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Ⅱ.買い物と

すこし手直しをしました

大まかな流れは変わっていません

あれから数日後。

イリスは時々沈んだりしていたが、今では落ち着いたようだった



今日は授業がない

すなわち休日だ。

いつものようにダラダラと

うたた寝をして朝ごはんも食べずに昼まで寝ていた


ハズだった


メールが来た。

『となりのフェルミまで行くから乗っけて欲しい』

と言う内容


加えて

『両親は仕事で忙しいからお願いします』

結局断るに断れなく


メールの送り主のレミナを迎えに親の魔動車を借りる


魔動車は魔力が動力の車だ。

能力試験と筆記試験、実技試験に合格すれば乗ることができる

でも大体が最初の能力試験で落ちる。魔力量が少ないと運転することができないからだ。

20歳くらいまでにかけて総魔力量が増えるので20歳くらいがメアスになっている

運転技術はほとんど必要なく

行き先を告げればそこに自動で向かってくれる

もちろん手動に変えることもできる。外を走るときは基本的に手動になる



家の前で一人待っていた


「レミナ、待った?」

とは言えまだ昼前で眠い。


レミナは太股まであるゆるいウエーブのかかった栗色の髪、細身に加えてスタイルがいい


車に乗りつつ

「んーん。今出てきたとこー」


「ならよかった。んじゃ行こうか」


レミナを乗せ城壁へ向かう

そこで行き先を告げて外出許可証をもらう


「フェルミにしゅっぱーつ!」


「おー」



フェルミに向かっている最中何度かモンスターに襲われた

もちろんこっちのほうが速いので適当に迎撃して逃げた

外にたくさんモンスターがいるとは言え

城と城を結ぶ道にそんなにモンスターが居ることは少ないのだ

偶然、道を通ろうとしているのに出くわしたのが重なっただけならいいのだが…



「お。見えたね」

フェルミの城壁が目に入る


森を切り開いてできているフェルミ。

城壁は高くそびえ、所々に見張り台がおいてあり

中央にそびえる塔は城のものだろう

城とか城壁はネージュと似ている気がする




フェルミに到着し、さきほど言っていた買い物をする

授業に必要なものや趣味、洋服なども買っていく

だいたいの女の子の買い物は長い。


「これどうかな?これとかどう?」

いろいろと服を手に取り選んでいる


「どれも似合うからいいんじゃないー?」

若干投げやりになってしまった気がするが

実際似合っているのでどういえばいいのかわからなかった


洋服選びも一段落し昼食も食べ終えて


「さて…やることやったし次はどこに行きたい?」

「んじゃー買い物したいな」

「マタデスカ!?さっきやったじゃん?」

「まだ見てないとこがあるのー」

「わかったよ…

 どこへでもお供しましょうお嬢様(棒」

「棒読みじゃなかったら満点だったのに…」


などとしゃべっていると


ウウウウウウウウ!


―警報が鳴った。


ああ…最近嫌な予感がよく当たる…


モンスターの襲撃が来たのだろう

戦える者を徴収するための警報だ

だがネージュはここ最近…と言っても7年前くらいに襲撃が来たくらいである


周期とかが決まっているわけじゃないので突然来る


「えっ何ナニ!?」

突然の警報でビックリしたレミナに説明する


「モンスターの襲撃だよ。人手足らないかもだし俺は行くけど…レミナはどうする?」

と城壁に向かって歩き出す


「え、ちょ…ちょっと待って!」

服を掴まれ止まり


そばまで寄ってきて身長差の関係で上目遣いに聞いてくる

「戦うの?」

「戦うよ。だぶん賞金も出るだろうし」


ネージュの時は倒した数により賞金がもらえたそうだ

フェルミも同じかはわからないが…


「でも危ないよ?」

「俺、強いから。前に出る気は無いし大丈夫だろ」


それでもやはり不安みたいだ


「まー俺の後ろいてくれれば大丈夫だよ。」

頭をなでながら城壁に向かう


レミナは

「うー」

と唸っていたが付いてきてくれた



城壁付近にはたくさんの人がいた

仕切っている人がどんどんPTを作り城壁の外へ送り出していく


「すみません」

と待っているのは嫌なのでさっさと話しかける


あからさまに

なんだこのガキは

的な顔をされたが撃退の参加を言うとオーケーしてくれた


外ではまだモンスターが来ていなかった


城壁の上と、城壁の外で抜け目なく迎え撃つようだ



ぞろぞろと周りに人がいる

大体は前に盾を持った人、後ろに杖や弓などを持った人がいた





その中に紛れ込む俺たち2人のPTは後衛で魔法を打ち続けるだけの楽な仕事


今回襲ってきたモンスターはゴブリンという種族。

そこそこ繁栄しているが人間とは敵対している

強さは比較的弱い方だが群れで行動するので数が多い

油断していると「囲まれていた。」なんてことはよくある


腕の裾が引っ張られた

「ねね、来たよ」

レミナがささやき声で教えてくれる


遠くを見ると

剣や斧で近接攻撃してくる ゴブリンソルジャー

弓をもった ゴブリンアーチャー

イノシシのようなモンスター ボアに乗っているゴブリンもいる

とにかく数が多い。どこにこんなに数が居たのだろうか…



あまりの多さにレミナが背中に隠れてしまった

安心させるために頭をなでながら

「とりあえず前に魔法打ちまくってれば勝てるから大丈夫だよ」

と、言った。



…楽すぎる



それもそのはず明らかに後衛が前衛の人数の倍以上いるのだ

そんな人数に向かって走ってくる敵を魔法で撃ち落とすだけ。

下手な鉄砲も数撃てば当たる。それが実感できる状態だった


飛んでくる弓矢もこちらの攻撃魔法の弾幕にかき消されている

時々落ちてくるがすぐにヒールして元通り。



「なんで襲撃しに来たのやら…」

あからさまにものすごい勢いで倒されていくゴブリン。


となりのレミナはがんばって魔法を打ち続けている


戦力をここに集めてほかに攻撃?

でもここと同じ用に城壁をぐるっと一周囲ってるのになぁ…


どっかの小説に自殺部隊とかあったけどそれかな…



状況をしっかり見ておこうと探索魔法サーチを使ってみる

自分の周りを大まかに調べる魔法で

出力と使用魔力量によっては細かく調べることもできる


うーん

攻撃されてるのは他に2か所くらいか、フェルミは大して動いてないみたい

ん?

奥にゴブリンではない何かが居るな


出力を上げてみる


サキュバスっぽいかな


サキュバスは魅惑魔法チャームが使えて他のモンスターなどを操れる

人間もかかるので防ぐには強い精神力と目を見ないこと。

正直ほとんど覚えてないや


チャームってこんなにたくさんのモンスターを操れるんだなー

と感心していると


ほんとにサキュバスが来た。



ここの部隊長が気がつく

「サキュバスだと!?精神を強く保て!決して目を合わせるな!」

全員に向かって檄を飛ばす


「あーら釣れない男たち♪」

などと言いながら降りかかってくる弾幕を防御魔法シールドで防いでこちらに来る


―今なら高速移動で至近距離から最大火力の魔法放って終わりな気がする。

そんな考えが過ぎる


だがそんなことをこの弾幕の中、普通はできないと思ったので破棄する

でも破棄したら他の人がチャームにかかってしまうかもしれない


一瞬迷い考えこむ


その迷いが間違いだったと気がつくのはすぐだった


サキュバスから一番近い2,3人の前衛がいきなり振り向き切りかかる

「うわっ!?」

周りの人がすぐに止める


「クルト君どうしよう?」

「大人にまか…」

任せる。とは続かなかった


目の前の人がレミナに切りかかってきた

とっさにかばう

肩から腹にかけて斜めに切られた


「痛っ・・・!」


すぐに魔力弾でその人のあごに当てて倒れてもらう


「クルト君!」

レミナの泣きそうな声が聞こえる


「大丈夫。」



みんなを守れるだけの力があるのに怖くて使えないとか…

―笑えるな。


みんなとは言わない。レミナだけでも守ろう

今の俺にできる全力で―。



やることは決めた


まずは止血程度に傷を塞ぐ

あまりここで魔力を使ってはいられない


取り押さえているのを見て不敵に笑うサキュバスを見

一気に行く

「サンダーブレイク!」

何もない空間から雷が一閃

今使えて単体攻撃が一番強い魔法を放った


「…っ!?」

シールドをも突き破って落ちてきた雷に感電する

一瞬固まる


それで終わりだとは思わない

さらに

「ウィンドブラスト!」

複数の風の刃を連続して当てる魔法

一番の得意魔法で攻撃範囲を使用魔力によって変えることができ

出力も上げればかなりの攻撃力も期待できる


これでもかなり魔力を込めたのだが・・・倒せないみたいだ

「っこの餓鬼…!」

さっきの笑みを完全に消してこっちをにらみつける


風の刃が残っているうちに

武器を長剣に変え両手で持ち

前衛を目にも止まらぬ速さで抜けてサキュバスに突っ込む


サキュバスも反応し魔力で長い爪を作り迎え撃ってくる


スピードを落とさずに横なぎに剣をふるう

「っせい!」


ガキイイィィン!


シールドと爪に阻まれる

「くっ…!」


ロクに魔力も残っていないから

たくさん魔力を使う高機動状態は長くは持たない

だから短期決戦しか選択肢にはない


速さにモノを言わせて雄たけびを上げて切りまくる

「うおおおお!」


ガガガガガガガガ


周りからは速過ぎて姿はもう見えてない

かすかな残像と剣と爪の衝突音、その光しか見えない


猛攻虚しく半分ほど防がれてしまう


シールドを割るくらいの火力に回せる魔力が足りなかったからだ


「くっそ…」


そろそろ魔力が底を突く。


無くなる前に離脱しないと…


瞬時に1歩下がり距離を置き

すぐに踏み込み一気に加速しながら

「風撃!」

もうない魔力を振り絞り放つ。

風の刃を剣に載せて振るう


ガアアン!


真正面だったのであっさり防がれる

その反動も使って部隊の後衛の位置までもどり


着地。そのまま倒れこむ


「クルト君!」

レミナが叫ぶ


レミナの近くに付いたみたいだ

すぐに寄って来て起こしてくれる


俺と入れ替わりに


「行くぞ」

フェルミの王城近衛兵数名が到着しサキュバスを攻撃する


“王城”と名がつくだけあって

完璧なチームワークと圧倒的な火力ですぐに倒された


チャームをかけていたサキュバスが倒されたことで

チャームが解けゴブリンが撤退していく

と。言ってももうほとんど数は残っていないが…


「大丈夫かい?」

部隊長がゆっくりと言う


「あはは…なんとか」

作り笑いもできないくらい疲れた


よくみると王城近衛兵の恰好をしていた

疲れていて気がつかなかった


「王城近衛兵だったんですね…」

「まぁね…みんなに叫んでいたら出番を取られてしまったよ」

そうはいっても俺が戦っていた時間は1分弱程度だ


「まぁ。君が突撃してくれたおかげで指示も出せたし

 すぐに倒せてよかったよ、立てるかい?」

と手を伸ばしてくる


その手をとれなかった

「全身の力が抜けてなにもできないんです」


ふむ…と少し考え

「ちょいと失礼」

しゃがんで俺の手をとる


「痛いかもしれないがうまくやってくれ」

「はい」


部隊長の魔力が俺に入ってくる

魔力を俺に渡してくれているのだ


だけど他人のものは自分のとは違う

入るときに変換をする

変換がうまくいかないと拒絶反応で痛みが走る


すこしの間魔力をもらう


「こんなものだろう」

と手を離す


「ありがとうございます」

「痛くなかったのかい?」

「まぁ…耐えれる程度でした」


そうか。と言って

たくさんの人のほうに向き直り高らかに勝利を宣言して人々を町に帰す


さて…とつぶやき

「君たちには先に報酬を渡してしまおう」

「いいんですか?」


いいんだよ。といい2人分の報酬をもらう

「ありがとうございます」

「いやいや。フェルミで困ったことがあったら来るといいよ」

と言われ連絡先をもらった


「ネージュの生徒なんですが…」

「あーやっぱりそうなのか。ま、いいだろ」


お礼を言って別れる




ちょっと気まずい空気になった

無理やり壊すか…

あ。言わないと思うけど釘さしておこう


「レミナ。」

「ん?」

「俺が強いことは内緒な」

「なんで?」

「なんでも。秘密なんだよ」

「わかった」

「ありがと」


こちらに振り向き笑顔で答えてくれた


つられて笑い

「さて。少し日が暮れてきたし帰ろうか?」

「うん」


フェルミでの波乱の一日が終わった―。

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