第65話『夏の日差しを浴びながら』
「あぁ〜、暑いね……」
アイスを食べながら身体のダルさを訴える美紀。その隣では服をパタパタしながらカップのアイスを口にするかなえ。
「うん、ちょっと今日は特別暑いよね。暑さを紛らわす為に施設プールに来たんだけど……」
スプーンを持つ少し濡れた手をチラリと見て、
「外に出た時の温度差で、また地獄の世界に戻ってきちゃったね……」
「もっとプールに入りたいんだけど、今日は小夜ちゃんと夕食作る約束があるからなぁ〜…… アイス食べ終わったら帰らないとね」
コンビニで買った棒アイスを一口かじり、砕けた氷の食感を楽しむ美紀。
「……ねぇ美紀、そのアイスってさ」
かなえはイヤな予感を感じた。
「ん、どうしたの? もしかして食べたくなったとか?」
「いや、そうじゃなくて。そのアイス当たりつきだよね? もし当たったらどうするの?」
美紀とかなえの間に、一瞬の間が空いた。そしてその間を断ち切ったのは美紀だった。
「……もし当たったら、交換しないとね」
大きく口を開いて、アイスをかじる。木の棒が見えて何か書いてないか二人で凝視する。
「…………」
木の棒には何も書いていない。どうやら外れたらしい。
「外れだね。そう都合よく当たらないみたい」
「いや、まだだよ!」
美紀は突然立ち上がって駆け足でコンビニに入るなり、また同じアイスを買って食べ始めた。
「ちょっと、もしかして当たるまで食べるつもりじゃ……」
「そう、そのまさかだよ」
美紀はアイスの袋を開き、一気にかじりついた。かなえは美紀のアホらしい行動に心配するが、それを口にはしない。
「あんまり無理しないでね。私そんなにアイス食べられないから」
五回目の一口で木の棒が見えてきた。さらにかじると、木の棒には何も書かれていなかった。
「当たらなかったね、まだ食べるの?」
「もちろん、袋にまだあるからね!」
その後も同じアイスを食べ続け、かなり待たされて体が熱くなってきたかなえも溜まらず袋からアイスを取り出した。
「一個食べるね。もし当たっても怒らないでね?」
ちびちび食べ、美紀が何度も食べ ては外れ肩を落とす姿を見ながら食べ進めていく。
「どうかなえ? 当たった?」
「待ってね、今確認するから……」
二人で木の棒を凝視すると、そこには「あたり」の文字が。
「…………当たった」
かなえと美紀はお互いに見合い、それから喜んだ。
「やったね! かなえが当てたからかなえが交換してね!」
「いや〜、もう食べられないから美紀が食べなよ」
あたりの押し付け合いは、その後しばらく続いたのだった…………




