第68話 素材集めの結果
改訂2023/04/14
おなじみの白と黒の空間が目の前に広がっていた。
そうだった。
寝るとこっち来るんだった。
俺、休めてるのかな。
体力は回復してると思うけど……
頭とメンタルは回復できてるのか……?
ふと白い世界に目を向けると、おじいさんがゴロンしてる。
お昼寝中なのだろう。
いーなー、昼寝。
俺もそれがしたくて自室のベッドにゴロンしたつもりだったのに……
まぁいいか。
ここに来れているのは、スキルの☆を増やすチャンスなんだから。
余すところなく活用せねば!
と言っても、昼寝の良さを知っている俺が、昼寝中のおじいさんを起こすのは心苦しいから……
まずは、黒い方に行きますか。
すると、俺の思いに呼応するように、周囲が一面黒くなり、おじいさんの姿が消えた。
先生側の配慮……かな?
目を凝らすと、目の前に立っている先生の姿が見えてきた。
「お疲れ様でーす。素材集めしてきました~。」
「あなたなりに機転を利かせて、いろんなものを集めてきたわね。」
「ありがとうございまーす。これで☆2ですか?」
「いいわよ。ちゃんと吸収を使いこなしていたみたいだから。【黒き理】☆2よ。」
「よーしっ!」
喜びのあまり、つい胸の前で拳を握りしめ、声を上げてしまった。
「ちょっと待ちなさいッ!これからが大切なところよ。」
「え?」
「はぁ、出来たら終わりじゃないでしょ?」
「あ……そうでした。」
きちんと理解しないといけないんだっけ。
「問題です。あなたが吸収した物は、どこに行ったでしょうか。」
先生の不敵な笑みが、“裏”の存在を匂わせる……いや、頓知か、なぞなぞか……?
なぞなぞではないよな……
何処って……何処だ……
流石に全く知らない知識を問うてくるほど意地悪じゃないだろう。
聞いてくるという事は、俺が分かっている場所って事か……?
「ぶっぶー!」
突然の先生の声に、ビクッと背筋が伸びた。
「エッ?俺、まだ答えてないですよ!」
「シンプルに回答が遅いから、待ってらんないのよ。」
「そうですか…すいません。で、何処ですか?」
「ここ!」
先生のスラっとした細い人差し指が、真っすぐ地面を指差している。
「ん?ここ?」
「そう、ここ。」
どうにも信じられない俺は辺りを見渡してみた。
四方八方、何処を見ても漆黒の世界が広がっている。
でも、先生も嘘をついている様には見えないし……
疑いを向けるとへそを曲げて、肝心なことを教えて貰えそうにないから、素直に学ぶ姿勢で……
「すいません。さっき吸収した物は……自分には見当たらないのですが……」
「今は、話の最中だから。でも、確実にここにあるわよ」
「そうですか……分かりました。」
この漆黒のどこかに、俺がさっき吸収したものがある……
「せんせぇ……ここって……どのくらい収納できるんですか。」
「知らないわ。いくらでも入るんじゃない。」
いくらでも入るって、またまた~御冗談を。
先生のことだから、わざわざ確認もしてなさそうだな。
ここは先生に乗っかっておいて……
「了解です。で……入れれるんだから、外に出せるんですよね?」
「勿論、出せるわよ。」
「どうやって取り出すんですか?」
「どうやるも何も、念ずるだけよ。」
やっぱりそう来たか。
念じるだけで発動って点は【白き理】と【黒き理】で共通なんだな。
「念ずる……」
「そうね……イメージしやすい方が、取り出し易いわよね。それなら、まずゲートをイメージして、次にそこから出すイメージをふくらませるのはどうかしら?」
「は~、なるほど。それなら出来るかも。」
「そう、それは良かったわ。じゃ、いいわね?」
え?何終わらせようとしてんの、先生!
「良くない良くない!ちょっと待って下さい!!」
「何よ!?」