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エピソード5 1

     エピソード5


 おっ、また来たな! あぁ、おかげさまでな。今日は元気がいいんだ。何の話だ? 覚えていないな。俺は最近忘れっぽいんだよ。こんな所に閉じ込められていたら当然だよな。誰だって頭がおかしくなっちまう。

 おい! いったいいつまでこんな事が続くんだよ!

 まぁ、言っても意味がないってのは理解してるけどな。そうなんだよ。人間ってのは諦めが肝心だって事だ。

 俺はなんでもすぐに諦めちまう。ガキの頃からの癖だ。

 あの時もそうだ。いつもに比べれば頑張った方だけどな、最後はやっぱり諦めだ。仕方がないだろ? 潔く生きるのが俺のモットーだ。

 って言ってもな、ここにいる事を潔く認めた訳じゃねぇぞ! 俺は絶対ここから出てやるからな! 絶対だぞ! 諦められるかってんだ! これは冤罪だ!

 悪かったよ。久し振りに取り乱してしまったな。そういえばあの時もそうだな。俺はえらく取り乱してしまったんだ。

 高校生だった俺は、学校だけじゃなく、色々な活動で大忙しだった。奉仕活動ってやつだ。

 ガソリンスタンドでアルバイトをしていたのは、社会奉仕だろ? 経済の活性化も兼ねている。説明しなくても意味は分かるだろ? ガソリンがなければ車は動かない。それだけで世界の経済は破滅する。俺はそんな社会を助けていたんだから立派な奉仕だろ? アルバイト代を使う事は経済を廻す事だ。俺が世界を動かしていたといっても過言じゃないだろ?

 俺はサークル活動にも熱心だった。バイクに乗って皆で街を闊歩する。ツーリングってやつだ。けれど俺たちのは夜のツーリングだった。街を明るくしていたんだ。夜景を喜ぶ人間は多いからな。ちょっとの騒音は、街を活気付けてくれるだろ?

 他にはバンド活動もしていた。社会全体を明るくさせる活動だ。まぁ、その活動の結果、俺は暗くなっちまったんだけどな。お前も少しは知ってんだろ? 調べ済みって訳だ。ここに現れたのはそういう理由もあってこそだろ? 隠しても分かるんだよ。そんなのはお見通しって訳だ。あれは大きな事件だったしな、その後俺は少しだけ有名になった。ほんの少しだけ。

 奉仕活動っていえば、その頃からだ。女への奉仕。女の喜びは世界を動かす原動力だ。流行を作るのも、子孫を残すのも、全てが女だろ? この世界の中心は、女だよ。だから俺は女が大好きなんだ。

 初めての恋人はアルバイト先の先輩だった。半ば無理やり襲われたってのが本当だ。ガキだった俺は、それでも彼女が好きだった。夢中になっていた。残念な事に、彼女にとって俺は、その辺の男の一人だった。恋人じゃなく、遊び相手のボーイフレンド、その一人って訳だ。

 俺はすぐに諦めた。彼女を独り占めする気にはなれず、大勢の一人で満足する事も出来なかった。俺の初恋が終わった瞬間だ。

 とは言っても、偽りの初恋ってやつだ。本当に好きだったのか、何処が好きだったのか、今でも俺には分からない。

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