第7話 周囲を把握
進行方向をアルディに伝えて先頭を進ませ、俺とグラーシュが並んで後を追う。
俺は手綱をグラーシュに任せ、地図とにらめっこをしていた。
この地図、よく見ると東が地図の上に来ている。
つまり、東=上、西=下、南=右、北=左に配置されているってこと。
これには凄い違和感を覚えて、グラーシュに聞いてたが、「そういう物ですよ。」とあっさり流されてしまった。
グラーシュが地図を買い間違えたという訳ではないようだ。
王都周辺地図を見ても東が地図の上に来ている。
異世界に来たのだから、これもこれとして受け入れるしかないのだけど・・・。
習慣づけられた感覚というのはなかなか切り替えるのが難しい。
東が上に描かれることに何かしらの由来みたいなのあるのかな・・・。
地図の一番上、つまり、一番東に大きな山があって、その麓に何度も通っていた祠が在る。
祠の西にログハウスがあり、さらに西に、実家・・・じゃなくて、レーゼン侯爵の城が並ぶ。
王都周辺の地図に目を移すと、王都の東にレーゼン侯爵領がある。
東から、大きな山、祠、ログハウス、侯爵の城、王都という具合で、ほぼ一直線に並んでいて分かり易い。
ただ、素直に真っすぐ王都に向かったら、レーゼン侯爵からの追手にバレる可能性がある。
今は、ひとまず、地図にある集落も回避して、侯爵の領地の北の森を西へ進んでいる。
王都に入るときには既に追手が先回りしているかもしれないが、道中は安心して進めるだろう。
ログハウスから、“要は急げ”で、深く考えずに飛び出してしまったから、横槍の入らないこの道中で、色々と考えを整えねば。
ふと、地図を見ると、東の山から川が3本出ていて、それが北の海港を中心とした都市、王都、南の海港を中心とした都市に流れ込んでいることが分かった。
この3本の川は地図に描かれているくらいだから、重要性は高いのだろう。
近寄らない方が良いかもしれない。
ゆっくりでも森の中を進行するのが無難かも・・・。
もしかして、レーゼン侯爵はその3本の川の上流の管理をメインとして領地を支配・管理していたのだろうか。
こんなローテクな世界で、レーゼン侯爵の持つ管理権にカネが絡んでいたとしたら・・・。
跡取り息子のラゴイルが暴走して我儘になるのも、無理のない話なのかもしれない。
しかし、俺は俺。
ラゴイルの今までの所業は、俺とは全く関係ないはずなんだけど、ラゴイルの体を使い続けている限り、ラゴイルの事が頭をよぎってしまう。
せっかく転生してリスタートしてるんだし・・・。
ラゴイルの体から別の体に変えれる可能性もあるのだから、挑戦したい。
改めて、おじいさんと先生に相談してみるか・・・。
余計なことにまで想像力を使っていたら、眠くなってきた。
パカラッ、パカラッ・・・
馬の上で、頭を休めて、一定リズムで揺られてると、眠気どんどん押し寄せてくる。
電車で揺られて寝ていた現世の事を思い出してきた。
これは、いつ寝入ってもおかしくないな・・・
「アルディー!このまま、速度維持して進んでね。」
「御意」
「グラーシュ、俺ダメだ、眠い、ひと眠りするから、このまま手綱よろしく。」
「はい。」
・・・
気が付くと、目の前にはおなじみの白と黒の世界が広がっていた。




