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後編

私がヴィクトルと結婚して、3年ほどが経った。

ヴィクトルは宣言通り私のことなど一切気にせずに、視界にも入れず、白い結婚を実行した。

周りは私を不憫がったけれど、私はちっとも不幸だとは思わず、むしろ快適だと感じていた。誰にも何も言われずに、出かけて、家の中で本を読んで、金魚を眺める。そんな人から見たらつまらないと思われそうな毎日が、あの牢獄のようなお城に住まわされていた私にとってはとても尊いものだった。


じきに、ヴィクトルが愛人に子どもを身ごもらせたという話が流れてきた。ヴィクトルの父であるスーレン王国の国王は、その子どもを私とヴィクトルの子どもとすることに決めた。私はその子どもが産まれてからは自分の子どもとして育てなくてはいけないことに、少しうんざりしていた。


そんな話を聞いてからしばらくして、今度は妹のベアトリスが実は妊娠しており、来月には出産するのだという話を、数年前に国王となった兄から聞かされた。無事に生まれたら、すぐにお祝いのためにアリア王国まで来い、という話もされた。


ベアトリスが懐妊していたことを聞いて、なんと私は傷ついたのだ。なぜなら、私なんかのことを心配してくれていたノアならば、きっとベアトリスをとても大切にしていたのだろう、と容易く想像できたからだ。愛人のこどもの世話をさせられることになる私と、愛されて大切にされながらわが子を育てられるベアトリスとの差に、私はその時ようやく傷ついたのだ。

私とベアトリス、どちらが幸せになれるかなんて答えは簡単に理解できていたし、自分が不幸な目にあっても、それは私だから仕方がないと、これまでは諦めてこられた。それなのにその時私は、信じられないほど深く傷ついたのだ。






兄からの連絡が来て数週間後、無事にベアトリスが元気な男の子を出産したとの連絡が来た。私は兄の言いつけどおり、すぐさまアリア王国に向かった。


初めてやってきたアリア王国は、母国よりもスーレン王国よりも、ずっと大きく栄えた国だった。私は見たことないほど立派なお城の中を歩きながら、感嘆のため息を漏らす。

ノアの両親は1年ほど前に他界しており、今はノアが国王としてこの国を治めている。

前国王の死を悼んでいたところに、待望の長男が生まれたことで、お城の中は祝福ムードで一杯だった。


私は、城の使用人に案内されるがまま、広間を歩いていた。すると、前方からたくさんの臣下を引き連れたノアの姿があった。最後にあった時よりもまた少し精悍になった彼に、この日の私は少し傷ついた。

ノアは私に気がつくと、君か、と言って近づいた。


「早いな。君の兄上ももうすぐで着くらしい」

「ええ、すぐにでもお祝いをしないとって」


私はそう言って微笑むけれど、内心は全くそんな気持ちはなかった。

しかしノアは、ありがとう、と微笑んだ。その彼の笑顔に、私はダメ押しのように傷つけられた。けれど私は、そんな素振りは見せずに笑顔を絶やさなかった。


「…そうだ、兄上が来るまでに、君に頼みたいことがある」


こちらへ来てくれ、と言うとノアは歩き出した。私は、え、ええ…、と内心動揺しながら、彼の後を追った。







私は、ノアの部屋に連れてこられた。広い部屋は本棚がところ狭しと並んでおり、彼の作業机には書類が山のように積み重なっていた。

ノアは、サイドテーブルの前で立ち止まると私の方を見た。私は、サイドテーブルの上にある水槽を見た。そこには、あの日譲った金魚たちが気持ちよさそうに泳いでいた。


「あら、大切に育ててくれたのね」


私は屈んで水槽を眺めて、安心したように微笑んだ。ノアは、金魚だけど、と言った。


「君に返そうと思う」


そう背後から言われて、私は、え?と目を丸くして彼を振り返った。


「どうして?飼ってみたら厄介だった?」

「いや。…国王になって、…父親にもなって、手がまわらなくなってきたから」


そう言って水槽を見つめる彼に、私はまたさらに傷ついた。私は少し不貞腐れながら、別に世話はもともとあなたがしてないでしょう、と返す。ノアは私の方を見て、そしてまた水槽を見た。


「頼む、持って帰ってくれ」


そう言ったノアを、私は絶望しながら見上げた。私は黙って水槽に視線を移す。一生彼の方なんか見てやるもんかという気持ちで、私は、ええ、と冷たく返した。


「そんな無責任な人に預けていられないから」

「…」

「私なんて、金魚たちをとっても可愛がっているんだから。毎日話しかけて、餌もやって。だから、すぐにでも連れて帰る。あなたに飼われてるよりずっと、私のそばにいたほうが幸せだわ」


私は傷ついたままそう言った。ノアはまっすぐに水槽を見つめたまま、静かに口を開いた。


「…俺は思うよ、生まれ変わったら金魚になりたいって」

「え?」


一生見てやるもんか、と思っていたはずなのに、私はすぐにノアの方を見た。ノアは遠い目で、泳ぐ金魚を眺めている。私はさすがに心配になりながら、ねえ、と話しかけた。


「…どうしたの、疲れてるの?」

「え?」

「そんな若くして、こんな大きな国の国王になっちゃって、しかも父親にまでなっちゃって、プレッシャーがかかりすぎてるの?」

「…」

「金魚見てたら、癒されるわよ?今すぐに謝るのなら、持って帰らずにいて差し上げるけれど」

「…」


ノアは私の目を見る。私も彼の目を見る。彼はゆっくり目を細めると、いや、と顔を横に振った。


「決めたんだ、手放すって」

「…」


私は一瞬黙った後、そう…、と返した。その時扉が開いて、ノアの執事の一人が、スーレン王国国王がみえました、と伝えに来た。










執事に連れられて、私はノアと一緒にベアトリスの元へ向かった。するとそこには、兄の姿があった。

産後間もないベアトリスが横たわるベッドの隣に、小さなベッドが設置されており、その周りには数人の使用人が囲んで、時折抱き上げたりしてあやしていた。ベアトリスのそばにいた兄は、やってきた私の姿を見て珍しく、ああ、と口元を緩めた。妹が王子を産んで機嫌がいいのだろうか、と私は思いながら、お久しぶりです、と頭を下げた。

ベアトリスは、産後の肥立ちがあまりよくないのか、少し顔色が悪い。私はそんなベアトリスの方を心配そうに見つめる。すると兄が、王子を見せてもらえ、と私に言った。私は、はい、と言うと、赤子の眠るところへ向かった。

そこにいるのは、妹にそっくりの美しい赤ちゃんだった。私は、わあ…、と声を漏らした。


「なんてかわいらしい…。ベアトリス、よく頑張ったわね」

「…」


私の声掛けにも、ベアトリスは青い顔で黙り込むだけだった。私は、ベアトリス?と呼んだ。


「具合が悪いの?私、もう部屋を出ていきましょうか」

「いいや、お前はここにいてもらう」


兄はそう言うと、私の背後に周り、私の腕を後ろ手に組ませ、身動きを取れないようにした。手に持っていた水槽は床に落ちて、水と金魚が床に散らばった。

わけが分からないまま私が立ち尽くしていると、兄の合図の後一斉に部屋へスーレン王国兵が大勢入り込んできた。

ベアトリスは目を丸くして、悲鳴を上げた。ベアトリスの周りを使用人たちが囲み、赤子も抱き上げられて、使用人たちに守られる形になった。


王国兵たちは一斉に、ノアに剣を向けた。ノアは神妙な顔つきで彼らを見つめている。

私を取り押さえた兄が、そばにいた騎士に、おい、と声をかけた。


「どれだけ近づけさせれば魔法を使えないんだ?」

「使えるのなら今すでに使っているでしょう」

「わかった。かかれ」


兄がそう合図をすると、兵士たちがノアに襲いかかった。ノアは身につけていた剣を取り出すと、斬りかかる兵士たちをどんどん倒していった。兵士たちはなすすべなく、どんどんやられていく。兄は、騎士の方を見て舌打ちをした。


「魔法は使えないんじゃなかったのか?」

「あれは魔法ではございません。魔法なしだというのに、厄介な敵ですね」


騎士はそう言うと、兄を守るように剣を構えた。部屋に押し入ってきた兵士たちはみるみるうちに数を減らされていく。

ノアの強さに、次第に兵士たちは怯み始める。剣を握ったままノアと向かい合い、斬りかかりはせずに様子を見始めた。ノアは兵士たちを睨みつけながら、兄の方を見た。


「…彼が狙いか」


ノアの言葉に、兄は赤子の方に一瞬視線をやった。そして、小さく笑った。


「申し訳ないが、魔法の力は我がアリア王国が頂いていく。前の国王よりも、あなたよりも、俺の方がずっとうまくこの力を使いこなせる。私にはなぜ、あなたがどんどん戦を仕掛けないのかわからない。歯がゆく思ってたんですよ、この力にひれ伏す父と母にも、この力を飼い殺すあんたらにも」

「…この力が全てを解決すると思っているうちは、あなたにこの力は扱えない」

「ええええ、わかっていますよ、この力がどれだけ不便か」


兄はそう言うと、自分の剣を取り出した。そして、それをひとおもいに私のわき腹に突き刺した。私は感じたことのない痛みにうめき声を上げた。兄は私から手を離し、私の体は床に倒れた。濡れた床に頬をつけ、陸の上でなす術なく跳ねる金魚を、私は見つめる。


「゛ソレ゛が死ねば、魔法は完全に使えなくなるんでしたっけ?」


兄は私の背中に片足を乗せて、そう言い放った。私は、寒さから体の震えが止まらず、どんどん意識が朦朧としていった。兄は私の心臓を貫ける位置に、剣を乗せた。


「今あなたが死ねば、こいつだけは助けてやりますよ。どうしますか?」


私はぜいぜいと、必死で呼吸をしながら兄の声を聞いた。返事をしないノアの方から、剣が床に落ちる音が聞こえた。その瞬間、騎士がノアの方へ歩く音がして、そして、剣が肉を刺す音がした。その後、ノアが地面に倒れ込むのが見えた。私は、必死に視線を上げる。倒れ込んだノアも、息絶え絶えの様子で私の方を見る。


「ノア…魔法を…回復の、魔法……」


私は必死にそう伝えた。

けれど、どんどん血の気を失っていくノアは、私に向けてゆっくりと笑った。まるで、生命の最後を振り絞ったような、そんな笑顔だった。


「…きれいだ」


そう、彼のかすれた声がした。私は、震えながら彼を見つめた。


「…ニー…ナ…」


そう言うと、ノアの体は力をなくした。だらんとした彼の身体に、私は息が止まる。


「やった、やったぞ、手に入れた…手に入れたぞ、魔法使いを!!」


歓喜する兄は、そう言って両手を挙げた。怯えた使用人たちは、そんな兄を異常者のような目で見ている。私は遠のく意識の中、金魚が跳ねる音を聞いた。狭い水槽の中から飛び出しても、それでも彼らの生きられるところは悲しいほど限定的だ。そこに自由などあるのだろうか。

兄は、使用人たちが囲む赤子の方を見ると、お前ら!と声を荒げた。


「もう一度見せろ!俺の魔法使いを!!」

「やめて、やめてお兄様…!!」


ベアトリスが悲痛な叫び声を上げた。兄は、なんだ、とベアトリスの方を見た。


「喜べ、ベアトリス。これで我が国は全てを手に入れたんだぞ」

「ちがうの、その子はノア様のお子じゃない!!」


ベアトリスが真っ青な顔で金切り声をあげた。兄は、はあ?と声を裏返させた。


「お前、一体どんな冗談を…」

「冗談じゃない!こんな嘘、つきません…っ!」

「そんなわけがない!ノア国王だって、自分の子どもだと認めていたじゃないか!!」

「ノア様がちっとも私に愛情を向けてくださらなかったから、だから私、他の人と…」


ベアトリスはそう言って泣き始めた。兄は、信じられない、という様子でベアトリスを見た。


「ノア様、私が妊娠したと聞いて、謝ってくださったの…。これからはちゃんと、私の方を見るって…。産まれてくる子どもも、自分の子どもとして育てるって、そう、約束してくださってたのに…それなのに、それなのに…っ!」


ベアトリスは、そう取り乱しながら泣き崩れた。使用人たちはその事実を知らなかったようで、驚きの声を上げる。

赤子は、異様な様子を感じ取ったのか、火がついたように泣き始める。兄は、その泣き声の中呆然と立ち尽くす。


「…それじゃあ、この赤子に、魔法の力は…」


兄はわなわなと手を震わせながら赤子の方を見た。そして、何を思ったか剣を抜いた。使用人たちが悲鳴を上げた。隣にいた騎士が慌てて兄を止めた。


「お待ちください、赤子に罪はありません」

「うるさい!うるさいうるさいうるさい!!」


兄は狂ったようにそう叫び、剣を振り回す。使用人たちは悲鳴を上げて兄から逃げる。兄は赤子を抱いた使用人たちを追いかけ回す。

すると、地響きのような音がした。使用人たちはその音に不安そうな声を上げる。お城はガタガタと音を立てて揺れて、どんどん崩れていく。


「…まさかこの城、ノア国王が魔法をかけていたのか?」


騎士は、砂埃を上げて崩れていく部屋を見回しながらそう言う。兄はすっかり力をなくして床にへたり込む。

城が崩れると察した使用人たちは、ベアトリスと赤子を連れて部屋から避難を始めた。どんどん冷たくなっていく私を、逃げようとした使用人数名が、一瞬迷ったあと、抱えて外に連れ出してくれた。










私はしばらく、気を失っていた。気がつけば私は、見知らぬ家のベッドの上にいた。視線をうつすと、初老の女性が椅子に座って私の方を見ていた。目を空けた私の方を見ると、あら、と目を細めた。


「目を覚ましたの?」

「…ここ、は…?」

「私の家。あなた、道に倒れていたのよ」


女性はそう言うと、よいしょ、と小さく声を漏らすと椅子から立ち上がった。足が悪いのか杖を使って、ゆっくりゆっくりと歩き、台所に向かった。私は、彼女の不自由な歩き方に、あの…、と声を漏らした。


「大丈夫ですか?お怪我とか…」

「そんな大怪我した人に心配されるなんてね。平気よ、私のこの足は若いときからのものだから。もうこの歩き方に慣れてしまっているの」


そう笑いながらコップに水を汲むと、彼女は私のところへ持ってきてくれた。私はお礼を言うと水をゆっくり飲み干して、不思議な気持ちで息を吐いた。


「…私、生きてる…?」

「ええ、ええ。なんとか」


女性は空のコップを私から受け取ると、それをテーブルに置いて、そしてまた椅子に腰掛けた。私は彼女のゆっくりした動きをぼんやりと眺めた。彼女は、あなたはご存じないかもしれないけれど、と話し始めた。


「…国王が、亡くなったわ」


静かに彼女は言った。私はじっと彼女を見つめた。


「…この国はね、優しくて聡い国王陛下とその王子の、神聖なる力によって守られてきたの」


私は、そう話し始めた彼女の瞳を見つめた。彼女は私に話しかけていると言うよりも、ただ自分の心を整理するような、そんな様子だった。


「その神聖な力は、国民に安全と、富と、そして幸せを与えてくれた。そんな素晴らしい力はね、不思議なことに、初恋の人の前では使えないの」


私はその時、血の気が引くような思いだった。そんな私の方など見ずに、彼女は静かに話を続けた。


「だから、゛ソレ゛は必ず見つけ出されて、逃げられないように閉じ込められてしまう決まりなの。お城の地下にある牢屋に、国王が亡くなるその日まで」


私はただただ女性を見つめた。女性はやっと私の方を見ると、心ここにあらずの様子で微笑んだ。


「酷い話に聞こえる?でも仕方がないの。この国を守るためなんだもの。仕方がなかった…」


そう耐えてきたのに…、と呟きながら、彼女は遠い目をして自分の不自由な足をさすった。

私は呆然と彼女を見つめた後、急に腹の奥から耐えきれないほどの感情が私に襲いかかった。私は苦しくてたまらなくて、はっと息を吸った。そして、彼女にお礼すら言えないまま、裸足でこの家を飛び出した。傷口が痛んでも、それでも構わずに走り続けた。

















そして今、私は、全く縁のない国にひっそりと身を寄せている。今にも壊れそうな小さな家で、おばあさまから譲り受けた金魚とともに、おばあさまがくださった髪飾りをつけて、そしてあの日の栞を挟んだ本を読みながら暮らしている。


私はいつものように家の外で、金魚の泳ぐ水槽と一緒に日向ぼっこをしていた。

私は水槽をのぞき込む。光が反射して自分の顔が見えた時、私はじっとそこにうつる女を見つめ返す。

あの時、おばあさまが私を可愛いと言ったのは、優しさ以上に愛だったのだと、今ならわかる。水槽にうつる自分を、少しでも自分が愛してあげようと、私は思うようになっていた。おばあさまが愛してくれたように。そして…。


ふと、見知らぬ女の子が木の陰からひょこっと私の方を覗いているのが見えた。私が彼女に微笑むと、彼女は少し安心した様子で私のそばに来た。


「ねえ、その魚なに?それなに?」


女の子は興味深そうに金魚を指さして言った。私は、金魚よ、と返した。


「あなた見ない子ね」

「つい最近引っ越してきたのよ」

「へえ…」

「この魚みたいな花が、前のお家のまわりで咲いていたのよ」


女の子はそう微笑む。私はその笑顔に、古傷をえぐられたような気持ちになる。いつまでたっても花の名前を知らない私に落胆したノアの顔を、今になって思い出す。結局私は、一度もあの花の名前を調べようとはしなかった。


「…ねえ、そのお花の名前は?」


私はそう尋ねる。女の子は私の方を見上げると、丸い目を細めた。


「リナリアよ」

「…リナリア…」


私は、その花の名前を呟く。知ったところでどうにもならない、と冷たく言い放った彼の顔や声を、少しずつ鮮明に思い出せなくなってきていたのに、それなのに、今になって彼との記憶に色が追加されたようで、私は胸の奥が締め付けられる。目に少しずつ涙が溜まるけれど、これがどういうわけかは、私にはわからない。


「(…花の名前を調べていたら…)」


彼を失った今、私はそんな後悔をする。きちんと調べていたら、そうしたら、こんな時に思い出せる彼の顔が笑顔だったかもしれない。それ以上に、もしかしたら…。

そんなことを考えて、私はやめよう、と自分を律する。どんなにイフの世界のことを、脳が焼き尽くされるほど考えても、私が今生きる世界に彼がいない現実は変えようがないのだから。

彼がいなくなった今、私の心にあるものが彼と私のすべてなのだ。他の誰も知らない、小さくて、それでいて果てしなく大きなもの。


「また見に来てもいい?金魚!」


女の子は無邪気な笑顔を私に見せる。私はほほ笑んで、いつでも、と返す。去っていく彼女の背中を、私は静かに見つめ続けた。



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