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彼女の善意

時折登場した菜野の友人が今回も登場します!

衝撃が急に来たのか、それとも突風が吹いたのか。

とにかく、いきなり利知は吹き飛ばされた。


そして意識を失った。


――――――――――――――――――――――

「!」そして、目覚める。

どこかにぶつけて落ちた視力を駆使して周りを見回すと凄惨な光景があった。

倒壊したり、窓ガラスだのが割れたり爆撃を受けたように黒ずんでいたりとさんざんになった建造物たち

がそこら中に在った。

そう、まさに大災害が起きたというような感じである。


「あ……ぁぁぁ」ボロボロとアカネが陰惨な嗚咽の音を上げた。

細かい所はわからずとも、大事なことだけはわかった。

赤い化け物が世界を滅ぼすことの、最終段階に入っている。

アカネを生み出した彼女の暴走はもはや……


ふと気づくと青空だったどうやら気絶してからかなり時間がたっているらしい。

利知はなんだか痒くなってきた頭をポリポリ掻こうとした。


「痛ッ」頭を焼けるような感覚が襲う。

指先にべっちょりと血がついていた。

頭でもうって怪我していたのだろう。


少し待ってからもう一度傷口を触ってみるとほとんど治っていなかった。

前だったらもっと早く治っていたのに。

もう一度、触って治り具合を確かめようとすると

「あんまり触らないほうが良いと思うわ」アカネに止められた。

「……ああ」ストップを受け入れた。


利知は今からどうしよう、と悩んだ。

どうやら自分に残された時間は少ない、最悪の場合覚悟を決める時間すらない。

だから、自分の一番やりたいことをやるしかない。


「あれっ?」

いきなり知らない声がした。

「君は……何でここにいるの?」丁度菜野と同じくらいの年の女の人が利知に遠くから歩み寄りつつ話しかける。

「私は避難所に向かってるからここにいるの、あなたもそうなの?」

そして目の前まで来た。

「うわっ、顔の怪我ひっどいわねえ!」

そしてその女性は困惑する利知を没却にしながら肩掛けのバッグから色んな医療道具を取り出して

「私大学で医療学んでるから任せて!」

問答無用で利知の許可を受けずに治療を始めた。


「この人、よくわからないけど悪い人じゃなさそうね」アカネの嬉しそうな言葉に利知は頷いた。


そして、傷口の消毒をしながら

「私はリナ子って名前、あなたは?」自己紹介を始める。

「俺は山坂利知です」利知も答えた。

「へぇ、良い名前じゃない」

「そうですか?」

リナ子はそんなふうにずっと話をしれいた、そして気づけば怪我の処置に付随する痛みを利知はほとんど気にしないまま

治療が終わっていた。


「よし、じゃあ後は包帯を巻いて……」

利知の顔のかなりの部分にぐるぐると包帯が巻かれた。

「よし!これで完璧、じゃあ行くわよ?」

「え?どこにですか?」

「近所の中学校の体育館、避難場所になってるらしいの」リナ子はまともに色んなところが機能しなくなっている街を見ながら、そして利知に手を差し伸べながら言った。


「一緒に行きましょ!」


さて、最終章です。

ちなみにリナ子が犯罪者として報道された山坂利知を見ても大した反応がないのはテレビを普段見ないからです。

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