エピローグ1
皆様、お疲れ様でした。
エピローグをお楽しみください。
次の日、龍生と神崎はいつものように学校に訪れていた。
龍生は早々ミーケに捕まり、大目玉を食らう。
しかし、それ以外はほとんど変わりなく一日が進んでいた。
そして、ミーケの授業。4時間目の最後。
「よ〜し。今回も最高得点は高杉や。78点。みんなも精進するように。あと、龍生、神崎。お前ら後で校長室にこい。わかったか?」
二人はとりあえず頷いた。
そして校長室。
立ち並ぶ二人の前で、
「聞いたで龍生君〜。慧見ちゃん。昨日逮捕してんてな? めちゃくちゃすごいやん!」
神崎は照れながら「いやそれほどでも」
「なんでお前が照れているんだ?」
龍生の言葉に少し気を悪くした神崎は彼らを褒めたてる和美に尋ねた。
「今日はなんで学校にいるんですか?」
「いや〜、それはな。君たちにかいてほしい書類があるんや。ほんで、できたら君たちを私の探偵会社の人間として招きたいんや。ええかな? 慧見ちゃんはええよな?」
「はい! それが目的で大阪に来たんですから!」
龍生は言葉を渋って、
「いや〜、俺は別にいいわ。そんなに探偵になりたくないし」
神崎はすかさず龍生の脇腹を殴った。
「グハァ!」
「何言ってんの? 日本一の探偵が誘ってんのよ? 乗りなさい乗りなさい」
龍生はため息を吐く。
すると和美が挑発した。
「あんた、怖いんか? ほんまはまぐれで、昨日のんとか全然たいしたことなかったりして」
龍生はカチンときたが絶対に首を縦に振らなかった。
そこで和美は攻め方を変える。
「スイリヤ、としての実力を見せてくれよ。私はそれが見たくて仕方ないんや」
そう言われると龍生の目つきが変わる。
「わかったよ、あんたも神崎伝説だもんな。ちょっとくらいなら協力してやるよ」
和美はニヤリと笑って、
「じゃあ、名前書いてくれる?」
一方その頃ミーケは。
「これが神崎の編入試験結果。マジで花園崎と並べる実力ですね」
松崎が隣で紅茶をすすりながら、
「それは当たり前です。神崎伝説はそれほどまでに恐ろしい」
ミーケは眉をぽりぽりかいて、
「なんなんですか? その神崎伝説っていうのは?」
松崎が険しい顔をした「神崎伝説っていうのは、神崎家の繁栄の歴史ですよ。江戸時代から続く神崎家は今に至るまで大きな繁栄をみせ、その一連の武勇伝のようなもの。この学校に勤めている私たちも、神崎伝説の一部ということになっているんでしょうね」
ミーケは面倒臭そうに、
「わかりましたよ。全く、この学校には三つも伝説があるんですね。神崎、花園崎。あとは『金色』。その上龍生は普通じゃない。かわいそうなのか、うらやましいのか、わかりませんね」
神崎は和美の元で名前を書き終わり、錐先のいる推理研究部にやってきていた。
そこは相変わらず本とDVDだらけの部屋だったが、神崎にはそんな部屋にくる理由があった。
「龍生ってどういう人なの?」
「また大胆な質問だな」
神崎が錐先に尋ねた。
「彼って、あんなにすごい推理力がありながら、なんでこんなに偏差値の低い学校にいるわけ? 私でも正直驚いているわ」
「何がそんなに疑問なのかわからないがな。一つヒントを教えてやろう。何かあいつに変わったことを見かけなかったか?」
「そんなこと言われても……。でも確かに、やたら黒板を書き写すスピードが遅かったり、フリースペースではなんかようすが変だったし。さっきなんか、名前を書いてって言われて私に書かせたのよ? 『俺にはかけない』とか言って」
錐先は笑うと、
「ははは、それはそうだ。あいつは『書いた字を消したくなっちまうからな』。だから、あいつは消せないように全部ボールペンでノートを取っているし、それでも黒く塗りつぶしちまうから時間がかかるんだ」
「どういうこと?」
「つまり、脅迫性障害さ。考えちまう病気。だから、推理が頭から離れなければ、自ずと結論がでる。それだけの話さ」
和美は高ぶっていた。
「やっぱりや! みんな下の名前で龍生君呼んでると思ったら! 彼の苗字はやっぱりそうや!」
隣で男の秘書がなぜ高ぶっているのかが分からずに、
「そんなに彼の名前がすごいんですか? ただの珍名さんでしょう」
「ちゃうわ! 彼の名前見てみ! 金色龍生!」
和美はそいうと机を叩いて、
「これは神崎伝説の大元、『金色伝説』や」
秘書は問う。
「金色伝説?」
「そう! 神崎伝説は金色伝説の一部や! しかも、たった約1割が神崎伝説! 本物の伝説は他の9割以上や! そして、神崎家に伝わる伝説はこう言う。『金色伝説を連れてくるものが神崎伝説を作る!』」
和美のテンションに秘書は驚いて、
「じゃあ、彼を連れて行きた慧見さんは神崎伝説ですね」
「違う! 金色家はもう滅んでるはずや! 存在なんてしてない」
「じゃあ彼は一体?」
「それをお前が調べてこんかい! はよ行け!」
秘書は冷静沈着にその場を後にした。
全く、泥人形が大騒ぎだな。
金色の粘土人形がそんなに気にいるか?
「なんや? それは、私が犯罪者っちゅうことか?」
自覚があってよろしいようで。
「よし! みんな集まったな! これから、推理研究部の調査報告をします!」
龍生がフリースペースで大きな声を出した。
彼が座る椅子と大きな丸机には、花園崎、錐先、高杉、そして神崎がいる。
彼らはフリースペースの生徒の中でもひときわ目立っていた。
「まず、先週の金曜日の報告。俺たち龍生と神崎は、朝の8時15分に冤罪現場に出くわした。そこから容疑者桃城の調査が始まる。それはのちにいさらぎ先生の企てたことであることが判明。しかし、いさらぎ先生は殺されてしまった。だが、犯人の経営コンサルタント寺井を逮捕することに成功。以上」
龍生に続いて花園崎も、
「私たち花園崎と高杉、瑛林は錐先に報告を受けカメラに細工をした共犯者を捜査。その結果、マスターキーの保管庫を映していた映像が2分に渡りカットされているのを確認。そこから探ると殺人の協力以外の目的として、図書室にある歴史てきな本の盗難が出てきました」
さらに続ける。
「私たちが気づいたときにはすでにその本が盗まれていたのですが、瑛林が保護したとの連絡を受け図書室へ。しかし、その歴史的な本は一部が破かれて廊下に捨て去られていました。その本は回収しましたが、破れた部分が見つかりませんでした。あと、カメラに細工した管理人を警察に通報。以上です」
すると高杉が尋ねた。
「おいおい、龍生。瑛林は一体なんなんや? ナイスプレーすると思ったら本放置してどっかいってるし、意味わからんねんけど」
「そういう奴だ。放っておけ」
錐先が報告を始めた。
「俺は色々して後はDVD見てた。以上」
「そんなけかい」高杉がずっこけそうになる。
龍生は神崎に視線を向けた。
「で、どうなんだ。桃城の様子は?」
それを聞かれて神崎は驚いた顔をした。
龍生は不服そうに「何驚いている。そんなのお見通しだ」
すると神崎は報告を始めた。
「私は桃城さんに今の状況を尋ねたら、彼女の母親はシングルマザー。半年前腰椎のヘルニアのため越しに注射を射ったらそこから動けなくなり、入院。稼ぐ人間がいなくなった家族を桃城さんがアルバイトで支えていたらしいわ。知り合いのラーメン店を手伝っていたようね」
彼女は続けた。
「でも、母親は回復途中でこのまま行けば来週にも退院できるらしいわ。冤罪に加担したのは弟の給食費や必要経費のため。払わなくても給食は出してもらえるでしょうに、かなり真面目ね。そこで、私が区役所、弁護士、あらゆるところに手を回して彼女の家計をサポートしたわ。それでようやく彼女もアルバイトを辞めることができたの」
花園崎が笑って「さすが神崎伝説ですわ」
すると錐先のスマホが鳴った。
「おっと、瑛林からだ」
そう言って彼はメールを皆に見せた。
『報告。君たちの情報とあらゆることを考慮して考えた結果。今回のいさらぎの冤罪計画、寺井の殺人は諮問犯罪者によるものと断定。シャーロックホームズ好きには感極まる事件だろうね。なぁ、神崎伝説』
龍生がのけぞって「だとよ神崎」
神崎は俯いて「なんでシャーロクホームズ好きってバレるのよ……」と恥ずかしそうだ。
高杉が喜んで、
「よし、じゃあその指紋犯罪者をどうやって捕まえるか考えよう」
龍生は手を組み合わせ満を持して言う。
「では、作戦会議をはじめようか」
皆様、ここで第1章〜トカレフはどっち?〜を完結とさせていただきます。
次回『ラグロ・スナイプスの独り言』




