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降る星に読む物語  作者: 紫木
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光と影と小部屋

ごきげんよう

その顔を見るに、どうやらまた物語の主人公に何らかの影響を受けたようだね

さて、君の死に際はどの様なものになるのか

志半ばで生き絶えようと、後世に希望を託して生き絶えようと

たとえその命に意味など無かったとしても


君がいまわの際に思い浮かべる事の出来る人がいたのならば、

それに勝る散り際はないだろうと私は思う


すまない、例えが少し失礼な話だったね


繰り返す事になるけれど、この物語は君の物語ではない

ただ、星のように空にあるものだと考えて欲しい


さて、少し長くなって申し訳ない

次の物語は少し趣向を変えてみよう


今宵を彩る物語は『影』のお話。光と対を為すが故に、光がなくては存在すらしないもの。

常に共にある二つの会話。

篤、ご覧あれ

コンコンと扉をノックする音が聞こえる。

やれやれまたかと思いながら、僕は扉の鍵を開けて笑顔で応対する。


「どうしたんだい?今日はまた暗い顔をしているようだね」


来訪者は何も言わずに僕の横を通り抜けて、彼女のお気に入りの椅子に腰かける。

僕も慣れたもので、彼女のその行動には気にせず、お客様用のカップを棚から取り出して、とっておきの紅茶の用意を始める。


「殺したいほど憎い奴がいるの」


唐突に彼女の口から語られた言葉に、これまた物騒なお願いだなと思いながらも、実に僕向きのお願いだなと思った。


「殺し方に注文はあるのかな?」


彼女に紅茶を振る舞いながら、僕は依頼者の希望を聞く。


「別に、、、殺し方は拘らないわ。でも苦しんで死んでくれるなら、なお爽快な気分になるでしょうね」


彼女は紅茶を一口くちに含んでそう答えてくれる。

なら話は早い、僕は彼女を招き入れた扉へ向かい鍵を開ける。


ふと視線を感じて振り返ってみると、彼女はとても申し訳なさそうな顔をしてこっちを見ていた。


「気にする事ないよ。これが僕の役目だから」


僕は少しでも彼女の気休めになるかと思ったんだけど、どうやらそうでもないらしい。

むしろ、より一層いたたまれない者を見るような顔になる。


いつも彼女はこうして心を痛めている。


それが自分の無力さに伴うものなのか

それが己の手を汚さずに、人を殺すということに対する罪悪感なのか

それとも純粋に僕に対する憐憫の感情なのか

僕にはわからないし、わかる必要もない。

僕から言わせれば、

痛める心がある事が彼女らしい

憎いと思える心がある事が彼女らしい


僕たちは光と影。

僕に殺戮と刃を与えられれば、彼女に平穏と花束を。

煉獄に落とされる罪は僕が、有り余るほどの幸せは彼女に。


それは摂理としてそこに在るもので、それ以上に無く、そこに在るものでしかない。

根底が覆される事もなく、意表をつかれることもない。

それは空気でもなく、なんの栄養素も持たず、それでも必要なもの。


「いってくるよ」


いずれ彼女が真理に辿り着けることを望みながら、僕は扉を開ける。












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