私は翼に付いている汎用バルカンを連射し、サンゴ礁をぶっ壊していく。
飛び散る魔石。弾ける装備。
「おー、サクサクだ」
にしてもサンゴをぶっ壊してる光景が、実に不味いな。
環境破壊じゃないよ? モンスター退治だよ?
攻撃してくる奴がいなくなったら、アリスとみずきが心配なので、Uターン――は飛行形態だと狭くてキツイから、一旦人間に戻りながら着陸、もっかい変形。
「痛たたた!」
すでに痛いのに、急にまた開脚されて半泣きになりながら、2人の元へ急いだ。
やっぱりか。2人がサンゴから伸びる触手と、格闘してる。
でも、うーん。
さすが、数々の修羅場をくぐり抜け、銀河最強クラスと呼び声高い2人。
触手なんか相手にならないみたい。
無数に向かってくる触手を、次から次へと斬っていく。
みずきは達人っぽく、最小の動きで躱しながら反撃。
「タァァァ!」
アリスは、豪快に力任せで数本まとめて斬り飛ばしていく。
「ヤァァァッ!!」
私は向かってくる触手を横転――飛行機を横倒しにしながら躱し、機関銃でサンゴを砕いていく。
私の機関銃の威力を見たみずきが、目を輝かせる。
「おおっ、高威力! アリス!」
「はいっ!」
みずきは〖水作成〗で水を作り出し、〖水操作〗で宙に浮かべて戦艦モードに。
アリスはその場で戦車モードになる。
「主砲、発射!!」
「てーーー!」
2人で、ドッカンドッカン、サンゴを吹き飛ばしていった。
またたく間に全滅するサンゴ。柱や橋には傷なし――破壊不能オブジェクトというのは本当のようだ。
「片付いた片付いた」
「足がちょっと痺れました」
人型に戻って伸びをするみずき。
アリスは足を揉んでいる。どうやら正座がキツかったみたいだ。
「変形からの攻撃は強いけど、問題は、弾丸を補充するのにダンジョンポイントが掛かるところだなぁ」
「ちょっと高いんですよねぇ」
「普通の弾丸が1発1000ポイントで、高威力のが10000かぁ。1階の魔石1個で100ポイントだから確かに高いね」
私もバカスカ機関銃撃ったけど、実は20万ポイントほど弾代で溶けた。
「まぁ、私等魔石は無限だから、明日になればまた数十万ポイント補充できるよ」
「それでも、普段遣いするもんじゃないなぁ」
「ですねぇ――あっ」
アリスがスマホの時計を確認する。
「そろそろ帰る時間ですけど、ボス部屋を確認しておきます?」
「だねー」
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ストックがキツめの話なので、今回からは1日1回の投稿にさせてください。




