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あいつの電話が終わってすぐ、家に帰った。少しの睡眠、目覚めは最悪だ。あいつからの電話だよ。起きる予定の時間までまだ十五分もあったっていうのにな。
保険屋からまた電話があった。俺と直接のやり取りをする了承を欲しいってさ。事故の場合、保険屋が間に入るにはお互いの了承が必要なんだってよ。こっちは保険のない個人だからな、俺の許可がなけりゃぁ保険は詳しい金の話が出来ないってよ。俺が了承しなけりゃあいつらは簡易裁判所行きだって脅すしな。そしたらこっちも金を払わなきゃならない。向こうも訴えるって言ってるらしいからな。保険で済んだ方が俺には得だってよ。数万ぽっちだけどな。貰えないよりはいいだろ? これから面倒な時間の始まりだ。書類の準備をしろってよ。病院行ったり役所に行ったり、会社の許可を取ったりな。って、俺は無職だけどよ。まぁ、保険屋には自営業って事で働けない間の日当分を貰うつもりだけどな。
現実には、そんな金は貰えなかった。証明出来る書類がないと保険屋は金を出さない。入院している訳でもないしな。あいつも後から知ったようだけど、自転車事故の保険ってのは限度額が低い。三万程度ってとこだ。結局あいつは三万八千幾らとかって言ってたな。せめて五万は越えて欲しかったと悔しがっていた。
あいつは何かある度に電話してきた。こっちは昼間寝てるって言うのに、お構いなしだ。夜中の仕事中にもかかってきたしな。非常識な奴だよ。
あいつが金を手に入れたのは、事故から一ヵ月後の事だ。その間に俺は、何度かあいつの家に行った。あいつも何度か俺の家の近くに来たよ。当然だけど、家には入れねぇ。あいつは友達じゃない。ただの知り合いを家に入れる程、俺はお人好しじゃねぇ。
あいつの家は相変わらず臭かった。
何の臭いだ? 猫の死体でも転がってるのか?
冗談じゃなく、本気でそう感じた。庭には野良猫が沢山いたしな。結果俺の勘は間違っていた。臭いの正体を知りたいか? 知らない方がいいぞ。お前らなら調べれば分かるだろう? もう知っているのか? ちょっとしたニュースにもなっていたからな。当時はそんな事件が流行っていた。




