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お菓子の家攻城戦1

https://twitter.com/Wakatsukimonaka

 入り口を見張りながら質問する。女性が一人買い物袋を持ってマンションに入っていった。


 「天神先生っておいくつなんですか?すごい若く見えますけど。」

 

 前世ならデリカシーの無い質問だが、この世界なら問題ない。


 「18ですよ。若くして大成しましたからね!」

 「えっ、同い年?」

 「ああ、そっか、君大学一回生でしたか。ちゃんと敬語は使えよ?ボクの方が立場は上なのですし。」


 何故か訝しげにこちらを見てくる天神先生。なんでだよ。


 「ちゃんと使いますよ。てかよくバイト雇おうとか思いましたね。」

 「阿須原さんが車出してくれない時が多いのですよ。…あの人信用ならないし。」

 「え?」

 「何でもないですよ。」


 なんか不穏なこと言ってなかった?よく聞こえなかったけど。


 「ええっと、…何で探偵になろうと思ったんですか?」

 「…それ言わなきゃダメ?」


 天神先生が急に弱弱しい声を出したので驚いた。こちらの顔を伺うように見てきている。


 「いえ。変なことを聞いてすみません…。」

 「大丈夫です。そんな良くない質問でもないですし。」


 場の雰囲気が一気に暗くなり、天神先生も毛布の中に引っ込んでいってしまった。前世の女性と話が合わない時を思い出す。どうしよう。なんか趣味とか聞いた方がいいのかな。好きな食べ物とか?


 「えーと、天神先生好きな食べ物とかありま『うわああああああああああああっ!!!!』」


 急に男性の大きな叫び声が聞こえる。見るとマンションの入り口から全裸の男性が飛び出していた。えっ!全裸!?

 全裸の男性は裸足のまま走っていき、マンションの角を曲がっていってしまった。天神先生が慌てて毛布から出てくる。

 

 「何ですか!?今の声!?」

 「真っ裸の男がマンションから出て、走って行ったんです!」

 「どこへ!?」

 「マンションの左の角を曲がりました!」


 天神先生は車を飛び出した。白黒のディアストーカーが落ちないように抑えながら男の消えた方へ走る。私もそのあとに続いて走り出したその時だった。

 甲高いような鈍いような音が鳴り響く。フィクションの中でしか聞いたことのない音。それは確か。

 天神先生に押し倒される。顔をひどくゆがめて天神先生が喋る。


 「銃声です。」


 注意深く周りを見た。人は見当たらない。車の通りもない。ゆっくりと倒れた体を起こし、しゃがんだ状態になる。


 「ゆっくり、ゆっくり様子を見に行きましょう。警察を呼びながらボクについてきてください。」

 

 震える手でスマホを取り出す。天神先生が周りを注意深く見てくれていた。何とか警察に通報しながら進む。そうしてマンションの角にたどり着いた。曲がった先をゆっくり確認する。


 「…あ。」


 先ほど飛び出した全裸の男性が頭から血を出して倒れていた。





 しばらくして警察が到着した。発砲事件ということもありしばらく警戒が続いたものの、その後に何も起こらず、周りに不審な人物もいなかったため、事件現場での捜査が始まった。現場を取り仕切るのはあの相川さんだ。


 「また天神君なのは置いといて…。何で君もいるの?有木君?」

 「探偵助手のバイトです。」

 「男を囲ったか。」

 「違いますよ!?こいつが何故か来ただけで!」


 何かを納得する相川さん。天神先生が慌てて否定した。


 「ボクがそういうことに興味ないこと知っていますよね!?ねぇ!」

 「いやでも…。まあいいや。今はそれどころじゃないし。」

 「いいやじゃなくてぇ!!」


 相川さんは天神先生を無視して続ける。こういうところ見習わないとな。


 「被害者は銃で頭をズドン。病院に行くまでもなく即死だったようだ。被害者はマンションから出てきたのだっけ。」

 「はい。叫びながら急に。」

 「ほうほう。で何で君たちはここにいたの?」

 「…依頼があったのですよ。恋人がいなくなったから探してくれって。でこのマンションがその恋人の住居だったのです。」

 「ふーん。殺されたのはその恋人?」

 「いいえ、違いました。」


 そう。殺されたのは私たちが探していた三木優斗さんではなかった。では誰かというとわからないのだが。


 「まあ誰なのかは割れているんだけどね。このマンションの三階に住んでる男性らしい。今からその男性の部屋に行ってみるよ。」

 「へぇ。」


 そういって相川さんはマンションの入り口の方へ向かった。天神先生は悪い顔をしてそれについていく。どうやら一緒に被害者の部屋を見に行くつもりらしい。相川さんは深いため息をついて特に注意もしない。責任問題とかにならないのだろうか?実績があるからとかいう話じゃ無くね?

 そういってマンションの中に入ろうとした瞬間、初老の女性に声をかけられる。


 「すみません。そちらの方々はどなたでしょうか?」

 「うん?」

 「ああ、こちらはこのマンションのオーナーさんだ。すみません、こちらは私共の協力者です。」


 オーナーらしい初老の女性、よくある婦人服を着ていたが香水の匂いがきついのが気になった。眉間にしわを寄せてこちらをにらんでいる。


 「申し訳ないのですが、マンション内に入るのは最低限の人数でお願いします。そんなに人いらないでしょ?」

 「捜査の為でもですか?」

 「うちは男性専用マンションなので。あまり人を中に入れたくないのです。」


 男性専用?その言葉に非常に引っかかったが、相川さんが納得したようにうなずいた。


 「しょうがないですね。はい天神君と有木君は出て行って。」

 「いやでも。」

 「ほーら!あとで中の様子を教えてあげるから。」


 天神先生は渋々出ていくようだ。私もその後につづく。


 「天神先生。」

 「わかっています。マンションに女性が住んでいるっぽいことですよね。」

 

 張り込みしていた時入り口を見張っていたが、男性は出てきていなくても女性の出入りはあった。


 「きな臭いですね。このマンション。」


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