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第六話

リベリアを出てから4日が経った。


「なんか、この辺から馬車や道が急に大きくなったよな。どんな国なんだ?」


「私たちが向かってるアルヒーフ市国。別名メモリーレガリア 記憶が金となり、支配する国だよ」


「記憶が?金になるのか?」


「この国ではだけど。唯一、公に記憶を商売として世界で初めて、認めた国だよ。」


「でも、記憶を売るなんて聞いたことがない」


「売れないさ。だが、価値は示せる」

レイナが口を開く。どうやら俺だけ理解していないようだ。


「どういうことだ?」


「この国は記憶を読み取る装置があるの。それを使って価値を算出し」


「「どれだけ幸福な記憶か、どれだけいい経験をしてきたか、それが寿命の”価値”を決める。」」

馬車の運転手とミーティアの声が重なる。


「つまり、記憶は寿命の質を測るためにすぎないってこと、か。だが…」

俺の言いたいことを悟ったのか運転手は


「記憶は含まれはいない。ただ、質の良い時間だけだ。誰かの思い出はほんの少し感じれたり、幸福を感じたり、その記憶の人が現れたりすることはあるらしいが」


「なら、意味はないじゃないか」


「でも、価値は残る。ただ、料理の味は買えてもレシピそのものは手に入らないがな。」


運転手はどこか哀愁が漂っていた。

「そうか…失礼、ところであなたは?」


「名乗るほどではない。この国に何もかも奪われた虚しい男だ」


「なら、私が取り返しましょうか?」


ミーティアがそう声をかけると、運転手は少し笑った。


「うれしい提案だが、それは無理だな。」


ただすぐにどこか諦めたような顔で

「もう取り返しようがないんだ」


「そんなことはないはずです!」

ミーティアは声を張り上げた。


「もう取り返せねんだよ…あの契約で」

運転手は手網を強く握りしめる。


「契約は成立した。あの契約はもう…終わっている。」


「契約なら契約で取り返せばいい」

俺も声をあげる。

「簡単に言わせるな。取り返す努力はしたさ。ただ、取り返すには”同じ価値がいる”その結果、俺の寿命を削るだけになっちまった」

俺は何も言えない。


「俺はな…奪われたんだよ。二年前に、妻を…たった一人の、家族をよぉ…。妻はこの俺によく話しかけてくれ、気にかけてくれて、優しくてかわいい妻だった…。だが、あの日、妻は奪われた。闇商人に、寿命をたかられて、言い返すことができなかったんだろう」


俺たちは無言で聞く。


「妻はな、俺と過ごした時間がなかった。俺の名前も顔も結婚したてことも…全部、わすれちまってるんだ」

更に手網を強く握る。


「けどよ、初めて会うはずなのに、俺を見ると、安心するっていうんだよ」


「俺は妻の記憶を寿命を取り返そうとした。けど、見つからなかったんだよ」


「なら、俺たちが見つけてやるよ」


「だから、無駄だと…」


「俺は仲裁官だ、寿命なら多少は顔が利くし、その商人を捕まえることだってできる」


「仲裁官、なのか?」


「あぁ、それに俺には天才少女と騎士がついている」


「そうだね、私たちに任せてよ。」


「異論はない」


「けど、お前らなんでそこまで俺なんかに」


「見て見ぬふりするより、間違ってでも動いたほうがましだ」


「だが、対価は何を払えば」


「運賃をチャラにしといてくれ」


「本当に、それだけでいいのか?」


「あぁ、俺たちに任せろ」


運転手は何も言わなかった。だが、前のどこかあきらめたような表情ではない。

国が近づいてきたのか、馬車の車輪が石畳をたたく音をどんどん、人の声でかき消す。

市国の門をくぐると、更に人が多くなり、商会が増える。

「ほら、ついたぞ」


「ここが、か」

そこには立派な大理石の広場があり、広場の奥には白い美しい宮殿がある。その手前には噴水があり、太陽の光を受けて、七色に輝いていた。


「ここは第一区だ。主に貴族や富裕層が住み着いている、俺の妻が奪われたのは第三区だ。マフィアや犯罪組織、闇商人が住み着く、危険な場所だ」


「なぜ、奥さんはそこに?」


「奉仕活動だ。第三区で」


「優しい心を持っていたんだな。なら、絶対に助けないとな」

運転手はどこか嬉しそうな顔になる。


「ちなみにあんたは?」


「俺はメグル。こっちはレイナ。そして…あれ、ミーティアは?」


「ミーティアならプリンを売っているのを聞いて、すぐにどっかにいったぞ」


「よし、レイナ、ミーティア連れ戻せ。そして、プリンを取り上げろ」


「み、ミーティア、ちゃーん…」

あいつまだ、言えないのか。


「面白い仲間だな、それと、俺はランスだ」


「あぁ、ランス、よろしくな!」


「ところでお前たち、宿はとっているのか?」


「いや、とっていないが…」


「一応言っておくが、この国はもうすぐ祭りがおこなわれる。国賓を招くほどにな。そうなると、どこも宿は普通の10倍はする。それにもう空いていないだろう」


「まじ、か」


ランスはため息をつき

「俺の家を使うといい」


ありがとう!ランス!愛してる


「なんだ、今、寒気が…」





白髪の少女がそこにはいた。

誰も通らない、暗い道、恐らく迷い込んだんだろう。

この一区でも絶対に光と影はあるものだ。

丁度いい、こいつを売り飛ばそう、そう思った。

街路の影が濃く伸びる路地の先に男がいた。


「やめておいたほうがいい」


「誰だ?」

男はゆっくりと、俺のもとに近づく。

バカなやつだと思った。見て見ぬふりをすればいいものを。

それに相手は素手のようだ。

男はゆっくりと、歩幅を変えずにこちらに近づく。

なんだ、この感覚。逃げたほうがいい、そんな気がした。

だが、俺は無視をする。ナイフで負けるわけがない。


商人はナイフを振り上げ、突進を試みる。

だが、男はかわす。

もう一度、斬りかかる。

だが、いくら試しても男には届かない。

攻撃はすべて空を切る。

こちらの動きを読まれているように。


「な、なに者だ、てめぇ!」


「俺を見るというのは死を見るのと同義だ」


「おちょくりやがって!」


その瞬間、俺は空を見上げていた。

理解できなかった。

だが、あの男に挑んだのが間違いだというのは理解できた。


「思い出した、死神…お前の名は…」


男は喉をさし、立ち去る。

俺は死ぬのか、意識がもうろうとする中でそう感じた。




路地にはまた、静寂が戻る。

空に浮かぶ星だけが男を照らす。


こんにちは!Senrakuです。

まず、2000文字な件について謝罪します。

すいません…多分、これからはこの程度になります。

(m´・ω・`)m ゴメン…


さて、今回もシリアス回でした。

次回は息抜き回です。


最後に毎日投稿をしていますが(はず)

投稿時間は決まったらご報告します。

長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

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