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Ⅰ.悪夢な日

少しの手直しをしました

大まかな内容は変わっていません

「はっ!」

小さな掛け声とともに銀色にほのかに発光する片手剣に首を斬られ倒れる赤い骸骨兵士―レッドスケルトン―


「クルト君、やーっと倒した?」

と、溜め息混じりに聞こえる綺麗な声



艶のある黒のセミロング

整った綺麗な顔立ちで大きな青色の瞳

すらりとした体を白と青をベースにした戦闘服


彼女はイリス。ミリア学園内では高レベルな魔法使い



軽く深呼吸しながら

「ダメージは痛いから喰らいたくないんだよ…」


多少のダメージは回復魔法ヒーリングで治る。だが切断など大きなものは治らない

治るとは言え痛いものは痛い。

「だからって皆待ってるのにのんびり倒してるのはどうかと思うよ?」


もっともだ。

今回は6人のパーティーで来ている

早く倒すのに越したことはない


「う…な、ならイリスの終わったら援護してよ…」


「私に甘えない、男の子でしょ。一人でしっかり倒す!」


と、指差しながらビシッと言われてしまった


「それズル…うん。わかったよ…」




とは言えココのダンジョンの難易度は中の下。

しかし中盤以降、防御力の高いモンスターが多い

対して魔法防御は低い

何よりも出てくるモンスターは 骨。ホネ。ほね。

てか骸骨しか出て来ない

ゆえに通称ホネダンジョン。




火力低いのでどうしたものか思案していると


真横から声がかかった

「普段ソロらしいねー多人数は慣れない?」

と、今回のパーティーリーダーの男


「慣れる以前に中盤なってしまいましたからね…硬くて大変です」

俯き気味に言う


「ま。こっちが終わったら援護入れるから頑張りな~」

と、肩を叩き

軽く手を振りながら先頭に戻って行った



…真面目にやるか―



これまでは盾と剣でガードしながら倒していたのを

途中に攻撃の速い魔法を織り交ぜて攻撃した。

それでも付いていくのがやっと

代わりに無傷。




リーダーが立ち止まり

「さて。やっと終盤の分岐まで来たな」


この世界のダンジョンは中盤、終盤に入る時に分かれ道―分岐点がある

今回は左右の2択


「弱いのは左側だったな?」


リーダーの付き人が意見する

「ああ。しかしそろそろ入れ替えだから戻った方が良くないか?」


分岐点は進む道で敵の強さが変わる

その強さが一定期間でランダムに入れ替わる

しかしその期間はピッタリではなく前後にずれる時がある


「いや。入れ替えの期間はもう少し先のはずだ。

左があっていれば次に出てくるモンスターはブルースケルトンのはず

違った場合は撃退しつつ後退する

―行こう。」



これまでは各個撃破だったのだが隊列を組むことになった

前衛が壁役リーダー含む3人

後衛が魔法攻撃マジックアタック兼回復役ヒーラーがイリス含む2人。

俺は後衛で壁を無視した敵を叩く、いなければ魔法攻撃役になる遊撃手になった



これを決めている時も嫌な予感があった

しかし気のせいにして無視した

それがこんな結果になるとは思っても見なかった―



隊列を組んだのは正解で

思いのほかサクサクと進んでいた


「隊長。なんか楽勝ッスね」

と右側の大盾の男


「気を抜くな。俺達がやられたら後ろの3人を誰が守るんだ」

うわリーダーカッコイイ事言ってるし

すぐあんな言葉でるようになりたいな―



―嫌な風が吹いた気がした


!

そういえば道幅がさっきよりも広がっている気が…


「すんません」

と。男はすぐに盾を構え直す




「来るぞ!!!」

とっさに叫んでいた



叫ぶと同時に襲い掛かってくる紅い眼光のブラックスケルトン

こんな時に入れ替えかよ!


「撤退だ!後退!!」

リーダーが叫ぶ


後ろにもいつの間にかいる


あっという間に囲まれてしまった


それでも

「ファイアーボール!」

「ホーリーアロー!」

「ウィンドブラスト!」

手当たり次第に魔法を次々に放っていく


しかしブラックスケルトンは物理防御よりも魔法防御の方が高い


なかなか数が減らずに

少しずつ輪が小さくなっていく


「血路を切り開くんだ!!」

再び叫ぶリーダー



二刀流に持ち替え

静かに

「行きます」

一言。


制限リミッター解除


他人と比べ魔力量が異常なまでに多いので頼んで作ってもらった物だ。

魔力をこめて念じれば解除され自分の使える魔力量、出力が元にもどる


魔力が跳ね上がる


「風の衣」

薄く、強靭な風の鎧をまとう


続けて


「風刃」

剣に風の刃をまとわせ


全身に魔力をみなぎらせ


後ろにいるブラックスケルトン達に突っ込む


振り抜く剣は弱点の頭部を切り刻み

振り下ろされる斧は風に遮られる



あっという間に退路が出来る


「逃げろ!」

叫びながら斬撃を飛ばし数を減らす


しかし

やはり数が多かった…

わずかな間に

大盾の2人、僧侶の1人が倒れていた


イリスもリーダーの影に隠れながら逃げる


「これ以上は通さない」

その一心で斬りつづけた


50匹近くは倒しただろうか

気が付くといなくなっていた


一息入れる時間も惜しんで

急いでイリス達を追いかける



いた!


しかし周りにはブルースケルトンが4匹いる

2人は正面の3匹に気をとられて後ろから忍び寄る1匹に気づいていない

リーダーは盾が壊れているようだった


イリスにこん棒での後ろから一撃。

「キャッ…」

小さい悲鳴と共に倒れる


リーダーも盾無しで3匹は無理のようで畳み掛けられてしまった



叫び声と同時にブルースケルトンが切り裂かれる


また…か


4人もやられてしまった

後悔しながらイリスに回復魔法のヒーリングをかける

そして抱き抱え敵を無視して出口へ疾走した



ネージュの城壁をくぐり、城下街を通り抜け

そこにある4つの中の1つ

俺達が在籍しているミリア学園の保健室に向かった



保健室には時期にもよるが大抵1~2人の先生がいる

清潔感のある白い部屋に病院と見間違える程の広さとベッドの数。




先生によると

傷も治っているし走査魔法(スキャン)かけても特に異常は診られなかった。

と言う


続けて

もしかしたら殴られた時のショックでその時の前後の記憶が飛んでいるかもしれないとも言われた


イリスを寝させて置き

起きたら連絡をくれるように頼んで


保健室を出た



行き先は1階の大広間

そこにある依頼受け付け所


「はぁ…気が進まないなぁ…」

と、ぼやきつつも

依頼の報告に向かった


依頼内容はブルースケルトン30匹の退治


さりげなく依頼こなしているので失敗ではないが

「4人…もなぁ…」

やられてしまったのを報告するのだから気が引ける


それでも勝手に足は受け付けに進む


受け付けの人に

4人やられてしまったこと

入れ替えがあったこと

を話した


労いの言葉と報酬金を貰い


適当な食事を摂り

部屋に戻るか考えていると保健室から連絡がきた


すぐに保健室に戻り


部屋のカーテンをくぐる

「イリス。大丈夫?」

「大丈夫!そんなことよりお腹減った…」

お腹に手を当ててアピールしてくる

「元気みたいだね、よかった。んじゃ何か食べ行こうか」

「うん!」

元気な声を聞いて安心しながら先生にお礼を言って食堂に向かう



あ。でも俺さっき適当に食べたんだ…



食堂で席を取り食事を持ってくる

夕飯時なので人が多く賑わっている


イリスはシチューを

俺はこれ以上食べる気になれずにサラダを頼んだ

「サラダ…って、それで足りるの?」

アハハと、苦笑いしながら

「イリスが目を醒ますの待ってる間に食べたんだ」


「そっか、じゃぁ野菜少ないから少しちょうだいね!」


微笑みながら

「ああ、食べる時よそるよ」


「ありがと!」

と、笑顔で言われた


それから外を歩きながら

依頼の配当金を渡し

4人がどうなったのか

を、話した

リミッターをかけていることには触れなかった



4人もやられてしまったことがショックで沈んでるイリスに


「多少ショックでも授業は出なよ…」


「4人も死んじゃったんだよ!?もう二度と会えないんだよ!?」半泣きになって言ってくる


当たり前だ。でも言葉に詰まる

何を言えばいいのかわからなくなってしまった


だが勝手に体が動いていた


ゆっくりと抱き寄せ小さな声で囁く

「それでも俺達は生き残った。生き残ったなら…生きようと思うなら、あいつらの分まで俺達が生きるんだ。」


昔のことが一瞬頭を過ぎり心が折れそうになるのを必死で堪える

折れてしまえば―泣いてしまえば楽になったかもしれない


だが


俺は堪えることしか知らなかった。



「うん。そうだね明日、授業でるよ

だから―

一緒に強くなろう」



恥ずかしさが来て腕をほどきつつ


「俺、本気だしたら強いよ?」

と本当なのに冗談っぽく言う


俺は嫌になるくらい強い。

ここにいるのが疑えるくらいに

魔力量、その出力、使える魔法の量、レベルもあるのだがどれを取っても相当違うはずだ。

だからこそのリミッターなのだが・・・



「うん、待ってる。」

ランキングは俺よりイリスの方が高いから“待ってる”と言ったのだろうか?

てか即答された…?


少し固まってると

「じゃ、また明日ね!おやすみ!」



「あ。うん、おやすみ。また明日ー」



最悪の一日がいつものように終わった。

初投稿ですがよろしくお願いします

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