第194話 配信の途中だがダンジョンだ!
さて、最後のビーチバレーをやらなければ。
「私の身体能力が極めて低いので、これはハンデが必要ではないですかな?」
「確かにエイミーがついた側が負け確だな」
「俺は別に構いませんがね」
「僕はむしろエイミーと組みたいなー」
「ひいー」
と言う感じのやり取りが行われ、では僕と刑部さんが組んで、そこに風神号を加えようという話になった。
※『風神号を加える……?』『Aフォンを……?』『一体何を……』
『風神号です。バーチャライズして参りました』
戸惑うリスナーさんたちの眼の前に、突如現れる少年姿の風神号!
※『!?!?!?』『えっ!?』『どゆこと!?』『かわいいー!!』『銀髪褐色ショタ!!』『ヘキが曲がっちゃうぅ』『ひぃー、グッズ化してちょうだいぃぃ』『またお金吸い取られちゃうぅ』
みんな盛り上がってるねー。
本来は、サンダーと一緒に釈明配信をして、そこに風神号が出てくるはずだったんだけど……。
なぜか、お互いに送りあったおもちゃの話が盛り上がってしまって、それで配信が終わっちゃったんだよね。
だから、世間には風神号の存在はバレていなかったのだ!
風神号のアバター体を目撃してたおもちゃ売場にいたファンの人たちは、あれ以降気配がないしなー。
『はじめまして。いえ、いつも皆さんの事はネットを通して拝見しております。風神号です』
※『Aフォンがアバター被って出てくるとかもうこれわかんねえな』『礼儀正しくて好感触!』『風神号がそこにいるなら撮影はどうしてるの?』『かわいい』『抱きしめたい』モデレーター『ちょっとセクハラしてる人はコメントを制限しますね』『ギニャー!?』
『私の撮影能力は分離して、別個に配信を進められるようになっています。実際にはこの体と、撮影用のAフォンアバターを作成し、撮影機能をAフォンアバターに移しているような状態なんです』
※『説明がうまい』『ふうらいエレメンツとは思えぬ』『来たか、ふうらいの頭脳派!!』『風神号くんのグッズは出るんですか?』
『ええと、グッズは……』
風神号がちらちら僕を見てるのだ。
ここはパートナーとして助けに入るぞー!
僕はパタパタ走ってきて、後ろから風神号をハグしながら、
「出まーす! ですよね社長!」
「うん!! 出すことを今決定した!」
心強い返事をもらった!
※『あーっ、かざりんの胸に風神号きゅんの後頭部が押し付けられて!』『これは良いおねショタ』『素晴らしいものを見ていますぞ』モチョチョ『かざりんをずっと推してきて良かった……風神号は俺だ。俺達なんだ……!』御座候『拙者は今感動している!!』今川『姉弟って感じでいいでおじゃるなあ』
「す、すっかり私の存在感が!!」
向こうで刑部さんが騒いでるので、そろそろビーチバレーをしよう!
向こうは男子二人のチーム。
こっちは女子二人と風神号のチーム。
いや、中身で言うとどっちも男女ペアだな……。
普通の競技だと、男女だと身体能力の差があり過ぎるんだけど、配信者なら全く問題がない。
同接パワーで押し上げられるから、男女の差なんか大した違いじゃなくなるからね。
さらにこっちは風神号が凄く人気!
これは勝てる!
「よーし、手加減抜きで行くぞーッ! おらーっ!!」
まずはサンダーの稲妻サーブ!!
ジャンプから繰り出された強烈なサーブが、雷みたいな光を纏いながら飛んでくる!
ちょうどその先に刑部さん。
「ウグワーッ!」
ドカーンと当たって、ボールが宙に浮いた!
刑部さんがひっくり返ってピクピクしてる!
ナイスレシーブ!
『マスター! トスの動きは既にインストール済みです!』
風神号が落ちてくるボールを、素早く打ち上げる。
これに僕が駆け寄って、ジャーンプ!
「お返しだー! おりゃー!」
僕のスパイクが、ぐるぐる周りながら一直線に突っ込んでいった。
「なんの! 風よ!!」
切崎さんがカマイタチを使い、風を使ってボールの勢いを相殺!
これを受け止める。
やるなー!
打ち上がったボールを、さらにサンダーが「とどめだーっ!」とアタック!
だけど僕はもうそこにいるぞー!
「なにっ!?」
「ブローック!!」
「うおおっ!」
ボールが跳ねて、向こうに落ちたのだった。
「かざり、ほぼ一人みたいなもんなのに強いな……!!」
「これが同接パワーですから」
「あいつ、一人だけ特殊な力も何も持ってないよな……? なんで一人で俺達二人を圧倒しそうになってるんだ?」
※『パワーバランスが面白すぎるw』『なんで魔法を使う側の二人が挑戦者側みたいになってるんだ!?』『風神号がちょこちょこ走り回ってナイスサポートしてるな』『かざりんにベストなところで球を上げてくるぞ』『だが男子チームはトータルの戦闘力が高い!』『エイミー以外はレベルが高いぞ!』
「私は運動関係てんでダメですからな!!」
こうして白熱するビーチバレーなんだけど……。
そこに、突然「きゃーっ! ダンジョンがーっ!」という悲鳴が響き渡る!
海で子どもたちに泳ぎを教えていたマーメイドの人が叫んだみたいだ。
「なんだってー!」
「なにーっ!」
「なんですとー!?」
「なんだと!?」
僕ら四人、冒険配信者モードに切り替わる。
ダンジョンと聞いたら……攻略しなくちゃだよねえ!
すぐさま、ルンテさんがスーツケースをガラガラ引っ張って走ってきた。
「みんなの武器、この中に入れてあるよー! はい、切崎くんのリストボウ! エイミーの鏡と拡大鏡! それからサンダーとかざりちゃんの……。なにこれ、なに……?」
パイルバンカー付きのガントレットおもちゃと、光って音が鳴るガントレットおもちゃだね!
「それそれー! サンダーにプレゼントしてもらったの。こっちは僕がサンダーにあげたやつ」
「おっ、俺が右手でかざりは左手に装備するんじゃん。おっしゃ、じゃあ行きますか!」
「行こう!」
急遽、ダンジョン配信が始まるイベントクライマックスなのだった!
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