金色(こんじき)の探偵よ!
皆様、今回で事件が終結いたします。
お付き合い、誠に有難うございました。
ですが、スイリヤのお話はまだ完結したわけではございませんので、ぜひお付き合いください。
「では、トカレフはどっちでしょう?」
寺井は表情を引きつらせ、
「なぜ俺だとわかった?」
龍生は淡々と語る。
「それは簡単。あなたが太っていたからです」
「なぜ太っていることが理由だ?」
「いいですか? 銃を隠すにはそこまで太ってない人が着太りするくらいの服装なのが一番好都合なのですよ」
「太っていないといつ気づいた?」
「足首、細すぎます」
寺井はため息を着くと、
「じゃあ、なぜ英語教師じゃないとわかった? あいつの持ち物の一番でかい本が中は空洞で銃がしまえるようになっているかもしれない」
龍生は軽く頷き、
「では、別のアプローチを。英語教師が証言した時間、パソコン室のログイン歴はありませんでした。おそらく、消去されたものかと。よって、英語教師は犯人じゃない。というか、彼はあまりにも全てに動揺しすぎている。そんな人間に殺人は不可能です」
寺井は悔しさをにじませながら、
「俺は監視カメラに映っていた通り、15分から25分までしかあそこにいなかった。なら俺は一番に容疑者から外れる」
龍生は相変わらず淡々と、
「おそらく、カメラ映像を編集しています。本当は28分以降にあそこから離れたはず。編集箇所を詳しく調べればわかるはずですよ。視聴覚室での事情聴取の段階で容疑者から外れていなかった」
そういいながら相変わらず寺井に銃口を合わせていた。
寺井が車のボンネットを強く叩く。
「いい加減にしろ! 私が悪だと言って正義を振りかざすつもりか?」
龍生は首を振ると、
「俺は悪が許せないんじゃない。俺以外の悪が許せないんだ」
そう言ってそっと引き金を引こうとした。
瞬間。
バァアン!
先に寺井が手元のトカレフを握りしめていた。
龍生の腹部が大きく波打ち、そのまま彼は崩れ落ちる。
同時に、パトカーのサイレンが聞こえた。
寺井は慌てて銃を学校の屋根の上に投げ上げる。
そこに複数の足音。神崎たちだ。
「こっちです早く!」
「わかっている! 落ちつけ!」
神崎が大声で先導しながら警部補を連れてくる。
後からミーケと松崎も駆けて来た。
神崎は倒れている龍生を見つけると、
「しっかりして!」
警部補は寺井との距離を測り、銃を持っていないのを見るとゆっくりと近づいた。
「何があった?」
寺井は慌てて取り繕う。
「今! たった今、犯人がこの場で彼を打って逃げたんです!」
しかし、そうは問屋が降ろさなかった。
屋根の上の窓に錐先が顔を出す。
すると屋根の上の銃を棒でつついて落としてしまった。
それは警部補の隣に落下。
拾い上げると寺井に接近して、
「逮捕だ」
たやすく手錠をかけてしまった。
「そ、そんなぁ! 聞いてください! 僕じゃありません!」
警部補は怒りをあらわにして、
「とぼけるな! このクソ犯罪者が!」
一方神崎は龍生を介抱していた。
「起きてよ!」
「うぅ」
すると龍生はゆっくりと目を開けた。
神崎が飛び上がって、
「よかった! どこ撃たれたの?」
龍生は自分の学ランのボタンを外し、振る返しながら内側を見せて、
「ここだ」
学ランの内側には大量のお守りが敷き詰められていた。
「生きる気満々ねあなた」
その時、龍生の声を聞いて寺井が叫んだ。
「どうしてだ! なぜ『トカレフ』だとわかった! 何にも証拠がなかったはずだ! どうして!」
龍生は立ち上がると、
「その件については推理でもなんでもないんです。板垣警部補が『トカレフ』と言っていたからとかではなく、ただ視聴覚室で『トカレフ』と言った瞬間だけ、あなたの瞳孔が広がった。それだけです」
いわゆる『スイリヤの勘』であった。
「くっそお! くっそぉ! くっそぉ!」大きな声をあげながら、寺井は集まった警察官たちに連行されていった。
そして去り際に、
「まだこれからだぞ! 金色の探偵よ!」
この声だけが残されていった。
謝辞
最後の結末。これは昨日の段階で投稿すべきでした。
次回『次の事件への伏線』




