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22話 偽物と本物

 偽物と本物




「何とか、止血はしたけど、様子がおかしいよ!!」


 僕、皐月は雛の止血に何とか成功したものの、顔色の悪さが気になっていた、息もすごく荒いし、もしかしてだけど、毒でも有った?


「やっとたどり着きました。では、美智頼みます」


「ええ、分かりました詩織様」


「誰!!」


 メイドさんとその主人らしい女性が現れて、此方に向かってくる。


「君たちは何者だい!」


「安心してください、私たちは同盟関係にある、源羽軍の詩織と、美智です。神奈の命令でそこの子、たしか雛さんでしたね、その子を助けに参りました。先ほど矢で撃ち落とされたのを見て、神奈があなたたちを失うわけにはいかないと言って、私たちが派遣された訳です」


 この会話中にも、美智さんが雛の体を触り、診察している様だ。


「神奈! なら安心できる気がするけど……いや、今はそんな事より、雛を助けないと!」


「ええ、分かっています。ではどういう状況か確認です。止血は済んでいるようですが」


「そうなんだよ、けど、凄く苦しそうで……」


 急ぎたいけど、ここで急いで治療を失敗することを考えると……、急がば回れ、よく考えて話さないと。その会話の目の端で、詩織さんが、周りを警戒している。


「そうだね、矢を受けて、止血はしてみたけど全然よくならないんだ」


「では、包帯をほどきますね」


「なんで!!」


 ささっと包帯を取ると、矢を受けた右側の脇腹が変色していることに気が付いた。


「やはり毒ですね。では、血液浄化します」


「どうやるのさ!」


「私の得意な魔術は時間魔術です」


「それがどうしたのさ!」


「その能力で、毒を抜いてしまうのです」


「なんで、ってああ、成程そういうことか」


 時間を戻して、毒と血液が混ざった事を無かったことにするって事かな。落ち着いて考えたらわかるのに、パニックになっているね、僕。


「でも、そんな凄い能力だと、反動があるんじゃ……」


「まあそうですね。傷を治すとなると、その傷を発生させた因果を私に転移させる必要があるのですが、毒は、腹痛程度で済みます」


「どういう判定なんだろうね、それ」


「っと終わりました。では、私は神奈の元に向かいます」


 雛の顔色がよくなった。そして包帯を巻きなおして、


「あ、ああ、よかったよー! けどまだ目を覚ましてないから、様態を見とかないと! あ、ありが……!」


 ありがとう、という前に、詩織さんは空に飛び上がり、


「では、様態を見ておいてください。私は神奈を助けに行きます」


「私は雛さんの様態を見ておきます。ついでに、休憩もしておきますね」


「お願いします、美智」


 詩織さんは、港に泊まっている戦艦っぽい物の方に飛んで行った。雛ちゃんが復活したらお礼を言いに行かないとね。



 



「さて、助けに来ましたよ。神奈」


「……ああ助かる。あの蜻蛉切がジャマだ」


「承知しました、任せてください」


 私こと詩織は蜻蛉切を持った少年の前に立ちふさがり、此方も魔力で編んだ蜻蛉切を構える。


「なんでお前も、蜻蛉切を……ってそうか、こっちの世界の蜻蛉切か?」


「いいえ違います。この世界の蜻蛉切を解析して、魔術で作っているだけです」


「成程、お前の蜻蛉切は偽物か。なら、僕が勝つ!」


 少年は槍を構え突撃してきたので、私は受け流せるように槍を構える。


「偽物、本物、談義ですか。それでは一つ。偉い人が言っていた言葉ですが、偽物でも、本物に迫る事はできる。さらに!」


 槍と槍がぶつかる、しかし、穂は当たらず、柄同士のぶつかり合い。あちらも穂が当てる為に相手に突きを繰り出させたいところのようですね。


「本物ほど価値がない物なら、改造がしやすいのです」


 私は左手に持っていた、もう一本の短い蜻蛉切で貫抜く。しかし回避されて、


「まずは一本!」


「させるとお思いですか?」


 右手に持った蜻蛉切を回転させ、そのまま突きに移行。しかしそれすらも回避された。


「成程、良い動きです。お名前は?」


「スゴンド・ソルダ。この戦争を止めに来た!」


「ほう、大きく出ましたね。ですが! 力が足りてませんね」


 双方、間合いを取り、にらみ合い。


「そんな事はない。最初の戦闘から腕は磨いた。最良世界が落ちてからも、この戦争の話が出てからも! 鍛え続けた。だから! 必ず、この愚行を止める!」


 蜻蛉切同士がぶつかり合う。たしかに、強い相手ではありますが、蜻蛉切あつかいならワ私の方が強いです! そう思って、突撃しようとした瞬間。何かが視界の端で光った。スゴンドの仲間がいるようですね。後退した瞬間、今までいた所にナイフとビームが届く。その出所に目をやった瞬間蜻蛉切が真っ二つに斬られた。


「これでどうだ!」


「成程、よく頑張りましたね。ですが」


 魔力でもう2本編む。


「一騎当千の専用武器よりも、量産可能な偽物の方が強いのですよ! 何故なら壊れても代わりがきくからです!」


 スゴンドが走って逃げた。それを追うつもりだったのですが、ビームに邪魔されて、スゴンドは船から飛び降り、姿が確認できなくなった。


「ふむ、見失いましたか。まあこれだけ、時間を稼げばいいでしょう」


 少し休憩しますか。


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