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ありがとうが蟻が十の世界で  作者: でつるつた
2日目 前
35/60

第三十五話 其々行動

 △△


 昼食は適当な食品系の屋台を回って済ませた。

 たこ焼きや焼きとうもろこしなど、ザ•お祭りって感じのものもあれば、日本の食文化にはない海外からのよくわからない食べ物もあってとても新鮮な気持ちで見て回ることができた。


 『ご馳走様でした』


 この長い長い屋台の列の間にある休憩スペース。 そこで俺たちは食事を済ませた。


 「いやー食べたねー」


 「ええ、どれも美味しかったわ」


 「皆ぁ、デザートとかジュースとか買いに行くぅ? 」


 モノさんが言うと、


 「は、はい! ……私とても気になるものがありまして……」


 と、ソナが手を挙げた。


 「甘いものとか好きなのか? 」


 「はい! ……そういう甘いものに目が無くて」


 恥ずかしそうに言うソナ。 とても女子っぽいなと思った。 ……どっかの誰かとは違って。


 「じゃあ、私がついていくからぁ、他に誰か来るぅ? 」


 「あ、じゃあ僕も行くー! 」


 「はぁーい、他の2人はぁ? 」


 「俺はいいです」


 「私はついていくわ」


 とアスナが言った。 すると、ソナは急に、


 「あ! だ、駄目ですアスナ! アスナは残っておいてください! 」


 「……な、何でよ! 私はソナを守るという、側近の役割が……」


 「い、いいですから! 今くらいは休んでおいてください。 そして残っていてください! 」


 と、頑なにアスナが来ることを拒んでいた。 そのやり取りを見ていたモノさんが、


 「大丈夫だよぉ。 ここの人たちは絶対安全だからぁ。 それに私もいるしぃ」


 と言った。 ……モノさんは、なんというか、頼っていいのだろうか……? すごく鈍そう。


 「まあアスナ、ハジメもいるしその点は大丈夫だと思う」


 任せてよー とハジメ。


 「だ、だけど……。 ……まあいいわ。 分かった。 但し、すぐに帰ってくること。 いいわね? 」


 「はい! 感謝します、アスナ」


 じゃあねー と3人は行ってしまった。 軽く手を挙げて反応をする。

 ……そこでようやく気づいた。


 「ってユウと2人きりなの!? 」


 アスナも今気づいたようだ。 ……うう、まずい。 今俺は崖の上で空気椅子をしている気分だ。 一瞬でも気を緩めようモノなら下へゴーだ。


 「……はぁ。 まあいいわ」


 よ、よかった。 流れで殴られても全然おかしくない状況だったからな。

 ……いや、どんな状況で流れ弾だよ。


 △


 「……」


 超沈黙。 き、気まずい……。 俺は意味もなく目の前の水を仕切りなしに飲んでいた。


 「あ、そうだ」


 突然アスナが会話を展開した。 す、救われた……。


 「これ、あげるわ」


 そう言って、胸の……(ゲホッ)裏ポケットから出てきたのは、赤い手帳だった。 それもとても使い古されている。


 「ん、なんだこれ? 」


 受け取って、中身をパラパラと見てみる。


 「こ、これは……」


 「それは私が今までの戦闘の中で勉強してきた戦略手帳よ。 ……まあ、戦略と言ってもナイフの使い方や足、腕の使い方といった対人戦闘手帳と言った方がいいかもね」


 その戦略手帳には今アスナが言ったことが細かくビッシリと書かれていた。  イラストまであるため、どのように体を動かせばよいか一目瞭然だ。 本当に細かく。


 「すごいな……」


 思わず感嘆の声が出た。


 「それを見て勉強することね。 私も手伝うから」

 

 「ああ、宜しく頼む。 だが、いいのか? これ大事にしてたんじゃないのか? 」


 「ん? ……まあそうね。 でももう頭の中に全て入っているから。 それより零知識の人がそれを読んでこれからの戦闘に役立てる方がいいでしょ」


 「そうか……」


 俺は丁寧にその手帳を懐にしまった。


 「なあアスナ。 何でそんなにソナのことを大事にするんだ? 側近と言っても、少し過剰なんじゃないか? 」


 特に話題もなかったので、適当に気になっていたことを聞いてみた。


 「ん? ……うーん、まあ隠すようなことでもないか」


 少し長くなるわよ とアスナ。 そうしてアスナは過去の話を始める。

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