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三上スピンオフ 第2部 分かってるやつは、気持ち悪い

本編を読んでいただいている方、ありがとうございます。

初見の方は、この作品単体でも読めますが、本編と合わせると少しだけ見え方が変わると思います。

本作は、本編に登場する「三上」という男のスピンオフです。

未来が“なんとなく分かる”男が、それでも流れに身を任せて生きたらどうなるのか――そんな話になっています。

少しくだらなくて、少しバカで、でも最後はちゃんと残る。

そんな温度感で書いています。

気楽に読んでもらえれば嬉しいです。


文化祭の日。



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人が多かった。



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校内が、少しだけ浮ついている。



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三上は、その空気が嫌いじゃなかった。



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でも。



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一箇所だけ、気になる場所があった。



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体育館の端。



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肉まん売ってるところ。



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ハタがいる。



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保健委員で、

似合わない場所に立っている。



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(……まあ、ハタらしいか)



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少しだけ見ている。



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そのとき。



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一人の女が、前に立つ。



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「ひとつ、ください」



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普通の声。



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でも。



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その瞬間。



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空気が、揃う。



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周りの視線。

音。

間。



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全部が、同じ方向を向く。



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(……は?)



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三上は、目を細める。



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女の顔を見る。



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整っている。



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でも。



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そこじゃない。



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(……なんだこれ)



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違和感。



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“見えない”感じ。



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普通は。



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人を見ると、分かる。



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この人がどこに住んでて、

どういう生活してて、

次に何をするか。



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ぼんやりでも、浮かぶ。



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でも。



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こいつは。



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心に何もない。



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ただの空白。



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(……気持ち悪いな)



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ハタが、金を受け取る。



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指が触れる。



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一瞬。



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間が、ズレる。



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(……おいおい)



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ハタの視線が、逸れる。



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珍しい。



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(やられてんな)



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すぐに分かる。



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「今の人、誰だっけ」



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ハタが聞いてくる。



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三上は、即答する。



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「嵯峨久美」



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「他校。○○女子」



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必要な情報だけ出す。



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名前を口にした瞬間。



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少しだけ、嫌な感じがした。



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(……なんだ、今の)



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帰り。



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人だかりができている。



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中心に、嵯峨久美がいる。



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笑っている。



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話しているだけ。



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でも。



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全員が、聞いている。



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揃っている。



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(……おかしいだろ)



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三上は、少し離れた場所で見ていた。



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中に入る気はなかった。



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(近づかねえ方がいい)



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理由はない。



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でも。



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そう思った。



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嵯峨が、ふと視線を動かす。



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三上と、目が合う。



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一瞬。



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そのときだけ。



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中が、見えた気がした。



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空っぽ。



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(……は?)



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すぐに逸らされる。



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また、笑う。



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周りが、つられる。



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(やべえな、これ)



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確信に変わる。



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三上は、その場を離れた。



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その夜。



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天井を見る。



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眠れない。



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嵯峨久美の顔。



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空っぽの感覚。



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周りが揃っていく空気。



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(……あいつ)



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(人じゃねえな)



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でも。



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説明はできない。



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証明もできない。



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ただ。



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分かる。



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(関わるな)



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それだけだった。



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その日から。



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三上は、嵯峨久美を“見ない”ようにした。



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でも。



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視界に入る。



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嫌でも。



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そして。



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もう一つ、気づく。



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ハタ。



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完全に、影響を受けている。



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(……あーあ)



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ため息が出る。



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「おい」



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声をかける。



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「ん?」



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「あの女」



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少しだけ、言葉を選ぶ。



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「……やめとけ」



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ハタが、少しだけ笑う。



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「何が」



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「なんとなく」



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いつもの言葉で、ごまかす。



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でも。



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本当は。



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(やめとけ、じゃ足りねえな)



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(逃げろ、だな)



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言わない。



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言っても、意味がない。



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その時点で。



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もう、遅れていた。



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そして。



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三上は、もう一つ気づいていた。



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自分の能力が。



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少しずつ、変わっていることに。



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前は。



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いくつか見えていた。



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未来。

分岐。



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でも。



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今は。



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ひとつだけ。



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(……おいおい)



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笑う。



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「なんだこれ」



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その夜。



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ベッドに入る。



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天井を見る。



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暗闇。



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目を閉じる。



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未来を探す。



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いつもなら。



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ぼんやりとでも、見える。



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選択肢。



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いくつかの流れ。



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でも。



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今は。



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ひとつしかない。



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(……これ)



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(やばくね?)



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その未来は。



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ぼやけている。



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でも。



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確実に。



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終わっている。



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(……あー)



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天井を見上げる。



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(俺、死ぬな)



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口に出してみる。



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意外と、軽かった。



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でも。



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笑えない。



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「なんでだよ」



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小さく呟く。



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答えは出ない。



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ただ。



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一つだけ分かる。



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(あいつ、関係してるな)



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嵯峨久美。



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名前を思い出すだけで。



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空気が、少しだけ重くなる気がした。



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それでも。



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三上は、目を閉じた。



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まだ、このときは。



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“どうするか”を、考えていなかった。



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ただ。



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“外す未来”があることだけを、知った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

三上というキャラクターは、本編の中でも「軽い」「適当」な立ち位置ですが、実は一番“人間らしい選択”をしている人物でもあります。

見えているのに変えない。

分かっているのに流れる。

それが良いのか悪いのかは分かりませんが、少なくとも彼なりに納得して終わった人生だったのかなと思っています。

本編ではまた違う視点からこの出来事が描かれていますので、よければそちらも読んでいただけると嬉しいです。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

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