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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
結局日常の中で無意味に非日常は続くんだね
58/89

過去が明らかになれば、今もまた明かされるのである。

一話で盛り上がらない俺の小説が人気出るわけなかった。

菜野は新幹線の窓から外の景色を眺めて。

困惑していた。

明らかに見覚えがある。

それは、いつ見た者か?


町が、木々が流れていく。


無性に気になって、じっと睨むように見る。

見えた。木々に、小さく。

動いた気がする。

それは「目」

時が、流れた。


現実→DW

電車の中菜野は外の景色を眺めていた。


また、菜野はDWに来たわけだ。

つまり、誰かの死の再生を止めなければ帰還できない。

「で、誰の死だ?」

新幹線の中を見回してみる。

いる。人が、たくさん。さっきまでいた人たちは消えたように新しい別の奴らになっていた。


菜野は気付いた。__これ、もしかして、たくさんの人の死を同時に再生してる?___

とにかく、死の再生を止めるため手がかりはないかと歩き回っていると。

「あ」

見つけた、その女性と赤子。


どこかで、見たことがある赤子。

利知に似た。

菜野は、疑問に思った。

__死の再生って、死んでない人まで再生するんだっけ?___

利知は、死んでいるわけじゃない。でも

同時にたくさんの人が死んだケースだから、何かおかしくなっているのか。


それとも、利知は一度死んでいるのか


そう菜野は考えた。




___とにかく、保留___


そして、菜野はこの死の再生に思い当たるところがある。

菜野と利知は新幹線事故にあったらしい、そしてその生き残りがこの二人だけらしい。

……利知がいるなら自分も再生されているかな?

菜野は、少し考えた。


が、その思考は無理やり打ち切るしかなかった。

外の景色に森が流れるのを終えようとしたとき。

ガシャン、という音がして

菜野や乗客たちの体が浮かぶ。


新幹線は、脱線して森に突っ込もうとしていた。

菜野は、あわてて座席にしがみついて、耐え


___ガラガラドギャメキメキメキメキ‼‼‼‼‼‼

轟音が響く。

なのに、衝撃があまりない。

おかしいと菜野は思った、外の景色を見ると。

赤い化け物が、新幹線の車両を受け止めていた。


「……は!?」

車両が、落とされ衝撃。

菜野は、ブンブン体を振り回され苦悶する。


そして、ドロドロと赤い化け物が、握っていた車両が。

崩れ落ちていく砂になっていた。


泣き叫び、走り回る人々。

その泣き声の中に、菜野は異質な低い声を聞いた。

__私を殺してください__


ぶつかり合い押し合いへしあう人々の中、菜野と赤い化け物は向かい合う。

菜野は、気づいた。

_今、こいつが殺してといった!_

赤い化け物の体中に水泡がブクブクとあらわれ、はじけ。

その中から、ガトリングガンが生えた。


「あ!?」菜野は慌て、座席の後ろに隠れ姿勢を低くした。

ドバーーーーーーーッと、銃弾が逃げ惑う人人々を撃ち殺していく。

悲鳴だのなんだのが菜野の耳と心を痛めつけるが、必死で心を落ち着かせる。


菜野の前に、死体が転がってきた。

「・・・・・落ち着け、私」


そして、銃声が止み。

菜野は疑問に思った。

死の再生を止めることができなければ、最初に戻される。

なのに。

なぜ。


戻らないのか?


簡単だ、生きている奴がまだいる。

ガシャン、という音がして体が浮かび重力に地面に叩きつけられる。

赤い化け物が、新幹線を手から離した。


新幹線は、横倒しになっているようだった。

その中に、赤い化け物がその巨大な体を無理やり押し込んで

そして、はじの車両に向かって泣くように鳴きながら歩いていく。


菜野は、死体を踏みつけてでも追うしかなかった。


そして、はじの車両で化け物は止まり。

会話していた。

親子と。

利知らしき少年と、その母親と。


「私は、不完全な人工物です」

そういった赤い化け物を

母親が、赤子を抱きしめて赤い化け物を睨む。

利知は、血まみれで死にかけていた。


菜野は赤子が今すぐ死にそうなのを見て飛び出しそうになったが

_落ち着け私、これは過去の映像

あれが利知なら死ぬわけない__

踏みとどまる。


「不完全……?」赤い化け物はその母親からの問を予想していたかのように答えた。

「私は、暴走して人を傷つけてしまうのです」

「それで、利知を殺したの!?」息も絶え絶えな利知を抱きかかえ、泣きながら母親は赤い化け物に叫ぶ。

申し訳なさそうに、赤い化け物は「すみません」と言う。


「ふざ、ける、な」母は、赤い化け物に詰め寄ろうとしながら、ふらつく。

利知を守る様に仰向けに倒れた。

ダラダラと。彼女を中心に血だまりが出来ていく。

死ねる出血量。


赤い化け物の破片が、崩れてゆく。

「まだ、成長の途中にある者なら、きっと適応もしやすい」

そう言うと、赤い化け物の崩れた破片が、意志を持っているかのようにひとりでに動き利知に近づいていく。


「……何をする気?」母が、たずねた。

「その子を蘇らせます、私の体と融合してもらって」

「……それで、利知は助かるの?」

「わかりませんがするしかないでしょう」

「何が目的?」

「いつか、暴走する私を殺してもらうため力を与えるのです」


赤い化け物と母は、お互いどうすればよいか話し合っていた。

菜野は、あれほど出血しているのによく喋れるなと尊敬する。


「……私が死んだら、お父さんがいるとは言え利知が悲しまない?」

「大丈夫です、彼に説明する役を作りますあなたに似せて」

菜野はこの会話がわけわからなかった。

アカネを知らないから当然だ。


「では」「ええ、それしか助ける方法がないならやって」そして母は満足したように。

ピクリとも動かなくなった。

そして利知の口から赤い化け物の破片が入っていき。


そして赤い化け物が暴走した。

利知の母親を引きずりだして、殺した。



菜野は、電車の中外の景色を眺めていた。

DWのスタート地点に戻っていた。

「……あれ、これどうするんだ」

なぜ戻ったのかを少し考える。

さっき、利知は「死んだ」のではないだろうか、今生きているのはそれから蘇生したからで……

あまり、今の状況の解決と関係なさそうだった。

とりあえず、運転席に行った。

DWだから、運転手に特に気にも留められなかった。


だから菜野は思いっきりブレーキをかける。

ギャリギャリギャリギャリと無茶な停止をした新幹線は

思いっきり揺れて、止まった。


向かう線路の先かなり遠くに、赤い化け物が「待伏せ」してるのがわかった。

「……とりあえず、さっきと同じ状態は回避した、死の回避になるか?」


1kmを光が進むより短い時間が流れた。 


DW→リアル


菜野はガタンゴトンと新幹線の中揺られていた。

気付けば、元に戻っていた。

誰も菜野がDWにいたことに気づいていない。

菜野は大感時間で数十分あっちの世界にいたのに。

それを思うと、空恐ろしく彼女は感じた。

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