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巫女さんメモリーズ  作者: 華永夢倶楽部
第61話〜第72話
71/85

第66話『食べてはいけない』

「明日は健康診断、何も食べても飲んでもいけない……」

 明日は学校で行う健康診断の日。その為にも、美紀は夕べから絶飲食をしている。

「お腹、空いた…………」

 空腹に耐えながら、布団に潜る。

「……っていうか、そもそも一日前から食事しないのはどうかしてると思うなぁ。まさかだけど私がどうかしてるなんてないよね……?」

 布団の中であれこれ考えるが、既に始めてしまった以上もう後戻りは出来ない。

「明日の朝、うっかり水を飲まない様にしないと……」

 そう思いながら、美紀はゆっくりと目を閉じた。


「おはよう小夜ちゃん……」

「おはよう美紀、今日は健康診断だね。空腹は限界になってない?」

「あぁ、何とかね……」

 小夜は自分の朝食を食卓に並べて、席に座って手を合わせる。

「いただきます……」

 美紀は小夜が朝食を口にする様子を、そばで見つめる。

『じ〜〜〜〜……』

 小夜はちょくちょく美紀を見ながらも食事を進める。

「…………」

 そして、手を止める。

「……あげないからね?」

「分かってる。だから小夜ちゃんが食べてるトコを見て満足しようと」

「私が食事するところのどこが楽しいのかな……」

「そりゃあ、柔らかい口が触れるところを見るのが」

「すごいトコを突いてきたね……」

「でも、もう時間だから行かないと。小夜ちゃん行ってきます‼︎」

「行ってらっしゃい」

 空腹に耐えながら、美紀は学校へと向かった。


「も、もう走れない……」

 何も食べてない事に気付き、走って数分で息を切らしてしまう。遅刻はしないが、頭が上手く回らないのは美紀にとって痛手である。

「食事は健康診断が終われば出来るけど、水すら飲めないのは辛過ぎる…… いくらなんでもキツいよ〜」

 愚痴をこぼしつつも学校へ辿り付き、やっとの思いで教室へ入る。

 途中で何人かに挨拶されたが、ぐったりしている美紀には全く聞こえなかった。


「やっと健康診断が始まった……」

 空腹に耐え続け、やっと出番が訪れた。美紀は部屋を移動する前にトイレへ向かって行く。

「やる事をする前に、ちゃんと体調確認もしないと……」

 身体の調子を徹底的にチェックし、正常なのを確認してからトイレを出た。

「ふぅ〜、これが終わればやっとお弁当が食べられるね。そう思うと希望が湧いてきた‼︎」

 手を洗い、ハンカチで手を拭いて水を一口飲む。

「よしっ、行こう‼︎」


「それじゃあ女子の皆さんは順番に来て下さい」

 美紀の健康診断が始まり、席に座る。医師の話を聞きながら診断を進めていく。

「えぇではまず、診断前に何か食事したりしていませんか?」

「いいえ、何も食べてません」

「では、水を飲んだりは?」

「いいえ、それもして…………」

 美紀は固まった。ついさっき水を飲んでしまった事を思い出して。

「……飲みました」

 その後美紀は特に何も無かったが、割とダメージを受けてしまった。

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