戦いの後は雨だった
そういえば、主人公のことをヒロイン3人(故人)が好きなのでキーワードにハーレム入れました
菜野は、またしてもズキズキと痛む頭に苦しんでいた。
ピルピルピルとスマホがメールの着信を告げる。
「なんだよ!?」イラつきながら、メールを確認。
「……?」ただ、陽火町病院と書いているだけ。
いたずらメールかな?
そう菜野は思った。
なのに。
___ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン___
その町に新幹線に揺られながら菜野は向かっていた。
「……なんでかな―――?」
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一方その頃。
引きこもり餓死を待つ利知は。
部屋の隅っこに膝を抱えて座っていた。
彼は、体を冷やした方が死ねるのでは?と思ったのだ。
外から、ざあざあと雨音が聞こえる。
寒い。
アカネは、何といえばよいかわからず喋ってくれないのも寒さを意識させる。
__どのくらい降ってるんだろう?___
窓に近づいて、カーテンを開ける。
見た。
利知は、見た。
ヨモギの家に行った時、でてきた女性が。
利知の家の前を男と一緒に歩いていた。
楽しそうに。
「‼」利知はその光景を見た瞬間駆けだしていた。
どうしてそうしたのかよくわからない。
そして、その女性の目の前に立って。
「……あなたは、ヨモギの家族なんですよね?」
次に女性は。
「えーっと、誰だっけ?」
隣を歩いていた男が
「俺たちの、娘じゃなかったっけ?知らねえけど」
ふつふつと利知には怒りが湧いていた、やっぱりこいつらヨモギの親だ。
こいつらがもっとちゃんとしてればヨモギはああならなかったのでは?
殴りかかりたい衝動を抑えて、聞いていく。
「……ヨモギは死にましたよね?」利知は、何となく自分がなぜそうしたのかわかってきた。
ヨモギの関係者であろうものが、ヨモギなんかいなかったように楽しそうにしているのがイライラする。
そんな理由。
正直、片っ端から楽しそうにしてるやつどいつもこいつも殴っていきたい。
利知はそんな八つ当たりをしたくなっていた、しないけど。
「ま、あいつが死のうがどうでもいいがな」ヨモギの父であるはずの男がそういった。
利知は我慢できなかった。
「あああああああ‼‼‼」叫んで、タックルをかける。
男は、利知のタックルに合わせ、カウンターに腹へ蹴りをぶち込んだ。
吹き飛ばされる利知の体。
男と女は、倒れた利知を一瞥もせず、何事もなかったかのように去っていった。
利知は、イラついてイラついてしょうがなかった。
ヨモギの死がこんなにどうでもいいように、無意味に扱われているのが。
「……そういえば、あいつの葬式ってやってんのかな?」蹴り倒されたまま
考える。
が、それを思考することはあまり意味が無いとやめた。
ヨモギが生き返ることなどないのだから。
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新幹線
菜野は、なんだか見覚えがある気がした。
流れていく、外の景色に。
不思議と親しみと……恐怖を感じていた。