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呪いがとけました

 森のなかにある家。

 赤い屋根の白い家だったが、そこまではいい。

 そのドアの前で、レイアとトールは棒立ちになっていた。

 ドアにはベルが付いており、御用の方は鳴らしてくださいと書かれているのだが……。


「ぁああっ、そこ、いいっ……」

「ここがいいんですか? リリーはここをこうされるのが好きですよね?」

「んんっ、やぁ……そこはぁ、うんっ」

「兄さんにばかり気持よくなんてさせませんよ、僕も……」

「ああんっ、そこ、ぁああっ」


 艶っぽい女性の声と、男性二人の声。

 一体何をしているんですか、という状態で、とてもではないがレイアとトールは鳴らせない。

 けれど気になって聞いてしまうのもまた、よくある話なのだが……そこでドアが開かれた。

 中から一人の男が現れる。

 どこか眼光に鋭さがある男だったがレイアとトールを見て、


「お客さん? どうしたんだい?」

「ん? お客さん? あ、もうマッサージはいいわ、ありがとうね」


 そう言って今度は女性が出てくる。

 銀色の髪をした美しい女で、黒く尖った帽子をかぶっている。

 彼女はトールとレイアを見て、


「あ、あの呪いを間違ってかけちゃったトールね」

「……間違えて?」

「いやー、本当は身を引いて祝福しようかと思ったんだけどさ、うっかりくしゃみをして変な呪いをかけちゃって。でも失敗したっていえなくて、つい、よくも私を振ったわね―、って言っちゃったのよね」

「……うん、女は殴らない主義なんだ。落ち着こう、俺」


 トールが軽いノリで人生がアレなことになったらしいと気付き必死に耐えている。

 とりあえずレイアが手を握ってあげると驚いたようにトールが見て微笑む。

 それを見ていると、レイアは胸の高鳴りを感じた。と、魔女がそこで、


「でもまあ祝福の面もあって、大病にかからなかったり、くっつくと不幸せになる女にはお化けみたいに見えるという効果もあってね」

「……だから俺が覗いたら、皆逃げたのか。……いや、でもそういえばレイアは」


 そこでトールがレイアをじっと見るので、レイアは微笑む。


「うん、運命の恋人同士みたいだね」

「……好きな人だから、良いかな。結局レイアに会うまでは全部破綻になって、良かったんだし。それで、解く方法は」


 それを聞いた途端、魔女のリリーが悪そうな笑みを浮かべた。


「うふふ、実は、好きな人とキスすれば全部解決なのです!」

「……え?」

「がんばってね」


 魔女に応援されて、話はこれでおしまいとされてしまう。

 というわけでレイアとトールはその場を後にした。

 二人共顔が赤いのは、つまり、キスするの初めてで。

 でもレイアの本当の気持ちは、


「私、トールの呪い、解いてあげたい」


 レイアがそう言うと、顔を赤くしたトールがありがとうと小さく呟いたのだった。

 そうしてレイアとトールはキスを交わしたのだった。








 呪いは解けたようだった。

 だが祝福は解けていなかった。


「いやぁああああああ」

「ああ、また女性に悲鳴をあげられた」


 トールがメイドと顔を見合わせてメイドに悲鳴をあげられた。

 くっつくと不幸せになる女にはお化けみたいに見える祝福は健在で、初めて会った女性がよく悲鳴をあげるのでトールは悲しげだ。

 でもそれはレイアにとってはちょっとだけ嬉しい。だって、


「ライバルが減るわけだし」

「俺はレイア一筋なのに」

「ふふ、嬉しいな」


 そう言ってレイアはトールの腕に絡まるように抱きつく。

 交わって呪いが解けた後は、前以上に仲の良いレイアとトール。

 そんな二人だがトールは、


「それでも女の人にまるでバケモノを見たように悲鳴をあげられるのは嫌だ」

「しょうが無いな……じゃあ、魔女にその祝福を解いてもらう?」

「うん、そうしよう」


 そして、魔女の家に向かったトールがさらなる祝福を与えられてしまい、どんどん事態がおかしくなって行ったりといった一幕があるも、皆が楽しい日々を過ごしていくことに、変わりはなかったのだった。




「おしまい」



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