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見てないでお前もやれよ。気持ちがいいぜ。ストレスが、飛んでいく。
あいつの動きが止まった。コジキは息も出来ずに倒れていた。
もう死んでるんじゃない?
そんな訳ないだろ? 人間はな、そう簡単には死なねぇよ。
あいつはそう言うと、コジキの腹にグローブを投げ捨てた。コジキは呻きすら上げず、ピクリともしなかった。
やっぱ死んでんよ。あーあ、やっちまったな。どうする?
俺には他人事だ。あいつがやった事。俺は見ていたというより、たまたま居合わせていただけだ。止める暇もなく、あいつは勝手にコジキを殺した。
言い訳なんかじゃねぇよ! 言い逃れ? どっちも違うな。俺とあいつは別人だ。あいつが勝手にした事を俺がとやかく言う権利はない。それに俺はな、あいつの友達ではあっても、母親じゃねぇ。面倒見る義理はないね。
お・・・・ 俺じゃねぇよ! コイツが勝手に・・・・ う・・・・ うわぁー!
あいつは相当慌てていたな。一度は走って消えていったよ。泣き喚きながらな。俺はどうしたものかとチャリンコから降り、あいつのチャリンコを起き上がらせた。そのままにしとくのは可哀想だからな。あいつのチャリンコは、ブランド物だ。俺はそういうのに興味ないからよく分かんねぇけど、十万以上するとか言ってたな。本当かどうかは怪しいものだけどな。
拾い上げて脇に運んでいたら、足音が戻ってきた。
おい! 返せよ!
あいつは乱暴者だよ。俺が盗むとでも思ったのかね? 引っ手繰るように自転車を取り上げ、睨んでいた。
俺のせいじゃねぇからな!
そんな捨て台詞を残して走って消えた。
取り残された俺がどうしたかって? そりゃあ当然、警察なんて呼びはしない。役に立たないのは分かっている。取り敢えず俺はコジキに近付いた。本当に死んでいるのか、気になったんだ。それまでに誰かの死体なんて見た事ねぇからな。興味本位ってやつだよ。
俺はショックだった。そうなんだよ。初めての死体にワクワクしていたのに、あいつは生きていたんだ。
あいつに近づくと、微かな音が聞こえた。なんの音かは分からない。呼吸? そんな感じはしなかったな。血液が脈打っているような、そんな音が聞こえたんだよ。
身体に耳を当ててみた。心臓が動いているようだった。首の辺りに手を当てたら、弱々しく何かを感じたよ。生きている。・・・・つまらない。俺はすぐにチャリンコからバットを取り出し、あいつの目の前で振りかぶった。
バットはチャリンコのケツに挿していた。当時は皆そうしていたよ。俺みたいなママチャリの奴はな。ママチャリのケツはバットを挿すのにもってこいなんだ。野球をしない時でも、大抵は挿していたな。何かあった時のお守りだ。
その後の事? 話はここでお終いだ。これ以上何を知りたい? 続きは自分で考えればいいだろ? 俺が話したのは少しの事実。それだけだ。
まぁ、あと少し、教えてやるよ。中途半端は良くないからな。
あいつとはその日限り、一緒に遊ぶ事はなくなった。俺達のグループに顔を出さなくなったんだ。まぁそのグループはあいつが集めてきた奴ばかりだったからな、あいつがいなくなってからはバラバラ、解散状態だ。
警察になんて捕まる筈ないだろ? コジキが一人消えたからって、何が問題なんだ? 警察はバカだ。上辺だけなんだよ。なぁそうだろ! こそこそ影で聞きやがって。俺はあいつらが嫌いなんだよ。
上辺だけの警察は、捜査をする振りはしていたな。俺の町が大パニックだ。テレビなんかで報道もされた。といっても、一瞬の出来事だ。あれは一種のパフォーマンスだな。事件が起きて大騒ぎ。それを演出したかっただけなんだよ。
まぁ、その後あいつは別の事件で逮捕されているんだけどな。可哀想な事に、ムショの中で死んじまったよ。自殺って聞いたけど、実際はどうだろうな? 中で殺されるってこともよくある話だろ? 囚人同士? 刑務官? どっちでも俺には関係のない話だ。
なんだ? こんな事よくある話だろ? 今更いい子ぶるんじゃねぇよ! お前だって誰かを傷つけた事ぐらいあるだろ? あいつらだってそうだ。あいつらは俺に暴力を振るってるじゃねぇか! この顔見れば分かるだろ? 身体も見るか?
分かったよ。あまり大声出すとまたあいつらに殴られちまうからな。
もうこの辺でいいだろ? 話はここまでだ。出て行ってくれよ。どうせやらせてくんねぇんだろ?
はいはい、分かったよ。話が聞きたいならまた来ればいい。俺にはこんな普通の話しか出来ねぇけどな。まぁ、お前なら大歓迎だよ。やらしてはくれないけどな。
あぁ、待ってるよ。この次はもっと可愛らしいカッコで来るんだな。黒のスーツなんて、葬式みたいだぜ。




