第136話 ラジオ体操の後、園宮さん
有言実行!
その場の人達にOKをもらって、僕とサンダーでアバターを被ってラジオ体操に参加してきた。
配信もしたよ!
リスナーも集まってきて、みんなで配信を見ながらラジオ体操をしているようだった。
健康が一番。
みんな、今日も頑張って行こうー。
「みんな全然OKだしてくれたね。よかったー」
「配信への理解が深まってるからね。それに何人かはあたしたちの事を知ってたし」
「やっぱり有名だと強い」
僕は実感してしまったのだった。
ラジオ体操のスタンプを押してもらい、カードを首からぶら下げて帰宅!
アバターのままだったので、変身を解いたのだった。
「いやあ、朝の運動は頭がスッキリするね」
『マスターが健康的で何よりです』
「うんうん、限りある夏休み、可能な限り健康に過ごしていかないともったいないから……」
『そんなマスターに早朝から連絡です。迷宮省から、昨日のATMダンジョンについての簡単なまとめが送られてきています』
「こんな朝早くに!? もしかして徹夜で仕事してた? 大変な仕事だなあ……。僕にはとてもできない」
退魔師だった頃は、徹夜朝駆け当たり前のハードな事をしてた記憶もあるけど、今の僕はすっかり公私バランスの取れた生活をするようになっているのだ。
今日も何か遊びに出かけようと思ってるし。
「でも、まずはまとめを見てみよう。どれどれ……?」
今回のまとめは、園宮さん以外の人が作ったみたいだった。
そりゃそうか。
園宮さん、僕と冷やし中華食べてから帰ってて、現場を検分してないもんね。
内容は主に、ATMダンジョンに侵食してきたであろう異世界の話だった。
どうやらこの世界の他にも、たくさんの世界が存在してるらしい。
それは分かる。
湊くんの家が異世界に通じてたもんね。
それで、別の世界は普段、ただ単にそこにあるだけなんだけど……。
たまにこっちの世界に重なって、侵食みたいなことをしようとしてくるらしい。
ダンジョン化もその一つなんだって。
「へえー。ダンジョンって怖いものだなあ……。でも学校では教わってなかったような」
『全てのダンジョンが異世界からの侵略ではないということなのではないでしょうか』
「あ、そっか! 書いてある! 普通のダンジョンは世界に生じたバグなので、配信者というバグ潰しが頑張ってそれを潰して回ってるって。ダンジョンにも色んな種類があるんだ?」
そう言えばATMダンジョンは、明らかにATMではない光景が空に広がってたりしたもんなあ。
僕が今まで経験してきたダンジョンは、あくまでその場所がモチーフになり、迷宮化したものだった。
退魔師はダンジョン化した屋内で戦うことが多かったからかも知れない。
ATMの建物に入ったら、中が外の世界みたいになってるなんてのは、よく考えたら初めてだ!
「ほえー、あれが異世界なんだなあ」
感心しながら、朝食を終えて本日分の宿題。
これも問題なく完了。
『異世界からの侵略である事は、その場に残されているこの世界ではありえない物質の存在によって証明できるのだそうです。私はその場で残留物のピックアップを行っていませんでした』
「配信してたし、いいんじゃないかな? 分析は迷宮省さん。僕らは戦って、世界の平和を守る。役割分担だよー」
『マスターのお心遣いが身にしみます』
「凄く人間的な表現!」
風神号とお喋りしていると、今度は園宮さんからの連絡が入った。
SNSを通じて、これから迎えに行きますだって。
「お昼までだったらだいじょうぶです。そこからサンダーと合流しようかなって思ってるんで」
そう返答して、園宮さんの到着を待つ。
今日はふうらいエレメンツのグッズのTシャツに、ホットパンツでお出かけだ。
足には緑のサンダルを履いている。
日焼け止めよーし。
ちょっとペタペタするんだよね。
『しっかりと学習されていて偉い』
「ふふふ、今日の僕は昨日の僕よりちょっと成長しているんだ」
隣室のサンダーは静か。
二度寝した?
あ、いや、なんかたまにバタバタっと音がする。
屋内でトレーニングしてるんじゃないかこれは。
ストイックだなあ。
それに比べて、友達と遊んだりしまくる僕は、かなり緩くなってしまったのでは?
──まあいっか。
ちょっと待っていると園宮さんが到着した。
半袖ワイシャツ姿だ。
「かざりさん、迷宮省までお連れします。出勤途中で立ち寄らせてもらいました」
「あ、わざわざありがとうございます! じゃあ行きましょー」
「なるほど、あえてふうらいエレメンツのキャラものTシャツを着ることで、それがきら星かざり本人だとは分からないようにしているわけですね。完璧なカモフラージュだ……」
そ、そこまで考えていません!!
もらった服は着ないともったいないよね、くらいの精神なので……。
乗せてもらったのは、園宮さんのマイカー。
ブルーのカワイイ軽だった。
車内は冷房で冷えてる。
涼しい~。
「助手席のドリンクホルダーに麦茶がありますから、どうぞ飲んで下さい」
「ありがとうございまーす! 園宮さんは親切だなあ」
「フフフ、私だけに許された役得を存分に堪能させてもらっていますからね。これはそのお礼です」
「……?」
どういうことー?
まあいいや。
麦茶のペットボトルに口を付けて、一息に三割くらい飲み干す。
「うーん」
園宮さんが満足げな声を漏らしてる。
どうしたんだろう。
『迷宮省の方でなければ、接近禁止にしたいところではあります』
「風神号さん、そこは許してもらえるとありがたい。持ちつ持たれつです」
『マスターにもたらされる恩恵を考えると許さざるを得ません。うーん』
二人とも何を言っているんだろう……?
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