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巫女さんメモリーズ  作者: 華永夢倶楽部
第49話〜第60話
57/85

第53話『明の暇つぶし』

「う〜〜〜〜」

 部屋でゴロゴロと転がる(あきら)。今はとても暇な時間を過ごしている。

 文音(あやね)と遊びたくても、勉強の邪魔になるからと断られてしまった。そして今、明はやる事がなくただ転がって遊んでいる。

「うぃ〜〜〜〜」

 けど、もう飽きてきた。立ち上がってもう一度文音の部屋まで歩く。

 二世帯住宅に住む明にとって、文音の部屋に行くまでは冒険である。

 何も見えない彼女にとって、文音の所まで行く行動は囚われの姫を捜すに等しい冒険。

 文音と遊ぶ為に両手を伸ばして、部屋から出て文音の部屋を目指して歩いて行く。


 明にとって目が見えないのは、もう苦痛ではない。前が見えなくても、文音やクラスの皆が優しく接してくれたおかげで前が見えなくても良いと考える事が出来る。

 少し特攻したり知らない場所を走ったりしなければ、物に当たる事も無い。

「文音〜、今行くぞ〜」

 文音がいる部屋を目指す明の気分は女冒険者。男勝りな度胸がウリである。

 相棒は明が持つ白杖(はくじょう)。明の前方だけでなく、左右も教える優秀な相棒である。

「ゴーゴー‼︎」

 行く手には一階へ繋がる階段。壁際には手すりがあるのでしっかり握っておけば怪我はしない。

 階段を下りれば、後は渡り廊下を歩いて音無家に入って階段を上がるだけ。

「文音ー! また来たよー!」

 部屋に入れたは良いものの、文音は机に突っ伏して眠っていた。明は起こさない様にそっと近付いて、顔を覗いた。

「う〜ん…… 寝てるね」

 試しに文音のほっぺをつねる。しかし、文音は起きなかった。今度は体を揺らす。

「起きて〜、一緒に遊ぼうよ〜」

 しばらく揺らしたが、それでも文音は起きなかった。とうとう明は諦めて本棚の本を読む事にした。

「何読もうかなぁ〜……」

 沢山の本の中から、一冊の本を選んだ。肌触りとしては、雑誌だろうか。

 めくりづらそうな雑誌に感じる。

「え〜っと、どんな雑誌かなぁ……」

 そこに何が書かれているかは分からない。でも、本を読む行為を繰り返す事で何だか賢くなれそうな気がするから、明は読書をやめたくない。

 そこに何が書かれているかを理解出来なくても良い。

 分からない事は、後で文音に聞けば良いからだ。

「うぅ〜ん…… やっぱり文音がいないと何が書いてあるのか分かんないや……」

 結果、もう一度文音を起こす事になる。

「文音ー、起きてー」

 ゆさゆさ揺らして起こすが、まだ起きない。しばらく起きないと分かった明は近くの毛布を文音にかけた。

「仕方ない、ボク一人で遊ぼうっと」


 文音の後ろでスケッチブックを用意して、色鉛筆で何かを書き始めた。下書きを描かず、色塗りから始めていく。

「何を描こうかな〜…… あっ、じゃあ寝ている文音を描こうかな〜」

 文音を観察しながら絵にして、もう一度観察しては再び絵にして。

 そうこうしている内に眠っている文音を描き上げる事が出来た。

「文音、喜んでくれるかなぁ〜」

 文音のそばに描いた絵をそっと置いて、こっそり部屋を出た。


「次は何をしようかなぁ〜…… そうだ、文音が宿題してたからボクも宿題しよーっと」

 文音の机に宿題が広がっていた事を思い出し、明も残っている宿題を取り組む事にした。

 部屋に戻って、早速宿題を開いて取り組む。

「ん〜っと、これは確か……」

 鉛筆片手に問題分とにらめっこする。出来れば文音の頭脳を借りずに問題を解いて、文音から褒められたいのだ。

「こうかな……」

 答えを書こうとノートに鉛筆の咲を付けた。その時、明はある事を思い出した。

「そういえば、文音がいないと問題が分かんないから出来ないじゃん」

 折角一人で出来ると思っていたが、結局一人で勉強を頑張る事が出来なかった。

「……いや、諦めたら駄目だよ。ボク一人でも文字を書ける様にならないと! せめて平仮名だけでも!」


「う、う〜ん…………」

 いつの間にか眠っていた文音。目をゴシゴシしながら体を起こすと、自分に毛布が掛けられている事に気付いた。

「あれ、誰が毛布を…… って、明か」

 すぐそばに明が描いた絵が置いてあった。文音は明が描いた分かりづらい絵を見た。

「相変わらずだなぁ〜、私を大きく描いて……」

 部屋から出て、明を呼ぶ。

「明〜? いるなら返事してー!」

 返事がない。どうやらもう部屋に戻ってるのかもしれない。

「明〜…… って、今度は明が寝てるし」

 明は床で雑誌を布団にして寝転んでいた。文音は明を起こそうと近付いたが、その時明が手にしてる物を見て、体から冷や汗が流れた。

「あっ、明……?」

 その時、明が目を覚ました。

「うぅ〜…… 文音、おはよう」

「明っ、あのさ…… 明が持ってる雑誌……」

 明は自分が持ってる雑誌を見て、文音に返した。

「ねぇ文音〜、これ何て書いてあるの?」

「あっ、あぁこれ⁉︎ これはね……」

 文音は必死に考えて、

「男女の恋愛が書かれているんだよ…… 多分」

「そっかぁ〜、文音は大人だね」

 明の純粋な発言で、文音に大きなダメージが入った。

「そっ、それよりも明…… そろそろお風呂の時間だから、一緒にお風呂に入ろうよ‼︎」

「入る入るー‼︎」

明は喜んで着替えを準備して文音と一緒にお風呂へ入った……

文音“さっきのアレ…… 明に見られたかなぁ?”

明「ん? 文音、ボクを見てるの?」

文音「あっ、いや…… なっ、何でもないよ〜」


文音“……って、そもそも私はどうして明に隠し事を⁉︎”

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