第8話 新しい体会議
「痛っ!」
突然、左足小指の根元辺りに痛みが走った。
見ると、例の蛇が居た。
慌てて距離を取る。
「・・・ふふふ」
先生が喜んでみてる。
「勘弁してくださいよ~。」
「知らないわよ、そんなこと。あなたが勝手に蛇の前に出てきたから噛まれたんでしょ」
「そうかもしれないですけど、ペットなんだから管理してくれないと~。」
「私は飼うなんて言ってないでしょ!」
あ、いけね、ペットって言い出したのおじいさんの方だった。
「そうでした・・・すいません。おじいさんは?」
「あのクソジジイが面倒見るわけないでしょ。」
「そうなんですか?まぁ、分からないでもないですけど・・・。」
ってか、よく見ると、蛇の様子が変だ。
なんでだ?
「なんか、この蛇、黒一色になってる?・・・。」
「言われてみればそうね。変質が終わった直後に脱皮してこうなったの。」
そうだったのか。
「黒い空間に居たから黒くなったんですかね?」
「まぁ、そうかもしれないわね。」
とにかく、この黒い蛇が引き続き黒い世界に居たら、いつどこから噛まれるか分からない恐怖に苛まれる。
仕方ないから、そっと持ち上げて白い世界の方へ持っていく。
都合よく、おじいさんが見えた。
ホゲーっと、体育座りしている。
背後から、そーっと近づいて・・・。
「こんちわ!」
挨拶で振り向いたおじいさんの顔の前に蛇を出してみた。
「ん―――っ!?」
「ふふふ」
おじいさんがビックリしている様子に、先生が悪い笑いを浮かべている。
「・・・心臓が止まるかと思ったわ。まったく、何をしてるんじゃ!」
落ち着いたおじいさんから、緩めのお叱りを受けた。
「すいません、ついつい、驚かしたくなって。」
「驚かしたくなってって、お前さん・・・」
「いや~、黒い世界の方に居ると、この蛇見えにくくて。次来た時に噛まれたくないので、おじいさんに渡しておこうかと。」
・・・
「冗談はこのくらいにして、お願いがあります。宜しいですか」
「いいわよ。」
「なんじゃ。」
「今王都に向かっています。」
「そうね。」
「人目を避けて、回り道しながら移動していますので、王都に入るころには、もしかすると追手が先回りしているかもしれません。」
「じゃな。」
「それと、ラゴイルは侯爵の跡取り息子だから顔を知るものも居るでしょう。」
「そうかもしれないわね。」
「王都到着までに、ラゴイルの体から新しい体に変えたいんです。方法を教えて下さい。」
「そんなことか。」
「そんなことって・・・、真面目に困ってるんですよ。」
「それは教えるわよ・・・。」
「そうじゃ、それは分かった・・・。」
「王都までの道中、アルディとグラーシュが居れば安泰だと思うんですよね。到着まで時間もあるし、刺激も欲しいし、よろしくおねがいしまーす。」
「ふふふ、刺激ねぇ。」
「がはは、それなら早く起きた方が良いぞ。」
「え?」
「妖精さんのお出ましじゃ」
おおおっ!
妖精?
羽の生えた、飛んでるアレ?
なんだか、異世界っぽくなってきたじゃないの!
ん?
また上手にはぐらかされたような気がするが・・・。
まぁいっか。